「キミヅカ——アナタは、マームの仕事を引き継ごうという気はなかったの?」
CV:白砂沙帆
プロフィール
※物語開始時点(アニメでは2話)のプロフィールです。
概要
アメリカ人の父、日本人の母を持つ17歳の少女。シャルと呼ばれることが多いがこれは愛称で本名はシャーロット・有坂・アンダーソン。
彼女の両親は軍人であり、幼いころから厳格な家庭で軍事的な英才教育を受けている。仲間を持たず、様々な組織をひとりで渡り歩いてきた孤独なエージェント。戦闘スキルはシエスタほどではないがそれに近しいものを持っている。しかし、シエスタ曰く「純粋バカ」であり、頭脳戦は全くと言ってできない。そこで、シエスタはシャルの武力と君塚の頭脳で協力して困難を乗り越えてほしいと思っている。ある出来事をきっかけにシエスタには敵わないと思い、シエスタのことを「マーム」と呼び、心から慕うようになる。そしてシエスタの助手である君塚に対しては対抗意識を持っており、出会った時から仲が悪い。そのためシエスタの思いが叶うことはシエスタが生きている間はなかった。
肩書としてはSP、スパイ、軍人などいろいろと呼べそうだが、本人としては「シエスタの弟子」が一番しっくりくるらしい。
能力
ほかの主要人物である夏凪渚(ヘル)、シエスタ、斎川唯のように何か特別な能力があるわけではない。しかし、エージェントになる前の訓練やシエスタそしてその死後の新たな上司によってかなりの戦闘能力に仕上がっており、純粋な戦闘において君塚、夏凪、斎川の中では(おそらく)一番強い。
またエージェントであるためか、車/バイクの運転、ピストルやスナイパーライフルなどの銃の扱い、戦闘でのナイフ捌きなどできることは多岐にわたる。
君塚との再会
シャルはシエスタの遺産が眠っているというクルーズ船に乗り込む(不正乗船)。そこでエーゲ海へと向かっていた君塚らと出会う。君塚はそのことを何も知らない様子であった。さらに、君塚がシエスタの死後、助手という立場であるにもかかわらずシエスタの仕事を継ごうともせず、ぬるま湯に浸かっていたことにシャルはひどく腹を立てていた。そのため、シャルは自分1人でシエスタの遺産を探そうとする。しかし、シャルはなぜか、船内のカジノで勝ち続ければシエスタの遺産がもらえると思い、カジノに入るが全敗し、涙目になっていると君塚がやってくる。君塚はかっこつけてシャルの分も取り返すと宣言するが君塚も有り金を全部使って敗北する。そんな、シーンを見てシャルは少し心を開いたのか君塚と少し会話をする。そこで、君塚に
「どうしてマームに代わって、探偵を継ごうとしなかったの?」
と聞くが、君塚は
「……あいつは。シエスタは、俺に行ったんだ」
『君——私の助手になってよ』
「そう、言ったんだ。だから俺は、探偵にはなれない。四年前も。あいつが死んだ今も。きっとこれから先も。俺はずっとあいつの——名探偵の助手であり続ける」
と言うと、シャルは
「本当にマームに縛られているのは、ワタシじゃなくてアナタの方じゃない」
君塚のほうが自分よりもマームに縛られていることに気づく。シャルは君塚が本当にやるべきことを思い出させたのだった。そして君塚の《SPES》もシエスタの遺産を狙っているのではないかという懸念をシャルは聞く。そうして、君塚と別れたシャルであったが…
以下ネタバレ
ここから先は本編の大きなネタバレを含みます。まだ見ていない方は先にアニメ、原作小説、コミカライズ作品等を見ることをお勧めします。
カメレオンとの戦い
シャルと君塚の会話後、夏凪は誘拐される。夏凪を返す条件として、誘拐犯は名探偵の遺産を要求する。君塚は斎川の《左眼》を使って夏凪を探すも見つからず、誘拐犯との直接交戦を決意する。
