妖怪としてのツツガムシ
→恙虫を参照。
概要
ツツガムシ科に属するダニの総称。大きさは0.2~0.3㎜くらいしかない。
この種の幼虫の中には体内に病原性リケッチアを持つものがおり、ネズミなどの脊椎動物の耳に寄生したものが人を刺すことで人獣共通感染症「ツツガムシ病」を媒介する。ちなみにエサは血ではなく細胞液で、成虫は吸血しない。
ツツガムシ病に限らず、昔の人は疫病を妖怪や非業の死を遂げた者の祟り・呪いだと考え、それ故にお堂や祠が建立されたり加持祈祷が行われたりした(そのため、各地に類似した言い伝えが存在する)。
元々ツツガムシという名前も「病をもたらす虫」という意味であり、妖怪化されたイメージ像に付けられたものである。
北陸、東北地方に多いアカツツガムシによるものは「古典型ツツガムシ病」といわれ、昭和にはいってから関東を含めた全国で発見された別種のダニによるものは「新型ツツガムシ病」という。
同じくダニが媒介するリケッチアを原因とする「日本紅斑熱」や「発疹チフス」に症状が似ることから「藪チフス」ともいわれた。
治療が遅れると播種性血管内凝固症候群(DIC)や肝不全などの合併症で死亡することもある(しかも致死率が5割という高さ)。
原因となるダニは日本だけではなくアジア、オセアニアの太平洋沿岸にいることがわかっており、現在でも山などで作業をしていて刺され、発症した者がいるとニュースになる。
関連項目
マダニ:やはり病原体を持つ害悪な存在。ちなみに家でよくいるダニとは別の種類。