セプテントリオン(ゲーム)
せぷてんとりおん
パニック・災害映画をそのままゲームにしたような内容で、四人の主人公の中から一人を選び、嵐の中転覆してしまった豪華客船から無事に脱出することでクリアとなる。脱出状況に応じたマルチエンディング方式。
単に一人で脱出すれば良いわけでなく、各主人公には重要人物が存在し、同時に複数の生存者と共に船から無事に生還するのが最良のエンディング要件である。
沈没までの制限時間はリアルタイムで60分。船内の地図も用意されているが、転覆することなど想定していないので、あまり役には立たない。クリアのためには自分でノートなどにマッピングする必要もある。
ちなみに一人で脱出した場合のエンディングは悲惨な全滅エンドなので、気をつけたい。
さらに、沈没までにはいくつかのフェイズが用意されていて、その流れを把握することが攻略する上で重要となっている。
当時としてはリアルに作られており、主人公が高い所から落ちる、火に触れる、落下物に当たる、水中で一定時間以上潜って溺れる等するとミスとなって5分経過のペナルティを受ける。55分以降にミスした場合は即ゲームオーバーとなり、60分過ぎてしまった場合は船が完全に沈んでしまう描写が描かれ、船内が完全に水没し生存者達が溺死するのをただ見続けるしかない絶望を味わいながらのゲームオーバーとなる。
生存者には見えないパラメータとして、それぞれ体力と点数が設定されている。この点数が特に重要で、ベストエンディングを目指すには高得点で脱出する必要がある。
体力が少なくなると後ろをついてこなかったり、「疲れた、休みたい。」といったメッセージが表示されるので、歩くのを止めて回復させる必要がある。警告を無視して歩き続けると力尽きてしまう。生存者達は一度死んでしまうと二度と生き返ることは出来ない。
また、主人公の後ろをうまく歩いてくれるように誘導したり、ジャンプ力が足りず補助しなければいけなかったりと、その行動に振り回される。
体力が低いほど点数も上がる。基本的に女性・子供・病人・怪我人はポイントが高いが、逆に言えば生存させるのが難しい。
このように、今作は当時のゲームとしても異色の世界観であり、死に刻々と近づくだけの状況や、人々の恐怖や狂気が綿密に描かれており、作中の雰囲気にマッチしたBGMも評価が高い。
豪華客船 レディ=クリサニア号
今作の舞台となる船。
架空の出来事だが、海難事故史上最大の悲劇に遭ってしまい、今なお海の底で眠り続けている船で床屋、食堂、売店と言った施設も一通りそろっていた豪華な作りになっている。
1921年9月13日午後7時11分
記録的な嵐が吹き荒れたハンブルトン沖合で高潮を受けて(ゲーム上では津波となっている)転覆し約3時間後にボイラーが爆発して本格的に沈み始め、転覆から6時間後に沈没した。(リアルタイムの10分=ゲームでは1時間経過となっている模様。)
大災厄級の事故であり、犠牲者は乗客と乗組員を含む2300余名と桁違いの被害を出してしまった。
四人の主人公
キャプリス=ウィッシャー
年齢 | 23歳 |
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職業 | 建築家 |
生年月日 | 1898年4月8日 |
身長 | 176cm |
重要人物 | エイミー(義妹) |
ごく一般の乗客の一人。連れ子だった重病の義妹を引き取り、唯一の肉親として日々彼女の介護をしている。そのため、心労によって常に気が立っている状態で、他人との会話は苦手。更には病人であるエイミーの点数が低い(4点。普通の女性並しかない)上に、ひっくり返って行き来が困難になっている上に他の要救助者とはかけ離れている船体の下部の部屋に孤立している。ベストエンディングを目指すには事故前に目的の部屋にある程度接近しておきつつ他の要救助者の場所も把握しておかねばならず、要救助者の回収に手間どってしまう上に後述のユーサーとの対決もほぼ避けられないため、難易度的には上級者向き。
単独で脱出しても唯一生還できるが、妹を見捨てた後悔を背負って生きる方が辛いとも捉えることもできる。
苦難を乗り越えて見られるベストエンディングでの会話は必見。
レドウィン=ガードナー
年齢 | 39歳 |
