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トカゲ王の島

とかげおうのしま

ゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズの第7弾。著者はイアン・リビングストン。
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「トカゲ王の島」とは、イギリスの出版社「ペンギン・ブックス」から出版されていたゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズの第7弾「ISLAND OF THE LIZARD KING」の日本語版タイトルである。出版社は社会思想社。


作品解説編集

 オイスターベイ。

 ポート・ブラックサンドから100キロ南下した海岸線にある、静かな漁村。

 ファングから南に旅していた主人公=君は、オイスターベイへ向かい、そこで2、3日ほど休息を取ろうと考えていた。

 しかしいざ到着すると、漁村は何者かの襲撃を受けており、村では重い空気が漂っていた。

 友人のマンゴが言うには、近くの火山島をトカゲ兵が占領し、オイスターベイに襲撃しては奴隷にするために若者たちを連れ去って行くというのだ。

 かつて火山島は、罪人を閉じ込めるために囚人島として使われていた。時の統治者のオラフ王子は、その看守にトカゲ兵を雇っていた。が、罪人の数が増えすぎたため、王子はそのまま放棄。トカゲ兵たちは自分たちがこの島を占領し、トカゲ王と呼ぶ支配者により支配されてしまった。

 この島には金鉱があり、囚人たちは強制的に労働力にされていた。が、ひどい扱いに囚人たちはたちまち数を減らし、減った数を補充するためにオイスターベイを含む周辺地域を襲撃し始めた、という事らしい。

 また、トカゲ王は魔術や外科手術を含めた様々な手段で、動物や人間、同族のトカゲ兵を改造する実験も行う様になっている。その結果生まれた怪物が、火山島にははびこっているとの噂もある。逃げて来た僅かな囚人たちは、そのように言っていた。

 トカゲ王を倒し、連れ去られた犠牲者たちを救うため、君はマンゴとともに火山島に赴く事を決意する……。


 シリーズ7作目。

 今回の舞台は、「南国の火山島」という、「運命の森」同様にオープンフィールドとなった。

「島」という舞台は今までなく、森林だけでなく、丘陵地や沼地、火山帯という、更なる環境での冒険行を、本作では行っている。

 そして、後にタイタンにおける悪側・混沌側の一大勢力としてその地位を確立する「トカゲ兵(当初の訳では「トカゲ男))」「トカゲ王」という種族の初登場作でもある。

 今までに登場した、敵方の種族……ゴブリン、オーク、トロール、オーガー。これらは数は多く、個体は強力ではあっても、種族全体としては基本的に知能は人より低く、愚かであり、雑魚と呼ぶにふさわしい存在であった。

 しかし本作から登場するようになったトカゲ兵は、人間と同等か賢く、戦闘力も人間よりも高く、知能も高いという、手強い相手である。つまりは、新たな敵役のデビュー作でもある。

 そして、トカゲ兵を統率する「トカゲ王」の存在もまた特徴の一つである。

 オーク他、今までの敵方の種族は、統率が取れておらず、自分勝手かつ自己中心的、基本的に憶病で自分さえよければそれでよく、平気で裏切ったり逃げ出す事も厭わない。

 しかしトカゲ兵は、トカゲ王に忠誠を誓い、その命令に服従している。王を裏切る事はもちろん、種族を裏切る事など考えもせず、その分統率も取れている。つまり、集団としても恐るべき敵として設定されているのだ。

 その事を表すかのように、本作ではさらわれて奴隷にされていた囚人たちを主人公が率いて、トカゲ兵の兵団と戦う「集団戦」の描写も為されている。

 ファイティングファンタジーの初期シリーズは、巻数を重ねるごとに「それまでに無い属性や特徴を付加していく」傾向があったが、本作は「死のワナの地下迷宮」から更に一歩進んだ作品として成立している、と言える。


主な登場人物編集

主人公=君編集

 人間の冒険者。ファングからの旅から戻り、オイスターベイにて一休みしようとしたところ、マンゴから事情を知った。

 かつてはオイスターベイで過ごしていたらしく、(本作における)父親の事をマンゴの口から聞く事となる。

※なお、その父親に関しては。

 かつてはサーカスに所属していた、山のように大きな大男。力自慢の芸人だったらしく、トロールとのレスリングや、象を自分の腹に乗せる芸を見せたり、殺人蜂に腕を刺させるなど、客のためには何でもしていたらしい。

「頑丈で長もちするやつ」だったが、「迷宮探検競技」のフェスティバルの客寄せにファングに行った時。何を思ったか参加者として迷宮に入り、それが生きている姿を見た最後になった。

 マンゴいわく「本当はあれに挑むには、(父親は)歳を取り過ぎていたけれど、誰も本人に言う事はできなかった」「少なくとも、彼はチャレンジする人間だった」


マンゴ編集

 オイスターベイで生活している、主人公の友人にして昔からの知人。かつては主人公の冒険者仲間で、オイスターベイに腰を落ち着かせ、漁師とともに何年も生活していた。そのため現在では、腕利きの船の漕ぎ手でもある。主人公の父親とも既知だったらしく、その人となりと最期を知っていた。

 陽気な性格で、困った人間を見ると助けずにおけない心意気を持ち、主人公とは互いに信頼し合うかけがえのない仲間である。

 主人公と一緒に火山島へと赴き、ともにさらわれた人々を解放するため冒険に同行するが、序盤で致命傷を負い、主人公に後を任せて息を引き取る。

 