夜8時、クルーズ船の甲板にやってきた君塚は誘拐犯・カメレオンと対峙する。君塚は斎川の力を借りつつ夏凪をカメレオンから奪還する。そして、それに対してカメレオンは君塚を殺しにかかる。《人造人間》相手に君塚が互角に戦えるわけもなく一瞬で追い込まれる。すると突然一機のヘリコプターがやってきて、その中からカメレオンに対して銃撃を浴びせ始めた。そのヘリは加瀬風靡が運転しシャルがカメレオンに対して、銃撃を浴びせているのだった。銃撃を浴びせながらも、シャルは君塚に対しての思いを叫ぶ。
「ワタシはあなたのことが嫌い! 大嫌い!」
「でも!マーム選ばれたのはアナタだった!ワタシじゃなくて、ワタシが嫌いなアナタだった!だったら、託すしかないじゃない!ワタシが大好きなマームが、ワタシが大嫌いなアナタを選んだのなら……ワタシはアナタを頼るしかないじゃない!」
「キミヅカ! 今度こそワタシたち二人で、このミッションを成功させるわよ!」
そうして、カメレオンはシャルの銃撃に対して防戦一方となるが、突如透明になる。さらにカメレオンの攻撃がヘリを襲い、エンジン部分からガソリンが漏れ出した。このままではヘリが墜落してしまうが、君塚はシャルに対して自分の唇に二本の指を持っていくジェスチャーを行う。そのジェスチャーの意味をくみ取りシャルは風靡さんからライターを奪いそれを火が付いた状態で、漏れたガソリンが一面に広がっている船の甲板に落とした。すると当然一瞬で甲板一面に燃え広がり、熱によってカメレオンの皮膚の変色機能が失われたのか姿が見えるようになった。そしてシャルはさらなる銃撃を、君塚はカメレオンの切断された舌を武器にしてカメレオンを追い詰めていくが、カメレオンは甲板の床をたたき割り君塚と一緒にカジノに落下する。
「マーム」との出会い
ここからは本編の大きなネタバレを含みます。TVアニメ「探偵はもう、死んでいる。」のシーズン1では語られていない、原作小説(3~10巻)のネタバレも含みます。アニメしか見ていないという方は注意してください。まだ読んでない方はそちらを読んでから読むことをお勧めします。
ここからは原作小説3巻までの内容を含みます。
本編開始の5年前、12歳だったシャルはエージェントとして初めての任務をこなしていた。その任務の内容はシエスタの殺害。とある廃倉庫にシエスタを追い詰め彼女の心臓をめがけて銃弾を放ち、確かに当たったかに思われたが、なぜかシエスタは生きていたのだった。さらに、逆にシエスタに組み伏せられてしまった。任務の失敗、それが意味することは「死」だった。ターゲットに殺されるか、たとえ見逃されたとしても組織によって消されてしまう。シャルは当然死にたくないと思っていたが、それは避けられないと思っていた。しかし、シエスタはなぜか、私はここで死んだことにしておくというシエスタにとっては何のメリットもないような提案を行う。さらにシエスタは、今回助けるから、今後仕事を手伝ってほしいという交換条件を提示する。シャルはシエスタが自身の助けを必要としていないことは直感的に分かった。ただ、彼女の厚意を気兼ねなく受け取れるようにしているのだと感じた。そして、彼女に徹底的に完敗だったということに気づく。そんな事実に涙を流していると、シエスタは、自身の左胸の下着の中に砲弾を浴びても砕けない石を入れていたという種明かしをした。さらにシエスタは、
「一流の探偵っていうのは、事件が起きる前に事件を解決しておくものだから」
と言った。
この瞬間からシャルはシエスタをマームと呼び、シエスタを師事するようになったのだった。
シャルと君塚の出会い
君塚がシエスタの助手を半年ほど勤めたある日、シエスタの紹介でシャルと君塚は出会う。(お互い、何を心配したのか寝不足だったが…)
