概要
ライトノベル「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~」の劇中で使用されている用語の1つ。主人公の住む国(ユルゲンシュミット)の王の称号で、劇中では「ツェント・名前」と呼ばれる。ツェントはグルトリスハイトを所持し、それにより国を治める。ユルゲンシュミットの王は、グルトリスハイトを持つ者の中から選定される。
解説
ツェントは「グルトリスハイト」と呼ばれる、英知の女神メスティオノーラから写本を許されたという由来のレガリアを所持し、国の礎を自分の魔力で満たした者を指す。
グルトリスハイトは、本の形をしており、単なる装飾品ではなく、それを媒介にツェントとして国を治めるために必要な魔術を行使することが出来る。
逆に言えば、グルトリスハイトにはツェント(候補含む)以外に門外不出な知識や情報が詰まっており、またグルトリスハイトの所持自体が資格証(アクセス権)となるため、グルトリスハイトが無ければツェント特有の業務の遂行が出来なくなる。
例えば、作中のツェント・トラオクヴァールは、政変でグルトリスハイトが失われ、また取得方法も失伝していることから、生き残った前王唯一の直系王族というだけの、グルトリスハイトを持たない実の無い王で有る。
そのため、国の礎へ行く方法が分からず、国内の領の境界線を引き直すことが出来ず、国境門の開閉が出来ないため現在開けっ放しのランツェナーヴェ以外の他国との貿易が出来ない状態にある。
そのほか、国の魔力が枯渇し、様々な不具合が起こっている。
ツェントの条件
レガリア(王権の象徴)
グルトリスハイトを所持すること。
- メスティオノーラの書
実は、グルトリスハイトというのは呪文で、本来ツェントが英知の女神メスティオノーラから写本を許されたものは『メスティオノーラの書』と呼ばれる。
作中では、当初メスティオノーラの書とグルトリスハイトが同じ物と認識されていた。
政変で敵対派(負け組)に対する苛烈な粛正(一族連座処刑)が行われ、情報が断絶したからかと推察される。
神々に認められる真なる王は、メスティオノーラの書を得ていなくてはならない。
メスティオノーラの書は、始まりの庭でシュタープを得、たくさん祈って、再び始まりの庭で元・神エアヴェルミーンの導きによりメスティオノーラより知識を授からねばならない。
しかし、その取得手順は失伝しており、作中では不明。
五章にて主人公ローゼマインが取得することにより、取得方法が判明する。
- グルトリスハイト(魔術具)
時代が下って、徐々にメスティオノーラの書を行程を省略して取得するようになり、ついに魔術具のグルトリスハイトを代々受け継ぐようになった。
作中で失われたグルトリスハイトは、魔術具のグルトリスハイトであるが、作中のほとんどの貴族はそのことを知らず、知っている者はそれぞれの立場や事情により情報を表に出せない状態にある。
ツェント・トラオクヴァールや王族をはじめ、国中の貴族が本の形をしたグルトリスハイト(魔術具)の現在の在処を探している。
しかし、取得方法は失伝しているため不明。
実は、貴族院図書館の地下の王族しか入れない書庫に有るのだが、それすら失伝しており、加えて、現王族に取得条件を満たす者はいない。
国(ユルゲンシュミット)の礎を染める
自分一人の魔力で国の礎を満たさなければならない。
当然、かなりの魔力量が要求される。
ユルゲンシュミットは魔力で保たれている国なので、魔力が無くなると、土地は荒廃し、魔力で建造された白の建物は崩壊する。最終的に、ユルゲンシュミットが崩壊する。
ツェントの業務
礎に魔力供給
国の礎の魔術に魔力を供給する。礎への生き方もグルトリスハイトに記載されている。
神事(失伝)
聖地(貴族院)で神事を行う。
現在ではツェントはおろか、貴族が神事を行うことはあり得ない。神殿自体も忌避・嫌悪されている。
神事を行うのは、貴族になれない魔力量しかなく貴族になれなかった青色神官(巫女)の仕事である。
- 祈念式(春)
- 領主候補生の星結び(春)
- 奉納式(冬)
- 貴族の成人式(冬)(卒業式)
- 洗礼式
- ツェントの継承式
- その他、古の儀式
国境門
- 魔力供給
国境門に魔力供給し、魔術陣が使用できる状態にする。
国境門を通じて、間接的に国の礎に魔力供給することも可能。ただし、効率が悪いと思われる。
グルトリスハイトを持っていれば出来る。
- 開閉
呪文で国境門を開け閉めできる。
- 国から国への転移
- 国境門から国境門への転移
礎の魔術の作成
礎の魔術を作成するし、設置することが出来る。
礎の魔術は、新たな領地を作成する際の必須技能である。
神具の作成
新たな礎を作成したら、それに対応した神具を作成する。
領地の境界線の引き直し
領地の境界線を引き直すことが出来る。礎の間で行うので、礎を染めた者にしか出来ない。
領地間のとりまとめ(政治)
歴代ツェント
名 前・通 称 | 年 代 | 補足 |
---|---|---|
初代 | 初代 | 神殿長兼任。メスティオノーラの書を授かる。 |
ダンケルフェルガー出身の王 | メスティオノーラの書を得て、ダンケルフェルガーから王が立った。この頃は血族継承では無かった。 | |
王族を創始した女王 | 王族(自分の血族)以外にグルトリスハイトが取得できないようにした。王族の住まいを聖地(貴族院)から中央へ移した。 | |
オイサヴァール | 400年程前 | |
ハイルアインド | オイサヴァールの息子 | ランツェナーヴェの初代王の兄弟。 |
ボースガイツの侵攻を阻止した王 | 200年程前 | 外国のボースガイツの侵攻を防ぎ、アイゼンライヒを解体した。 |
中央神殿を建立した王 | ひ弱な次代のために中央神殿を建立した | |
ひ弱な王 | 中央神殿を建立した王の次代。ひ弱なので、住まいに近い中央神殿で神事を行った | |
魔術具グルトリスハイトを作成した女王 | 魔術具のグルトリスハイトを作成した。魔術具作成の天才。属性の欠けた息子を溺愛し、次代の王にしようとする。 | |
溺愛された王 | グルトリスハイト作成女王の次代 | 魔術具のグルトリスハイトを作成した女王に溺愛された息子。属性が欠けていた。 次代に魔術具のグルトリスハイトを譲る。 |
前王 | 前王 | 故人。第二王子を後継者に指名し、グルトリスハイトを譲る。 しかし、政変により第二王子が死亡し、グルトリスハイトも失われた。 |
トラオクヴァール | 当代 | 前王の第五王子。グルトリスハイトを持たぬ偽りの王。 |