概要
トロヤ群とは惑星の公転軌道上の、太陽から見てその惑星に対して60度前方あるいは60度後方、すなわちラグランジュ点L4・L5付近を運動する小惑星のグループである。またこれにちなみ、L4・L5の両ラグランジュ点は特に「トロヤ点」と呼ばれる。
トロヤ群は現在確認された限りでは地球、火星、木星、天王星、海王星に存在するが、単にトロヤ群と言う場合は木星のトロヤ群の事を指す。実際、最初に発見されたトロヤ群小惑星は木星のトロヤ群に属する小惑星であり、木星のトロヤ群に属する小惑星の数は他の惑星のトロヤ群よりも遥かに多い。
惑星系内で惑星と大きな衛星のラグランジュ点(L4・L5)に位置する衛星をトロヤ衛星(Trojan moon)と呼び現在のところ4個確認されており、全て土星の衛星である。
他にもあくまで仮説上の存在で観測されていないが、恒星と巨大惑星のラグランジュ点(L4・L5)に位置する惑星、トロヤ惑星(Trojan planet)というものもある。
トロヤ群小惑星の数
トロヤ群小惑星の数は1万を超える。2021年10月の時点で10553個であり内訳は
地球 :1個(2022年に更に一つ確認)
火星 :9個
木星 :10512個
天王星:1個
海王星:30個
である。
現在もトロヤ群小惑星の発見は続いており2023年2月2日の時点で木星のトロヤ群小惑星は12360個が確認されている。
トロヤ群という名称
トロヤ群の名前は、1906年、この群に属する小惑星で最初に発見されたものがトロイア戦争の勇士であるアキレウスにちなみ「アキレス」と命名されていたことに由来する。以後この群に属する小惑星にはトロイア戦争に登場する兵士の名前が付けられている。
木星のトロヤ群の内、木星の軌道前方のトロヤ群(L4)を先行または前方トロヤ群、軌道後方のトロヤ群(L5)を後方トロヤ群と呼ぶ事もある。
また、L5のトロヤ群を単にトロヤ群と呼び、L4のトロヤ群をギリシア群と呼ぶ事もある。