概要
ニキビダニ属(ニキビダニ属、学名:Demodex;デモデクス)は、哺乳類の毛包(毛根を包んでいる、毛穴周辺の皮膚組織)内またはその近くに棲息し、多くは寄生するダニ類。
リンネ式階層分類体系において、節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目ケダニ亜目(前気門亜目)ニキビダニ科の1属に分類されている。
寄生対象とする特定の生物種に応じて生態を進化させており、さまざまに呼び分けされている。
その中で我々にとって最も重要な種が、後述する「ニキビダニ」であり、これはヒトに特化している。
イヌに特化したイヌニキビダニ(学名:Demodex canis;デモデクス・カニス)や、ネコに特化したネコニキビダニ(学名:Demodex cati;デモデクス・カティ)、ウシに特化したウシニキビダニ(学名:Demodex bovis;デモデクス・ボウィス/ボヴィス)、ウマに特化したウマニキビダニ(学名:Demodex equi;デモデクス・エクィ)等々は、ペットや家畜がニキビダニ属の特定種を原因とした皮膚病に悩まされることから、それぞれの関係者にはよく知られている。
ニキビダニ(漢字表記:面皰壁蝨、面皰蜱、学名:Demodex folliculorum;デモデクス・フォッリクロルム)は、ニキビダニ属の1種で、ヒトの毛包に寄生する生態を特化させている。
「 ヒトニキビダニ 」と呼んだほうが近縁種と区別しやすいものの、そういう名称は存在しない。
要するに、こいつは、ヒトが好きで好きでたまらない、ヒトにしか興味が無く、ヒトと同化しようと目論んでいるとしか思えない、“ヒト偏愛型のニキビダニ ”なのである。
しかし、ゲノム解析の結果、彼らはヒトの毛包に寄生する生態を単純化する方向へ進化させすぎており、最早ヒト無くしては生きられない体になってしまっていることが判明している(2022年発表)。なにごとも、頼りすぎはいけないのよね~。
彼らは主に顔面に棲み付いていることから、カオダニ(顔ダニ、顔壁蝨、顔蜱)と呼ばれることも多い。
マツゲダニ(睫毛ダニ、まつ毛ダニ、睫毛壁蝨、睫毛蜱)は、とりわけ睫毛に棲み付いているニキビダニのこと。
なお、彼らの一人当たりの棲息数は200万匹ほどとするのが一般的で、これを都市人口と比較すると、札幌市民より多く名古屋市民より少ない(cf.Wikipedia:日本の市の人口順位)。
また、ヒトの皮脂腺には、これもニキビダニ属の1種であるコガタニキビダニ(小型面皰壁蝨、小型面皰蜱、学名:Demodex brevis;デモデクス・ブレウィス/ブレヴィス)が寄生している。
関連タグ
外部リンク
- 「ニキビダニ」 ウィキペディア 日本語版 "Demodex folliculorum" 英語版
- 「【ゾワゾワ】あなたの顔にも…顔ダニが毛穴に潜む本当の理由【へんないきもの#112】」 へんないきものチャンネル(YouTubeチャンネル)、2024年5月6日投稿。