そして、2人でとある任務をこなすが、2人のコンビネーションは最悪で任務は失敗に終わった。その後も何度かシャルが任務に加わることはあったが、そのたびに喧嘩をしていた。さらにそれから2年以上が経過して、《SPES》が実効支配する島にアリシアを奪還する作戦にもシャルは参加した。そこでシードと出会い、《SPES》について知ることとなる。
自らの意思
君塚と斎川がスカーレット・コウモリと出会った後、《シエスタ》の隠れ家に戻ってくると、
夏凪が倒れていた。何とシャルが君塚らに対して襲い掛かってきたのだ。そしてシャルは斎川唯を殺すと宣言した。一日前まで一緒に暮らしてきたシャルが突然裏切ったことに対して全員が困惑していたが、シャルは上からの命令をこなすだけだと淡々と述べた。そして、斎川・それを阻止しようとする君塚もろとも制圧しようとするが、突如スカーレットが現れ、君塚にカメレオンの種を渡した。そして君塚は自身の血を対価として、スカーレットに夏凪と斎川を連れていくよう契約を持ち出す。その契約は受理され、《シエスタ》の隠れ家にはシャルと君塚だけが残った。
そんな激しい喧嘩は数十分続いたのちに引き分け?という形で終わった。そして、君塚はシャルが君塚を殺そうとはしておらずあくまでシャルの目的は斎川だと気づく。シャルはただ、「斎川の暗殺」という組織の任務をこなしているに過ぎないと述べる。君塚は斎川の暗殺と聞き《SPES》を思い浮かべるが、シャルはそれを否定、君塚もそれはおかしいと気づく。そして、シャルもシャルにその命令を下した人物も君塚と同じように《SPES》の殲滅を目的としており、ただそのための覚悟が違うのだと説明する。シャルはシードが新たな器として斎川を見出しており、その斎川が死ねばシードもまた死ぬ。シードを倒すために斎川を犠牲にする。シードから大多数の人間を守るために1人の人間を殺す。それがシャルの上司の考え方であった。そして、その上司がこの場所に現れる。
その後、シャルは上司と斎川を殺すために逃げた斎川を追う。そして、《シエスタ》と君塚はその2人を追う。そして、シャルは《シエスタ》との戦闘に入る。そこで《シエスタ》のとある秘密について知る。その秘密を知っても、シャルはシエスタに代わって《SPES》を討伐するという使命は変わらない。夏凪に斎川を殺させるわけにはいかない、だから、自分がやるのだと宣言したのだ。シャルはシエスタに感化されて、自分以外の誰かを守ろうとすることも選択肢に入れてしまっていた。シエスタの遺志を継ぐため、夏凪の手を汚さないようにして、暗殺対象の斎川について思い悩み、さらには不倶戴天の敵である君塚にも縋ろうとしていた。そんな不器用なエージェントに対して、君塚は
「シエスタが残した遺産は、俺、夏凪、斎川、シャーロットの四人だ。シエスタの遺志を継ぐというなら—斎川が死ぬことはあってはならない」
「シャル。お前が愛した師匠は、使命と仲間、どっちを守ることを優先する人間だった?」
そう説得する。
しかし、シャルは過去と決別しようとするもそんなシャルに対して《シエスタ》は
「バカか、君は」
シャルはいつも君塚が言われていたが、自分には一回も言ってくれなかったその言葉を聞いて、自らの意思を持った、誰1人犠牲にせず、《SPES》を討伐するのだと。
その後の戦闘はこのページを参照。
vsシード
ここからは原作小説5巻までの内容を含みます
シャルは加瀬風靡の命でシードの器候補となり得るもとは人間である《SPES》の構成員を始末していた。そこで加瀬風靡とシエスタの出会いについて知る。
