概要
電脳戦機バーチャロンシリーズに登場するバーチャロイドの一機種である。
第1作より仕様を変えながらも全シリーズに登場している。
特徴的な武装として、2機もしくは4機のERL(イジェクタブル・リモート・ランチャー)という無線式遠隔攻撃端末(ビット)を備えており、本体から切り離したERLから、レーザーやボムを飛ばすことでオールレンジ攻撃を可能としている。
全世代を通じて試作機、あるいは次期OSのテストベッドと設定されており、前述のERLを初めとして他のバーチャロイドにはない特徴的なアクションを持つ。
射撃攻撃が多才なぶん本体ステータスが低く、初心者には扱いづらいが、名人の手にかかると縦横無尽に戦場を駆け回り、多方面から攪乱しつつ攻撃を行うことができる。
どの世代の機体も素早い敵は苦手だが、足の遅い敵……特に対ボス戦に強いのが特徴。
第一世代
バル・バス・バウ
XBV-13-t11
初代電脳戦機バーチャロンに登場した機体。腕部がERLになっている。
二足歩行をせず、反重力で浮いているような動きをする。ERLで両手を飛ばしている間は本体が完全に無防備になったり、地上にいる時と空中にいる時では極端に機動力が異なるなど、癖の強い機体である。
この時期のERLは切り離しての自律攻撃(敵の頭上に飛ばしてガトリング攻撃を行う、空中に設置して高威力のレーザーを連射する)のみが可能で、後継機のような自由設置や武装切り替え機能は持っていない。
ちなみに、特徴的なシルエットである当機の下半身は単なるフロートユニットなどではなく、「BBBユニット」と呼ばれる、月面遺跡で発見された巨大人型兵器の頭部(モアイ像)と思しき物体を、そのまま使用したという特異なワンオフもの(この物体の解析と研究が結果的にバーチャロイド開発の端緒になったという設定がある)。
もっとも上下を逆さまにした上で外装が施されているため、見えているそのままが頭部という訳ではない。とはいえ、わかった上で眺めるとそれらしく見えるのではないだろうか。
独特な機体名は、該当ユニットが外部からの信号入力に対して"バル"、"バス"、"バウ"という信号でリアクションをとったことに由来する。
実際の名前の由来は、大型船の造波抵抗を打ち消すために、喫水線下の船首に設けた球状の突起「バルバス・バウ」が由来。
第二世代(XBV-819系列)
難解系多機能型試作機体という誇張抜きの別名を持つ。
第8プラント「フレッシュ・リフォー(FR-08)」が統一規格OS開発のためにバル・バス・バウをモデルにした実験機体とされる。
第二作オラトリオ・タングラムに登場。バル・バス・バウとは異なり遺跡ユニットを使用している訳ではないためシルエットが異なる。そら、本来博物館行きの出土品を流用した機体が何体もあってたまるか。
切り離し可能な腕パーツ「ERL」はバル・バス・バウの頃から大幅な強化を受け、ガトリングと直線レーザー以外に、リングレーザー、機雷、カプセル型爆弾など多彩な砲撃が可能になっている。また、これ腕部以外に脚部スカート内にもERLが2基装備され、合計4基になっている。
脚部が換装式になっており、機体選択画面では2脚タイプのバル・バドスを選択するが、ステージによっては脚部が自動的に換装され、バル・バス・バウのような浮遊形状になる。(換装後は画面上に表示される名前も変わる)
歴代のバルシリーズの中でも特に癖が強く、「芸人機体」とあだ名されるほどのコミカルなアクションが多い。操作難易度の高さからプレイヤーを選ぶ機体となっているが、極めた者は数々の強力な特殊装備やアクションを使いこなし、プレイヤー数の少なさもあって、対戦では恐れられるとともに笑いを振りまく存在となる。
- バル・バドス
基本形態。二足歩行ユニット"tr-bds"を装備している。
- バル・バロス
脚部を水中戦用ユニット"tm-brs"に換装した形態。足が潜水艇のようになっているが、操作には特に変化はない。
- バル・ケロス
脚部をCIS(電脳虚数空間、ゲーム中の用語で一種の異空間)航行ユニット"ts-krs"に換装した形態。バル・バロスと同様に、足が宇宙船のようになっている。最終ボス戦専用で、一部の攻撃パターンが変わる。
- バル・ルルーン
メディアミックス『とある魔術の電脳戦機』に登場する機体。ヒロインのインデックスがバル・バドスをベースに改造した機体だが、最早原型を留めておらずフェイ・イェンやエンジェラン、ガラヤカを彷彿とさせる意匠が施され、形状も第3世代機の雌型に近くなっている。小説版では単に「インデックス専用バル・バドス」だったが、ゲームで固有名称が与えられた。
第三世代(XBV-821系列)
第三作フォース以降に登場した機体。「M.S.B.S.Ver.7」シリーズのOS実験機としての側面も併せ持つ。
相も変わらず癖が強い一方で、バル同士でチームを組んだ時のみ使用できる特殊攻撃がある。
また、珍しく同じ系列に雄型(XBV-821m)と雌型(XBV-821f)の二種類が存在する。
ストーリーモードが重視された第四作「電脳戦記バーチャロン・マーズ」には、バル系列はバル・ディ・メオラのみが場する。
ミッションの道中に雑魚敵として出現するだけでなく、ストーリー中盤の中ボスの立場を担っており、プレイヤーが防衛する3つの拠点に対して、ERLを無限に飛ばしてくる敵キャラとして印象に残っている。
本作はテムジンゲーと言われるほど、ストーリー上で入手できる限定機体が強力な為、他の多くの機体と共にストーリー中は影が薄くなるが、それでもERL攻撃による総合火力はきわめて高く、なおかつストーリー上では動きの遅い要塞型の敵が多いので意外と活躍する。
- バル・ディ・メオラ
XBV-821m-N
バルシリーズの基幹機種。脚部が円錐形のブースターとなっており、初代のバル・バス・バウを彷彿とさせる機動性重視の機体。
- バル・バ・チスタ
XBV-821m-A
バル・バドスの流れを汲む、二足歩行ユニットを持つバランス型。最初期のERL実装機であり、チスタの運用実績から第三世代バル系列でも全機にERLを実装することが決まった。
- バル・バ・ティグラ
XBV-821m-F
四足歩行ユニットに換装した機体。安定性に富み、試作OSの実験機として使われることも多い。火力と防御力に重点を置いている。
- バル・メ・リーノ
XBV-821f-S
バル・ディ・メオラの上半身が雌型となった機体。雌型の機体は雄型に比べると機動力で勝り、装甲が下がる。
- バル・ミ・ランダ
XBV-821f-C
バル・メ・リーノの下半身を専用の二脚型に換装した機体。雌型バルシリーズとしては最初に投入されてはいたものの、火星戦線にまつわるノウハウの不足から初期トラブルが後を絶たず、開発が一時期暗礁に乗り上げたことがあった。
なんといってもこの機体の特徴は妖しいモーションである。是非その目で確かめてほしい。
- バル・セ・リムゾ
XBV-821f-E
バル・バ・ティグラの上半身が雌型となっている機体。実用化に成功した最初期の雌型バルであり、ティグラはこの機体からフィードバックを受けて完成している。
雌型の上半身と四脚の組み合わせのため、女郎蜘蛛ともいうべき異形の妖しさ美しさを持つ。