「何てことを考える。ヴォルフ・ムーロア!」───レイ・グレック
概要
2024年12月発売の「機獣新世紀ZOIDS CORE BOX」に収録された「ゾイド公式ファンブック5巻」のゾイドバトルストーリー上で登場したセイスモサウルスの改造バリエーションであり、ネオゼネバス帝国の皇帝ヴォルフ・ムーロアがヘリック共和国軍と決着を付けるべく用意した決戦ゾイド。
以下、公式ファンブック5巻の最大級のネタバレ注意
その実態は、首を撤去したセイスモサウルスの胴体にあの『1200mmウルトラキャノン』に匹敵する超巨大荷電粒子砲の砲塔を埋め込み、さらに数十機ものセイスモサウルスの機体またはゾイドコアをパイプで連結してエネルギー源にしたという、もはやゾイドと呼べるかさえ怪しい異形の兵器。
ヴォルフが「共和国をこの世から完全に跡形もなく消し去る」ことを目的に造り上げた最終兵器で、劇中で火を噴くことはなかったものの、荷電粒子砲でありながらその射程は100kmを超えると見られ、破壊力についてもエネルギー源となったセイスモサウルスの数や顛末の描写から、共和国軍そのものを一撃のもとに消し去るものであったことは想像に難くない。
ヴォルフはこの悪魔の兵器を戦場から100km以上も離れた北方山脈に設置し、帝国主力と交戦する共和国軍主力部隊、さらには彼らの拠点となっているクロケットシティを砲撃し、戦争の勝敗を決するつもりであった。
しかし、ヴォルフと深い因縁を持つレイ・グレックがヴォルフとの死闘の最中、ライガーゼロファルコンのビーム砲でセイスモキャノンのゾイドコアを破壊したことで事態は一変。エネルギー源として接続された数十に及ぶセイスモのゾイドコアの膨大なエネルギーが行き場を失って一斉にコア崩壊を誘発し、半径100kmを消滅させるほどの爆発を起こす事態となってしまう。
この未曽有の危機に、レイ・グレックとヴォルフ・ムーロアはどうしたのか。
ヘリック共和国とネオゼネバス帝国は、戦争の行方はどうなったのか。
それぞれの結末は、ぜひゾイド公式ファンブック5巻を読んで、その目で確かめて欲しい。
余談
ゾイド公式ファンブック5巻のバトルストーリーは、それまでネオゼネバス帝国編を伝えるほぼ唯一の媒体であった「オフィシャルファンブックEX」から大きく加筆、改訂されているが、セイスモキャノンはファンブックEXには全く存在しておらず(あちらではヴォルフ搭乗のエナジーライガーがコア崩壊による爆発の危機を招いている)、その異様極まりない見た目も相まって読者の度肝を抜いた。
その砲身の巨大さもさることながら、運用方法や射程距離、想定される破壊力に至るまで、かつて西方大陸戦争時代にヘリック共和国が用いた1200mmウルトラキャノンとの類似が見られる。そもそもゾイド戦役史上において『大軍を丸ごと吹き飛ばす超長距離砲撃』という事例がウルトラキャノンの他に存在しないため、共和国軍を殲滅するプランとしてヴォルフがウルトラキャノンを参考にした、もしくは意識していた可能性は高い。
- 付け加えると、作中のジオラマに用いられたセイスモキャノンの砲塔はまさしく1200mmウルトラキャノンそのものが流用されている。
過去のセイスモサウルスのバリエーションで似たようなコンセプトとして、電撃ホビーマガジンで公開された『世界征服モデル』がある。こちらは大型の荷電粒子砲「世界征服砲」を尻尾から頭部にかけてまっすぐに背負うというもので、セイスモキャノンと比べれば(まだ)真っ当な強化プランであった。
「あまりに突拍子もないプランだったため開発されなかった」という設定であったものの、規模でも見た目でも遥かに強烈で歪なプランが公式のジオラマでお出しされてしまうこととなった。