そんな中で、シードが斎川を狙って日本に襲来する。斎川とコウモリが廃工場にやってきた後、君塚の姿をしたシードが現れる。それをコウモリが見破り、コウモリ・斎川とシードとの戦いが始まろうとしたところでシャルが現れ、コウモリを1人残して、シャルは斎川を連れてその場を離れる。
シードとコウモリの戦いはコウモリのページを参照。
コウモリとの戦いで痛手を負ったシードは一時撤退する。その後君塚ら4人はシードを追いかけてとあるビルにやってくる。そこでシードとの戦いが始まる。その戦いの中でシャルは3階から1階に叩き落されてシャルは重傷を負ってしまう。
その戦いから数日後、夏凪は死に、入れ替わる形でシエスタが生き返る。そこで、シエスタvsシードの戦いが始まる。シエスタがシードと戦っている間に君塚は器として攫われた斎川の救出に向かう。ビルの屋上から斎川のいる植物に飛び移ったが、そこでは3本の《触手》が異物である君塚を排除しようとする。君塚は持っていたハンドガンで2本の《触手》を打ち払ったがそこで玉切れを起こし、もう1本の攻撃は避けられないかと思ったが、刹那銃声が鳴り《触手》を打ち払った。
遠くからシャルが狙撃したのだ。シャルはいまだ重症でありこれぐらいしかできなかったが君塚に仲間を頼んだと述べ電話を切った。
2年後のシャル
ここからは原作小説10巻までの内容を含みます
物語開始から2年後、《大災厄》以降、《世界の危機》は減り、シャルのエージェントとして活躍する機会は減っていた。そんなある日、シエスタはシャルに銃の整備を依頼する。シャルもそうなった経緯を知っており、《聖還の儀》に参加するかどうかは迷っていた。そうして君塚といくらか会話をしたのち解散となった。
結局シャルは《聖還の儀》に参加せず、加瀬風靡を追っていた。しかし、その途中薬を盛られ、《連邦政府》高官らのもとに連れてこられた。《聖還の儀》でブルーノらが《連邦政府》に反旗を翻したことを君塚からメールで知らされていたシャルは、高官たちは最初からブルーノらの叛逆を見抜いてここにいたのではないかという仮説にたどり着く。そんな仮説に対して、高官の1人アイスドールは『《連邦政府》にとっての敵が判明した。彼らはブルーノによって《虚空暦録》の記憶を取り戻した可能性がある。だから、あなた(シャル)にはそれに対する「適切な処置」を手伝ってほしい』と言外に、《聖還の儀》が《連邦政府》の敵をあぶりだすために用意された舞台であったことを認めた。
そしてシャルの次の「ここはどこ?」という質問に対して、アイスドールは「ミゾエフ国」と答える。そしてシャルはミゾエフ国に関するとある秘密を叫ぶ。
「ミゾエフ連邦はただの仮想国家。この世界のどこにもそんな大国は存在しない。」
しかし、アイスドールは「ミゾエフ連邦は存在する」と言って、上空から撮影された景色を見せる。そこには、ユグドラシルの種子によって生えた一輪の花と人工的な宮殿が映っていた。
そして、後ろにいた高官がシャルにコートを羽織らせようとしてくるのをシャルは拒否し、後ろを向くとそこには高官の服装をしたシャーロットの父親がいた。そして父に《連邦政府》に来るよう提案される。
その後シエスタらはシャルとは連絡が取れなくなっていたが、大神により公安監視対象のテロ組織にシャルがいる可能性が高いとの情報があったが詳しくは不明。
母親ともう1人の家族
《吸血鬼の反乱》が鎮圧されてから約3か月後、君塚と夏凪は《連邦会議》に出席するためロンドンを訪れていた。会議終了後、君塚は夏凪、ミアと先代名探偵との「愛の巣」に来ていた。しかし、突如シャルに呼び出される。君塚にとっては8か月ぶりのシャルとの再会であった。そして「ドライブデート」に連れ出される。なぜかこの日のシャルは君塚に対して好意的であった。
