概要
昭和10年(1935年)に発行された『旅と伝説』8巻10号通巻94号において、斉藤源三郎氏が論文「人魂に就いて」で紹介した怪火。
千葉県印旛郡川上村(現:八街市)において人魂の類いはタマセと呼ばれている。
タマセは人の体の中に宿っており、死ぬのと同時に体の外に出てくるもので、黄色い光球といった姿をしている。
また十尺ほど(約3m)もある青色の長い尾を引きながら、家屋や樹の梢の近くをすれすれに飛び回るといわれ、若者のタマセは早く、老人から出たものは遅いとされる。
亡くなる2,3日前には体内から抜け出して、生前に縁が近かった者の家の雨戸にぶつかり大きな音を立てるが、縁が深くない者には見えることは見えるが音は全く聞こえないともいわれている。
さらに28歳までに見なかった者のところには「会いましょう、会いましょう」と現れるので、見たふりをすると良いのだという。
昭和58年(1983年)に発行された『浦和市史民俗篇』の、川端道子氏の論文「人魂の話」にも同名の怪火が紹介されており、それによると埼玉県さいたま市においては、人が亡くなる1週間くらい前になると、カラスが元気よく鳴いて怪火と化すことがあり、この火の玉は長い尾を引いてフラフラと飛び回るといわれている。