ステインソール
すていんそーる
「生き延びたければただ前を向き駆け抜けよ!案ずるな!俺が道を切り開く!」
ステインソール(Steinthor)とはライトノベル「百錬の覇王と聖約の戦乙女」の登場人物。
「雷」の氏族の宗主で、神に選ばれた選別の証「ルーン」を例外的に2つ所持している双紋のエインヘリアル。
身の丈ほどもある大鎚を軽々と振り回すほどの怪力の持ち主で、単身での戦闘能力で右に出る者はほぼいない。
自身が最強であると疑わず、事実その通りであるため傲慢不遜だが、臆病や卑怯とは無縁な性格で、ひたすらに強者との競い合いを求める戦闘狂。
一人で戦局を左右するレベルの戦闘力を持つため、宗主の身でありながら戦争の際には最前線で猛威を振るう。
ヴィンクソール(CV:佐香智久)という良く似た実兄がいるが、ヴィンクソール自身がステインソールを「あの化物」呼ばわりするほど実力差があるらしく、弟に宗主の座を譲っている。
スカーヴィズ曰く「実弟にこき使われる哀れな愚兄賢弟」とのことだが、兄が戦死した際にステインソールは激しく狼狽して取り乱し、アニメでも兄が弟に不満もなく進言するシーンがあることから、兄弟仲は悪くなかった模様。
主人公である「周防勇斗」は、才能に飽かして周囲を顧みない姿が昔の自分と重なるとしてステインソールを毛嫌いしており、事あるごとに「あのバカ」などと罵っている。ただし頭が悪いと言う評価ではなく、傍若無人っぷりやそれを押し通せるだけの力を指して「厄介なやつ」という意味合いが強い。
さらにステインソールの猪突する傾向や味方を置き去りにしてしまう短慮な面を指して「匹夫の勇」と称していたが、自らの戦略を覆しうる戦闘力を目の当たりにすると、流石に焦りの色を隠せなくなった。
勇斗が率いる「狼」の氏族との闘いでは「狼」の用いる武器や作戦をことごとく打ち破り、勇斗に辛酸を舐めさせた。
最終的には勇斗の戦略に敗北してしまうが、ステインソール自身はかろうじて生存。
自身の敗北と勇斗の力を素直に認め、成長の兆しを見せた。
再戦時には危険を察知して深追いを避け撤退命令を出したり、必要に応じて他氏族の力を借りるなど、将として柔軟な思考を見せている。
アニメではジークルーネとの戦いで決して浅くない手傷を負いながらも、兵士を逃がすために自ら殿を名乗り出るシーンも描かれており、主役を喰うような扱いであった。
アニメでは勇斗の「匹夫の勇」発言が音声だけでは「HIPのYOU」にしか聞こえないことに加え、匹夫の勇について解説する際のあまりに持って回り過ぎた説明ゼリフと、「その匹夫が突っ込んできます!」というネタにならない方がおかしいセリフ回しが悪い意味でネタにされ「HIPのYOU」などと呼ばれた。
尤もステインソールを貶める意味合いは薄く、むしろ見てて清々しいくらいの暴れっぷりや王道主人公のような活躍からアニメ視聴者の評価は概ね好評であったが
反面、本来の主人公である勇斗に対しては、いわゆる軍師系主人公でありながら、アニメにおいては(視聴者視点から見て)特に熱い頭脳戦を繰り広げるわけでもなく現代知識チートに頼り切りな姿勢や、必要以上にステインソールを罵倒する描写、加えて「匹夫の勇」の誤用や自らが「匹夫の勇」にしか見えない判断などから、このエピソードに関してあまりいい評価は得られなかった。
尺の都合や作画の手間などから原作の戦いを再現出来なかったことはまだしも、主人公陣営がやたらとHIPを連呼するのは意図のよくわからない変更であると原作ファンからも困惑の色が濃かった。
アニメでのステインソールは原作以上に女っ気を感じさせないように描写されており、「蹄」の宗主が娘を差し出し婚姻関係を結んで宥和政策をとったこと、先代を手にかけているリネーアに対して「ボンキュッボンの美女なら相手してやってもいい」と無配慮に言い放つシーンなどがカットされていることも好印象に繋がったと思われる。
所謂なろう系と呼ばれる作品は、主人公がやたらと女性を周囲に侍らせる展開を嫌悪されることも多く、その対極に位置するステインソールが好評を得た一因ともなっている。
ちなみにツイッター上で初めてこの作品に対して「HIPのYOU」を用いたのは他でもない公式イラストレーターの「ゆきさん」である模様。
尤も単に「そう聞こえる」というだけの発言であり、おそらく元ネタである「ロマンシングサガ ミンストレルソング」になぞらえてのツイートのため批判的な意味は含んでいないと思われる。