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職業 | 牧師 |
生年月日 | 1882年1月19日 |
身長 | 167cm |
重要人物 | ステラ・ジャック・ハリー (いずれも子供) |
やさぐれ神父様。なぜか人望が厚く、重要人物も血縁関係にない、船で偶然出会った子供である。
説得も得意で彼の人間性が垣間見える。重要人物が3人もいるが、そのうち一人は後半以降しか登場しない。
子供たちの親はすでに瀕死の状態であり、会話させることが出来るが救助はできない。今作ではこういった悲劇が続発する。
しかも、重要人物の誰か一人でも失うとエンディングが変化してしまう。クリアは出来ても、彼自身が生還出来るのはベストエンディングのみ。(但し子供たちを確保しておけばそれだけで25点中の19点は確保できるので残りのノルマは適当に3人以上拾っておけば十分に達成は出来る)。
ルーク=ハインズ
年齢 | 21歳 |
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職業 | 航海士 |
生年月日 | 1900年10月27日 |
身長 | 181cm |
重要人物 | イスメイ(船のオーナー) |
衝撃で助かった数少ない乗員の一人で、二等航海士。重要人物が高慢な性格の自己中心的なオーナーで、しかも点数も低いおまけ付き。それでも助け出さなくてはならない(とある条件だとこのオーナーは更なる愚行に走る)。
事故を起こした乗員の一人と言う理由で、生存者から目の敵にされやすく、主人公では最年少なので侮られている。全主人公で最も体力があるが、逆にコミュニケーション能力が低く、彼自身もパニックが感情に出ている場面も多いので、極限状態にある生存者の説得が難しく時間がかかる。キャプリスほど重要人物と他の要救助者の距離が離れていないのが救いといえば救い。慣れればボイラー爆発前に突破してベストエンディングも不可能ではない。
ちなみに一人で脱出してしまった場合、サルベージ船の船長に乗客を放置して自分だけ逃げてきたことを非難され結局船体に戻る羽目になり、そのまま行方不明となってしまう。
ジェフリー=ハウエル
年齢 | 54歳 |
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職業 | 医師 |
生年月日 | 1867年7月31日 |
身長 | 164cm |
重要人物 | アデラ(妻) |
開業医で温厚な性格のおじいちゃん。主人公の中では最高齢だが、妻のアデルと再び踊るために立ち上がった。非常に高いコミュニケーション能力を持ち、持ち前の医術に加えて読唇術まで使える万能性を誇る半面、水中移動に難があって他の主人公よりも短い時間で溺れてしまい、ゲームオーバーになりやすい。尤も重要人物のアデラが他の点数の高い救助者を回収するルートで待機しているので救助者を集めるのはスムーズなので、ジェフリーの場合は爆発の前にボイラー室を通過するのも十分に可能。ベストエンディングが一番見やすい主人公といえるだろう。
ちなみに、一人で脱出してしまい絶望して衰弱死(ひょっとすると睡眠薬で自殺?)するルートも含め、彼のエンディングでは全ルートで船体から出ることに成功する(閉じ込められる展開でもサルベージ船乗員が必ず気づくので脱出できる。一方アデラ回収&点数不足だと一度出口に到達するのは成功するも船員ではないのにもっと救助しようと使命感を燃やしてしまい、船に戻ってそのまま帰らぬ人となってしまう。奥さん涙目・・・)。そのためジェフリープレイ時にボイラー室出口まで誘導に成功した要救助者は全員助かることになる。
その他の人物
機関長ユーサー
救助者を一定数以上連れていると、ボイラー室前に現れるもう一つの生存者チーム。最後に立ちはだかるので、ラスボスと呼ばれることも。
ボイラー室の機関長で、30分後に起きた爆発によって6人の部下を一瞬にして失ってしまい、「船首に向かえ」と豪語して一歩も譲ろうとしない。厄介なのが、主人公チームに対して演説するので、仲間を信頼させるには彼との交渉になんとしても勝つ必要がある。負けてしまうと全ての仲間を連れていかれてしまう。コミュ力の低い主人公では、そのまま応対するだけでなく、回答を受け流すことが必要となる。