そうして30分の「ドライブデート」の後、海岸に到着する。そして休憩をとっていると、奇妙なマスクをかぶった集団が現れる。君塚はシャルと戦闘態勢をとろうとするが、シャルはなぜかその集団に向けて歩いていく。そして、シャルは
「約束通り、有坂梢の居場所を教えて」
そうすると彼らの中にいたヤギのようなマスクをかぶった人間がメモのようなものを手渡す。そしてシャルは去っていき、ヤギ頭たちが君塚を拘束しようと近づいてくる。そして君塚は気づく。
「シャル、さてはお前騙したな!?」
それに対して、シャルは満面の笑みでこう返した。
「悪いわね、キミヅカ!」
シャルは自身の母親の手がかりを手に入れるため仲間である君塚を売ったのだった。その後、とある正義の味方によって君塚は救出されるが、のちに夏凪にそのことがばれてしまいこっぴどく叱られた。シャル曰く、その情報が有用であるとわかり次第助けに行く算段だったらしいが。
その後、シャルはその手掛かりをもとに有坂梢がいたという場所に君塚と行く。君塚を巻き込んでしまうことに躊躇ったため、君塚と行くべきか直前まで悩んでいたようだった。それほどシャルは君塚がそれについてくることに不服そうであった。それに対して君塚は、「有坂梢が昔アベルを追っていたのだから、彼女を探すことはアベル討伐のヒントをさぐることにつながる」と説得した。さらに、「アベルに関わる以上単独行動が危険だからついていくだけだ。別にシャルが心配なわけじゃない」と付け加えた。(素直じゃないやつ)
2人は都心から少し離れた某避暑地にいるという情報のもと有坂梢のもとに向かうが、結局、シャルはそこで母親と会うことはできなかった。シャルは答えを知るのが怖くて二週間近く行動を起こせなかったために、母親に会えなかったと自嘲した。しかし、君塚はカーテンレールに積もった埃を見つけ、彼女が去ったのはここ最近ではないと推理した。その言葉が彼女を救っていた。
その後、2人は河原でシャルが作ったサンドイッチを食べる昼食をとっていた。そこでシャルは自身の過去を話す。両親の愛情は全くシャルには向いておらず、シャルの2つ下の弟であるノアに向いていたこと。その弟は病弱であったこと。それを心配した母親は弟にずっとかかりっきりだったこと。そして今も彼女はシャルではなく弟にあいたがっているということ。
そんな話を聞いて、その日は解散となった。
再会、そして…
それから何日かが経過した後、有坂梢の居場所が《巫女》の予言によって明らかになったと加瀬風靡から知らされる。加瀬風靡は別用で欧州へと飛んだため、その場所へは再び君塚とシャルの2人で行くこととなった。そこで、何度かチャイムを押すと、4回目を鳴らす前に、ドアが開き、有坂梢が姿を現した。シャルが《虚空暦録》に関する地図について尋ねると彼女はひどくおびえた様子であった。それでも彼女は、その地図を渡すと言ってきた、後からノアを連れてくるという条件付きで。それに対してシャルはそれを了承した。
それから、有坂梢から《虚空暦録》の地図が隠されているという金庫の鍵を受け取り、その場所へとやってきた。しかし、シャルは先ほどの言葉を後悔していた。なぜなら、ノアは7年前に死んでいるのだから。そのとき、母親はシャルに対して何も言わなかった、理不尽な怒りをぶつけなかった、シャルは叱られたかったのに。(この願いは6年後別の形で達成された)ノアが死んだショックで有坂梢は食事すらまともに取れなかった。そして気づけば家を出ていき、シャルの父親はもともと家族と距離を置いていた。こうして、シャルの「家族」は終わり、そこからシャルはエージェントとしての道を歩み始めた。そして、有坂梢は今も、最も大切な息子が死んだ7年前に縛られ続けていた。シャルは、これが自分の使命だと言い聞かせて、母親をだまして地図の鍵を受け取った、その行為が1年前、斎川唯を殺そうとした、そしてノーチェスに「使命」という呪縛から解き放たれる前の自分と重なりシャルは迷っていた。そんなとき、アベルが現れる。そして、シャルに《殺戮のコード》を与え、シャルは気を失った。
