概要
元はアメストリス国軍の軍医だったが、イシュヴァール殲滅戦に駆り出され、ロイ・マスタングに焼かれたイシュヴァール人を『ダメージのデータ収集』と称した解剖を行った。(なお、この解剖にはまだ生きていた瀕死状態の人間もいたようである)
非道な人体実験を行った罪悪感から終戦後には「自分には人を治す資格がない」と感じ、検死専門の鑑定医になった。(現在も軍属かは不明)
戦地でティム・マルコーに出会った際は「なんで俺は医者なのに人殺ししてんだ?」と、自分とは正反対のロックベル夫妻と対比し語っている。
この事は深い心の傷となって残り、悪夢にうなされ死者の幻覚を見たり敵兵と間違えて妻の首を絞めてしまったりと重度のPTSDを患い、妻(CV:北西純子)や息子(CV:大原祟)とは本編時点では別居していた。
戦争は直接戦う者だけでなく、関わった者の人生をも狂わせてしまうという事実を体現した人物ともいえる。
皮肉屋で口が悪いところはあるものの、性根は医者として真っ当な心を持ち合わせた優しい人物である。また殲滅戦の経験から殺し合いを嫌っている。どっからどう見てもワケありでしかない怪我人の少女を連れ込まれた際には反対しつつ(そもそも個人宅を頼ってきた時点でアレだが)、なんだかんだ治療して匿い、「面倒事はゴメンだ」と悪態をつきながら医者として、あるいは人生の先達としてしっかり見守っているあたり、お人好しが隠せていない。その厳しくもどこか煤けた思いやりは、荒んだ出生の少女たちに少なからず影響を与えている。
そのような経緯もあって、フーから孫娘を治療してくれたことに感謝され、頭を上げられた際は「なっ……俺は人に礼を言われるような医者じゃあ……!」と狼狽え、そして治療した少女からは「ありがとう」と真っ直ぐな謝意を向けられると憎まれ口を叩きながら逃げるようにしてその場を去った。
かなりのヘビースモーカーで生活能力はあまり無いのか、自宅はゴミや洗い物がたまるなどかなり散らかっており、衣類からは謎のキノコが生えていたりする。
マスタングとは殲滅戦以来腐れ縁といった間柄で、皮肉を込めて「共犯者」と呼んでいる。
本編での動向
マース・ヒューズ殺害事件の容疑者としてでっち上げられ捕えられていたマリア・ロスをマスタングが焼殺した(ように見せかけて国外へ逃がした)際に死体解剖を行う。
焼死体の特徴から彼女ではないことを見抜いていたが、歯の治療痕を理由にわざと結果を下した。
その後、ホムンクルス捕獲作戦で左腕を失ったランファンの治療のためマスタングに同行する。
ラストの件で暴走したグラトニーを振り切り、自宅でランファンを療養させるが今度はアルがメイ・チャンを連れてやってくる。政敵同士ということで殺し合いを始めようとする二人だが、「人の家で何やってんだ!!」とこれに雷を落とし黙らせる。(また言っても聞かないときは細菌感染等の恐ろしさを教えつつ、「医者の家で殺し合いをしたらどうなるか…」と脅しを効かしたことでやっと収まった)
アルとシャオメイに片付けを手伝わせている最中に偶然家族の写真を見つけ、イシュヴァールでの出来事を3人に語ったうえでマルコーに語った言葉を告げている。
数日後、メイとランファンは相次いで退院し、感謝された事に感じ入っていた時に別居中の妻子が訪ね、父親が生きた人間を治療し医者の本分を忘れずにいた事を知った息子は、父親と同じ医者を目指している事を語る。
イシュヴァールでの出来事を知ったうえでなお、「人の命を救う技術があるのに何もしないのが一番卑怯だ」と家族としてノックスを叱咤した。
そして、家の片付けを手伝ってもらう傍らコーヒーをいれながらノックスは一人涙を流して呟く。
もしも神サマってのがいるならよ 見逃してくれよ
こんな俺でもよぉ… 家族とコーヒー飲むくらいの幸せは願っていいよな…?
家族との関係も少しずつだが修復しつつある。
最終決戦後は負傷者の治療に当たっており、医者として少しずつ復帰できているようであり、マスタングの元にマルコーを引き合わせている。
FA版最終回では町医者に転職したことが判明している。
余談
- FA版ではカットされているが、「子供が殺し合うのなんざ見たかねぇんだよ」の台詞が、ランファンの「もし帝位に就いたあかつきには、敵対する他家の者たちを害さないでほしい」というリンへの懇願に繋がった節がある。(リンも元からそのつもりだった)
- ハガレン4コマ劇場では若い頃はかなりのイケメンだったらしく、その遺伝は息子にも引き継がれている。なお、そのときに見つかった写真は自慢にイラついたアルにより、破り捨てられている。
- 声を担当した有本欽隆氏は、2003年版アニメではコーネロを演じていた。