ゲームをやり込み、かつ厳しい条件をクリアして初めて現れるため、初見で突破することは困難。有野課長も引っ掛かってしまった。
部下の一人であるヘンリー曰く、本当はこのような性格ではなかったが、絶望的な船の状態と、数時間後に自分の身に起こるだろう「死」の瞬間を目の前で見てしまった影響で、正気を失ったらしい。
ヘンリーが要救助者入りしているレドウィンとジェフリーは同行者を最大数にしてボイラー室を訪れることで、ヘンリーの登場をキャンセルすることでこのイベントを回避することが可能。尤も、レドウィンはユーサーを絶対に論破できるし、ジェフリーはジェフリーで即答でユーサーに対応するのが正解なのでこの二人は交渉しやすい方なのだが。
ジャック・ハミルトン
上記のレドウィンの重要人物だが、彼のみ他の主人公でも救助可能。子供なので6点とかなり高めの評価点をもらえる。ゲーム中ではハンフリー・クラフトという人物に保護され、彼に託される形でジャックは合流する。
で、なんで彼だけここに記されてるのかというと、バグ(ひょっとしたら制作側が仕込んだ仕様の裏技の可能性もある)で一旦6名を救助して安全な場所に待機させた後ジャックを救助してボイラー室に到達すると其の六人が既に到達しているという現象が発生するのだ。もし仕様だとしたらハンフリーがあの後偶然発見した六人を自分の身を犠牲にしてボイラー室まで連れてきたのかもしれない・・・。
サルベージ船ベンジャミン号
本作に登場する救助隊員たち。
絶体絶命の状況においても職務を全うする救助隊員の鑑。
クリア時の状況によっては、いつまでも現れることはなく、全員が力尽きてしまう。
序幕
ゲーム開始直後。嵐の中航海を続ける豪華客船を歩くことが出来る。
しかし、リアルタイムで数分ほど経過すると突然揺れ出し、状況は一変する。
前半 転覆
まるでゲームオーバーのようなBGMを合図に、船が転覆する。
この時の衝撃は非常に大きく、多くの乗客が命を落としてしまう…。そして、船の中は地獄と化す。
何名か生存者がおり、彼らの救助と一世一代の脱出劇が始まる。また、船は定期的に傾き出し、その方向によってルートが変わる。
このため、予め立てておいた脱出ルートの変更も余儀なくされるので、完璧な攻略ルートと言うのが存在せず、クリアには運も味方に付けなければならない。
後半 ボイラー爆発
約30分経過した当たりで船のボイラーが爆発して、ただでさえ深刻な状況に追い打ちをかける。前半の生存者の大半が消えてしまい(おそらく爆発の影響で全員死亡)、後半限定の生存者が新たに登場する。不幸中の幸いか、衝撃でボイラー室への道が(正規に)出来る。最奥に出口があり、船外への脱出が可能となる。ここにたどり着くのが目的である。
一部が浸水し、水中を潜って移動する場面も出てきたり、船の定期的な傾きも大きくなる。傾きによって、歩いていた場所が不意の直角落下による原因で全滅してしまい、ベストエンディングが一瞬で消えるといった事故の確率も急激に跳ね上がる。
ボイラー室の攻防
船内から脱出するためにボイラー室を通ろうとするが、機関長との生存者を賭けた交渉が始まる。
ボイラー室に入ると、制限時間が止まる(ミスして5分経過のみ)。内部はアスレチックになっていて、有名な配管工でも手こずるような狭い足場を飛び越える場面が多く、複数の仲間を連れている場合は全員を出口まで導く必要があるため、些細なミスも許されない緊迫した状況が続く。一度入ると二度と戻れない。
エピローグ
単独での脱出、重要人物生存、重要人物を仲間にしたが死亡or離脱、重要人物を仲間にしなかった、重要人物生存かつ救助者の合計点数25点以上のパターンに分かれベストエンディングでは、生き残った主人公が事故のその後を語る。
正式タイトルは『セプテントリオン ~Out of the Blue~』(アウト・オブ・ザ・ブルー)
1999年3月11日にヒューマンより発売されたPlayStation用ゲームソフト。
3DポリゴンのアクションゲームでSFC版との共通点は「転覆した豪華客船から脱出する」という舞台設定だけであり時代設定・登場人物・シナリオ・操作性などはSFC版とは全く違い、完全に別物になっている。しかしクオリティの低いCG、操作性の悪さ、緊張感のない浸水シーン等々お世辞にも評価が高いとは言えずクソゲーと言われる事も……どうしてこうなった