概要
野球における様々なデータを統計学の観点から客観的に分析すること。また、その結果を用いて選手の評価や戦略立案に役立てることである。略してセイバーと呼ばれることも。
1970年代にアメリカのビル・ジェームズが提唱したのが始まり。
セイバーメトリクスは、アメリカ野球学会の略称SABRと測定法などを意味するmetericsを合わせた造語である。
元々野球では打率や防御率といった様々な指標が用いられているが、セイバーメトリクスではより詳細なデータを統計学を用いて客観的かつこれまで以上に精密に分析することが特徴である。
とはいえ送りバントの価値を軽視すべき、などといった分析結果がこれまでの野球の常識と反していたことも相まって、当初は懐疑的に見られていた。
しかし、2000年代に貧乏球団で知られたアスレチックスが、セイバーメトリクスの観点で見ると能力が高いことが判明したものの、年俸が安く費用対効果に優れる選手を集め成功を収めたことをきっかけにMLBで広く用いられるようになった。
近年では、NPBでも各球団が専門のアナリストを雇用するなど徐々に広まりを見せている。
また、意外なところでは、鳩山由紀夫が1979年に発表した論文「野球のOR」において統計学的な考えを用いて野球を考察している。
しかしながら、スポーツ新聞やテレビなどのマスメディアでセイバーメトリクスが取り上げられることは少ないのが現状である。
注意点
セイバーメトリクスはあくまで結果の集計に過ぎない。
そのため、算出された指標を見るだけでは「なぜこのような結果が出たのか」といったことまでは必ずしも分からない。
また統計学の宿命ではあるが、シーズン序盤の短期間のデータのみを用いるなどサンプルサイズが小さい場合、誤差が大きくなりやすい他、平均から外れた極端な成績の選手に対する精度はどうしても落ちてしまう。
どちらにせよ、単に1つ指標の数値だけで判断するのではなく他の指標を用いたり「何故このような結果になったのか?」といった観点から考察したりするなど、必要に応じて一歩踏み込んだ分析を行うべきである。