その後、アベルに君塚らが立ち向かうも、敗北する。
2日後、目が覚めるとシャルは病室にいた。そこで君塚を探し、病室で発見する。しかし、彼に話しかけても返事はないし、何かを見ているようで見ていない。まるで五感をすべて消失しているようだった。夏凪から事の次第を聞いた。アベルに立ち向かった者たちのことを。
そうして、君塚に自身の思いを告げるも、君塚が返事をすることはなかった。
再戦
3週間後、シャルは準備を整え、《連邦政府》との交渉を開始した。その交渉相手のコードネームは《ロト》。シャルは《連邦政府》に黙って《虚空暦録》に至る地図を回収していたという罪を告白、それに関するデータを《ロト》に送り、その対価として《虚空暦録》が眠る場所へ連れていくよう要求した。しかし、シャルはそんなことで要求を呑んでもらえるとは思っていなかった。そして次のカードを切った、取引に応じないのであれば《特異点》である君塚を手にかけると。それに対してロトは、「《喪失のコード》を付与された君塚は《特異点》としての能力を発動できない」と反論する。
その言葉を聞いてシャルはこれまでずっと抱いていた疑問の答えを得た。なぜ《連邦政府》はアベル・A・シェーンベルクと《怪盗》アルセーヌが同一人物であると認めないのか、そして、大罪を犯した《怪盗》を見過ごしたのか。それは、《連邦政府》内の《特異点》の早期排除を目論む派閥が《怪盗》と手を組み、《特異点》を無力化しようとしていたからであった。
その事実を突き止められ、この会話もクラウド上に残されるとわかった《ロト》はシャルを《虚空暦録》が眠る場所へと連れていくことにした。
そして最後にシャルはこう聞いた。
「アナタ、どこかでワタシと会ったことある?」
(シャルがあったことある人物で《連邦政府》にいる人間はここまでこの人物しか出てきていないが…?)
その後、シャルは《虚空暦録》がある場所へと連れてこられた。そして、先へ進むと《虚空暦録》を解析するアベルを発見し、アベルとの戦闘が始まる。その戦闘で自らの《意志》で戦うもアベルの《暗号》には敵わず、《救済のコード》を与えられ、シャルは瀕死に陥る。
しかし、そこに「大嫌いな」君塚が現れる。夏凪によって《喪失のコード》を書き換え、《特異点》としての性質、五感を取り戻したのだ。君塚の《特異点》によるものなのかシャルも回復する。君塚によれば、自身の意識だけがこの場所に存在し肉体は別の場所にあるという。君塚が病院で目覚めると1枚の扉が出現した。アベルが君塚に《喪失のコード》を与えた直後に現れたものと同じだった、そこをくぐって、意識だけやってきたのだ。そうして今度は君塚とアベルによる戦闘が始まる。シャルですら勝てなかったが、君塚は《特異点》という性質を利用しアベルを一時封印する。そして君塚は先述の金庫にあったという一枚の写真をシャルに手渡す。その写真にはシャルの家族が「真の家族」として映っている写真だった。
その写真を見て涙があふれだすシャルに対して君塚は、
「俺は今、お前のために何ができる?」
と尋ねる。それに対して、
「ワタシはアナタのことが嫌い!大嫌い!」
「でも、アナタと一緒なら、なんだってできる気がする。だからお願い。手を握って——一緒に戦って」
そういって有坂梢を苦しめていたアカシックレコードめがけて2人で銃弾を放った。