概要
鳥山石燕の『画図百鬼夜行』で紹介された、京都に現れるという怪火の一種。
叢原とは草が茂った野原のことで、そのような場所によく現れるともいわれる。
京都府中京区壬生梛ノ宮町に残る壬生寺地蔵堂において、賽銭や油を盗んでいたという下法師・宗玄が、死して後に仏罰によって鬼火の姿となったものであり、火の中心には苦悶の表情をした男の顔が浮かんでいるという。
『新御伽婢子』においては青い怪火宗玄火と呼ばれ、『画図百鬼夜行』の文にある朱雀の宗源火とは、この僧侶が盗みを働いていたのが朱雀(南方の守護獣)で象徴される西院の南にある壬生寺であるからだと考察される。
『翁草』では千本の郊野に出る六反火と同様に燃える火であるとされ、処刑された宗玄という山伏が化けたものではあるが、出る場所からやはり叢原火と呼ぶ方が正しいという人もいるという。