「――そりゃないぜ、親父殿。今さら都合がよすぎるじゃねえか」
プロフィール
誕生日 | 5月17日 |
---|---|
年齢 | 39歳(五章時点) |
身長 | 185cm |
職業 | 近衛騎士団副団長 |
CV | 津田健次郎 |
人物
5章から出てきた人物だが、存在自体は第3章の時点から言及されていた近衛騎士団の副団長。
アストレア家現当主で年齢は四十路前後、赤毛に青い瞳を持った素の素材自体は整っている男。
その特徴からも分かるように初代「剣聖」レイドの子孫で、「剣鬼」ヴィルヘルムと先代「剣聖」テレシアの息子、現代「剣聖」ラインハルトの父親に当たる。
しかし物語開始時点ではすでに家族関係が悪化しているため、ラインハルトと親子のような様子は見られずラインハルトからは副団長と呼ばれ、ハインケル自身もラインハルトのことを怪物と称している。
近衛騎士団の副団長というのは名目だけの名誉職であり、仕事をしている様子を見たことがある人はおらず、横柄な態度からか騎士団にとっては会うことに対して少しばかり気が重いとまで言われており人望があるとは決して言えない。とはいえ、副団長という立場にいる自分がお飾りで嫌われ者であることは理解している。
「そんなに急いで走ることないのよ」
剣聖を継ぐと息巻いていた時にテレシアにそう言われたように、剣の才能なく生まれた凡人で物語開始時点でも剣での功績を上げていないため「ヴァン」の称号は与っていない。
アストレアという名を冠した剣を持ち歩いており飛竜と単独で渡り合えるほどの力はあるが、才能を持って生まれてきたタイプが家族として身近にいたからか自身が凡人であることの自覚があるとともに、特別な力や宿命を負う者たちとは決して分かり合えないということをこの40年と少しの人生で痛いほど思い知っている。
妻はルアンナ・アストレアであり、ハインケルの一目ぼれにより政略結婚した。
ルアンナは心優しくおおらかで、ハインケルが剣聖の称号を継ぐのだとハインケル以上に信じていたがラインハルトが2歳のときに眠り姫という病に冒されたままずっと眠っている状態である。
ハインケルが妻を救える相手を探してずっと駆け回っていることもあって、この状態は割と騎士階級や貴族社会では普通に知られている。
ラインハルトが剣聖の加護を継ぐ前はどちらから言い出したわけでもない二人の日課としてルアンナの見舞いを行うほど仲は良好であった。
大征伐に参加するのを辞退する代わりにテレシアを推薦したという記録が残っているが自身を責める様子はなく、上からも近衛騎士団からも、副団長の資質を疑問視する声があがっているのだが……
関連タグ
テレシア・ヴァン・アストレア 母。先代剣聖
レイド・アストレア 初代剣聖
似た境遇の人
愛する妻が病に冒され亡くなってしまうと酒に溺れ、元々愛していた息子に辛く当たるなどしていたがのちに改心をする。
煉獄家一族もあっちの世界では名家である。
以下ネタバレ
「白鯨を落とす戦いが……大征伐なんて戦いがあるんだ。俺はそこに……」
名ばかりの近衛騎士、名ばかりの重大任務。
ハインケルは自分の身の程を知っており、出来ることが限られていること、その外側に手を伸ばしたら馬鹿を見ることをしっかりと理解している。
そんななかで死しか待たないであろう任務に出なければならないことを震えた声でテレシアに報告し、テレシアは一人代わりに大征伐に向かうことを決意する。
これがテレシア推薦の事実であり、テレシアが勝手にやったこととと考えているのであればテレシアの死に対して全責任をラインハルトに押し付けるのもギリギリ理解できる。
ハインケルの現在の目的は妻であるルアンナを目覚めさせることであり現在プリシラ陣営についているのもそれが理由。プリシラからは遊具扱いを受けているが自分の立場のことはしっかりと理解しており、有用性を示さなければならないと冷静に考え行動している。
ハインケルには十四年前の王族誘拐の関与が疑われている。
にもかかわらず副団長という立場にいられているのは息子のラインハルトの存在が強くかかわっている。
ラインハルトは一時期度を越えてハインケルの言いなりだった時期がある。
ラインハルト自身の自立を切っ掛けに、必然的にそうした様子は見えなくなったが決定的な理由がわからないまま、再び起こるのではないかという疑念が消えずに残っている状態であり王国からするとハインケルは王国の最高戦力を動かせるかもしれない立場にあるともいえる。
そんな人物に要職を与えず、閑職に追いやって国家への叛意を持たれてはたまらない。
「ラインハルトは大丈夫だ! 優しい子なんだ! 俺とルアンナの宝なんだ!」
また、十五年前、ラインハルトはハインケルのお仕事を手伝うため、人の意思を変えさせる変心の加護を獲得し、使用したことがある。
ルグニカ王国の諜報部隊六枚舌は、国を滅ぼすことも可能なその加護が使用された形跡を発見。アストレア家に侵入しラインハルトの処刑をハインケルへとほのめかす。
ラインハルトが加護を使わないように教育するとハインケルが嘆願したこともあり、ラインハルトの処遇は見逃された。
だが、諜報部隊は去り際に幼いラインハルトへと「家族のことを思うなら国に尽くせ」と告げる。
規格外の才能を持つラインハルト。彼に愛する父が必死に己を庇う姿を見せることで王国へと縛り付ける。それが六枚舌の真の目的だった。
父を地位と容疑で縛り、子を父への愛で縛る。
『剣聖』という名が持つ華々しい栄誉。
しかし、実態が明らかになるたびに、それは栄誉というより呪いのようなものに思われる。