概要
ダンテの双子の兄バージルを素体としてムンドゥスが作り出した「黒騎士」。巨大な剣とがっちりとした鎧を見に纏っている。名はイタリア語で「黒い天使」を意味し、特に『神曲』地獄編第24編などにおいては、地獄の監視者また死神として詠われる高位の堕天使の名でもある。
登場作はデビルメイクライ。マレット島城主の寝室にあるダンテの姿が写った鏡から出現する。ダンテより一回りほど大きい体躯に、身の丈ほどある巨大な剣を振るう。その剣技や太刀筋はダンテのもの、つまり魔剣士スパーダの流儀と酷似しているが、ダンテ曰く「俺の剣技をなぞる(まねる)のではなく、共通の流儀をベースに時間をかけて自分のものにしている」とのこと。また、腕力にかけてはネロ・アンジェロの方が勝るらしく、剣技が互角な以上は正面からの切り合いでは勝ち目が無いとダンテは語っている(事実、戦闘時に真正面から斬り合うと、途中で弾かれる)。
他には幻影剣やイフリートのメテオのような攻撃もしてくる。
敵勢力の一員である一方で卑劣な真似は行わず、正々堂々とした戦いを好む。
鏡の中から現れた際も攻撃をいきなり加えてこず、戦いやすい場所で対決するために部屋の外にある庭へ来るように手招きをしている。
魔界の悪魔としては珍しいこれらの性格から、ダンテからは「ガッツがある」「掃き溜めにはもったいない」と好意的に評価されている。
ちなみに外見を見ると、鎧が大きいせいか、ダンテよりデカい。
(事実、最初の頃はダンテよりほんの少し大きいだけだったが、最終戦時には2倍ぐらいのデカさになっている)
誕生経緯から消滅まで
元となった「黒騎士」とは魔帝ムンドゥスがスパーダとその血族に対する復讐だけを目的として創造した悪魔である。スパーダや二人の息子との悪魔の戦闘経験を分析して作り上げた「素体」となる悪魔に、魔界の職人マキャヴェリに作らせた鎧を纏わせることで完成する。
ムンドゥスは黒騎士の試作体をダンテ及びバージルに差し向けたものの結果が思わしくなかった為に、より強力な素体を求めていた。
そんな時『DMC3』でバージルを捕らえた事から素体として使用したところ、非常に強力な個体が出来上がり、ムンドゥスはそれにネロ・アンジェロと名付けた。
ただし当初はその状態でもなおバージルの自我が抵抗したのかコントロールが非常に不安定だったが、バージルから奪ったアミュレットを与えたところ、安定して忠誠を示すようになりようやく完成した。
やがてムンドゥスの策略によってマレット島に上陸したダンテと3度の死闘を繰り広げる。
1戦目はダンテを圧すものの、偶然彼の持つアミュレットが視界に入ったことで取り乱し撤退。
2戦目では体術も交えて襲い掛かってくるが、この時にはすでに形勢が逆転しており敗北、トドメを刺される前に逃走。
最後の3戦目では兜を脱ぎ全力で戦いを挑んでくるがやはりダンテを超えることは叶わず、ついに完全敗北を喫し消滅した。
ダンテは兜の下の素顔と撃破後に彼が消滅した場所に一つ残されたアミュレットから全てを察する。
後に、鎧が折れた闇魔刀と共に城塞都市フォルトゥナの浜辺に流れ着き、「4」で登場するアンジェロシリーズの基になった。
3度目の敗北によってバージルは死亡したと思われていたが、5にて生き延びていたことが明らかになり再登場を果たす。
また黒騎士シリーズの悪魔としてプロトアンジェロ、スクードアンジェロ、キャバリエーレアンジェロなどが登場する。
余談
3戦目の決着後ネロ・アンジェロは消えるのだが、実はムービーにおいて死亡・消滅したとは明確に描写されていない。ダンテに負けて苦しみ出し魔力が暴走するところは映っているが、その後は魔力の奔流に顔を覆うダンテのみが映し出される中で閃光と爆発音がするだけで、実際にネロ・アンジェロが爆発したりしているカットはない(爆散の表現としては十分すぎるほどだが)。そのため5でのバージル生存と再登場に関してはやや苦しいが絶対にありえないというほどでもない。
ただ生き延びていたとは言え1から十数年もの時が流れているのにほとんど回復しておらず、死に掛けの状態だった。3でダンテに敗れ、直後ムンドゥスに敗れて改造され、時を経て1でダンテに2度敗れ、(マレット島から脱出できていなかった場合)島の大爆発に巻き込まれ、と描写云々以前になぜ生きているのか分からないほどの目にあっているので無理もない。
これは予想であるが、3戦目の決着後に闇魔刀がバージルを何処かに転移させた可能性がある。
(闇魔刀にも意思がある為、これなら闇魔刀が折れていた事にも説明がつく……と思われる)
ダンテとの3度に渡る戦いは二人が戦うことになる後のシリーズ作品においてセルフオマージュされている節がある(『3』では3度バージルと戦い、『5』では3度ユリゼンと戦う)。
デビルメイクライ3SEではバージルの隠しコスチュームの魔人化状態として登場している。
プロジェクトクロスゾーン2では敵キャラとして参戦しており、ダンテだけでなく同一人物であるはずのバージルとも戦闘していた。
これは(シナリオ上繋がりのあるNAMCO x CAPCOMも含めた)プロジェクトクロスゾーンシリーズにおける事件は異世界も時間も歪めて繋がってしまうためであり、バージルはDMC3エンディング直後から、ダンテとネロ・アンジェロはDMC1途中から事件に関わることになったためである。