呪術師編集

 火山島に一人、孤独に住んでいる賢者。鳥の羽で飾られた髪に杖と動物の骨とを手にしており、孤独に暮らしている。

 トカゲ王を強化しているモンスター・ゴンチョンの事を知っており、その秘密を知るに値する人間かどうかを見極めるため、数々の呪術による試練を行い、それに合格しない限りは教えてくれない。

 友好の証として、訪問する時には鳥の羽を頭に付けてから向かわなければならない。それを知らずにいたとしても、羽を付けていない場合は敵対するよそ者だと認識するため、注意が必要。もしも羽根を付けずに友好を示すなら、杖に付けている羽根と持ち物一個とを交換する事で、友好関係を結んだ事になる。

 試練は「運」「恐怖」「苦痛」「忍耐」「力」「器用さ」の六種であり、このうち三つに全て合格しない事には、どんな重要な事情があっても教えを乞う事はできない。


トカゲ王編集

 現在の火山島を支配している、トカゲ兵たちの支配者。

 トカゲ兵の上級種族であり、その能力も優れているが、さらに支配力を強めるために、寄生生物ゴンチョンをあえて寄生させている。

 魔力を秘めた「炎の剣」を武器としている。これはゴンチョンに寄生された宿主を傷つける事が出来る、唯一の武器でもある。

 ただし、この個体は唯一、「猿が苦手」という弱点を有している。そのため、猿が近くにいると恐怖に震えあがり、戦闘能力がかなり低下する。

 ペットに黒獅子を有し、首輪に鎖をつなげて近くにはべらせている。

 かつて囚人たちを管理していた建物のバルコニーで、反乱した囚人たちとの戦いが始まった時に指揮をしていたが、上って来た主人公と対決する。


登場モンスター編集

ゴンチョン編集

ゲイズハウンドとトカゲ王とゴンチョン

 見た目は、人間の頭をすっぽり覆う事が出来る大きさの、クモやカニを思わせる骨ばった姿をしている。6~8本の足を持ち、それで移動するが、最大の特徴は「人間など知的種族に寄生する」事である。

 ゴンチョンはその姿とは裏腹に、非常に高い知能を有している。そして自らの野望……戦争や混乱を起こし、この世界に死と混沌を振りまくために、まずは力のある魔法使いや王、貴族、将軍、大きな団体の幹部など、権力者を探し出し、次にその者に寄生するのだ。

 自分の身体の下には、長い触手が伸びており、宿主の頭頂部に突き刺して脳に達し、その者を完全に支配してしまう。そして脚で頭にしっかりしがみついて固定し、宿主を操るのだ。

 ゴンチョンを殺すためには、この触手を剣などで切断しなければならない。しかしゴンチョンは宿主に大変な怪力を与える(技術と体力にそれぞれプラス5)ので、戦って倒すのは容易ではなく、武器も魔法の炎の剣を用いる必要がある。自衛のために宿主が戦う事で、ゴンチョンもその身を守る事が出来るのだ。

 宿主が倒されると、ゴンチョンは身体をもぎはなし、触手を宿主から抜こうとする。そうなる前にその触手を切断できれば、この不快な怪物は死ぬが、そうでなければ手近な生き物に飛びついて頭に触手を突き刺し、新たな宿主にしてしまう。そうなったら怪力を得られるものの、ゴンチョンの心無き奴隷として残る一生を過ごさねばならなくなる。


黒獅子編集

 トカゲ王が飼っていた、ペット兼護衛の猛獣。

 自然交配か、魔術の合成による産物かは不明であるが、ライオンと黒豹との交配種である事は確か。自然の中では南方のジャングルや平原に住み、恐るべき捕食者となる。

 子獅子を親から引き離し、人に慣れさせようとした事例もいくつかあるが、ほとんどうまくいかない。大金をかけて購入し飼いならした者もいないではないが、犬に比べて忠誠心は薄く、遅かれ早かれ裏切って、飼い主に牙をむく。


グラニット編集

 洞窟の地面などに棲息する小型のモンスター。大きさはココナツ程度で、大き目の石や岩に凶悪な顔を付け、八本脚と尻尾を生やした姿をしている。アルマジロのような甲殻は岩そっくりで、岩石に擬態し獲物に噛みついて攻撃する。


鉄砲ガエル編集

池や沼に潜む大型のカエル。池に近づいた獲物に対し、口から鉄砲のように酸性の液体を吹きかける。そうする事で視力を奪った後に、獲物を丸呑みする。


スライム・サッカー(ヘドロ蛸)編集

#スライムサッカー

沼の水中に潜む大型のモンスター。醜い顔のついた胴体を6本の触手が支えており、頭頂部からは角のような呼吸管が突き出ている。これを水面に出して水中に潜み、獲物が沼地に足を踏み入れると、いきなり姿を現し襲い掛かる。触手で攻撃し、獲物を水中に引きずり込む事で溺れさせ、それを貪り食らう。


アイテム編集

炎の剣編集

魔力を秘めた剣で、刀身から炎が出る。ゴンチョンに寄生されたトカゲ王を倒すのに必須なアイテム。普段は錆びたナイフに魔法で擬態されている。


無限袋編集

小さな財布または水袋程度の、魔法の袋。内部には限界が無く、何をどれだけ入れても限界はない。ただし、それを取り出せるか否かは保証できない。選択肢次第では、主人公は襲い掛かって来た「ウォーターエレメンタル(水の精)」をこれに閉じ込めた。

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