概要
凶刃の二つ名を持つ七つ星魔人。やせ細ったゾンビかスケルトンの様な姿をしている。スタイリッシュなデザイン故に高い読者人気を誇っている。
陰気なリュートの音色は魔賓館のスタッフからは評判がいいが、彼自身は魔人の嫌われ者・はぐれ者と自嘲している。
当初は口数は少なく、感情に乏しいながらも短気で好戦的という典型的な魔人…と思われていたが、実際は「友達が欲しい」という魔人の中でも特に異色の価値観、思想を持っており、通常このような考えを持つ魔人はおらず(一応、友人同士だというベルトーゼとノアのように個体間で一定の信頼関係を結んでいる魔人もいるにはいる)、以前に他の魔人とも無為に友好的に接しようとした結果、散々な目にあったという。
魔人らしく短気かつ残忍な気質なのは事実だが、それでもどちらかというと達観的で落ち着いている方であり、終わった殺し合いをあっさり水に流している場面がある。
また、魔人が殆どが人間を侮り見下す中でヒスタリオは「人間の方が魔人より精神面が強いのかもしれない」と人間の価値を認めている様子が見受けられる。
ただ、その友達作りのやり方というのが殺した他者をゾンビへと作り変えて連れ回すというもので、これまでも多くの魔人や魔物をゾンビに変えて使役している。かつて自身に不当な危害を加えた魔人もゾンビに変えてからすぐに使い潰したらしい。
「殺すことは自分流の愛」「殺して初めて友達になる」という歪んだ意識に基づき、友人にしたいからゾンビ化させているらしく、現在では元ゼノン戦士団のライオを相棒として手元に置いている。
わざわざバロンを襲撃してまでビィト争奪戦の順番を繰り上げようとしたのも、八輝星への欲だけでなくライオの弟分であり、きっと気が合うと目するビィトを自分の友達にする為である。
しかし、その友達とやらも使い捨ての弾除け扱いする描写があったり、もう使い道が無いと判断したら自らの手で止めを刺し、場合によっては名前を全く憶えておらず、自分の関心を惹いた者以外は完全に手駒と見なすなど、他人の心を考えることは一切せず、自分の都合と欲しか口にしていない。
結局、変わり者なのもあくまで「魔人視点」であり、人間からは「ただのクズ魔人」と吐き捨てられている。
ゾンビ化させられた者は痛みも負傷もお構いなしに戦い続けることができるが、生前のような自我や精神は維持出来ず、ヒスタリオの意に沿うだけの屍人形になってしまう。
これは人間も同じであり、ライオが生前の記憶や人格を保ち天力を使用しながらもヒスタリオに従うのは魔迎館から購入した医療用の腹心魔物を介し、自身の細胞から培養した義眼を移植したのが理由である。
戦闘には油断も遊びをいれないという用心深さ、戦闘へのシビアさを持ち合わせており、戦闘力はバロンに劣ると言われてるが、慎重さに裏付けされた臨機応変な対応力、自身の長所も短所も知り尽くしていると評される戦い方は多くの魔人との戦いを乗り越えてきたビィトたちにとってもかなりの強敵。
シャギーからは「対人間においてヒスタリオ様以上に恐ろしく厄介な魔人はいないのでは?」と評価されている。
一方でその不死性ゆえの虚無感はぬぐい難く、土壇場でも冷静沈着な反面、必死になると言う事が無く潔すぎる一面がある。
能力
武器はリュートに仕込んだ自身の骨から作った仕込み刀で、この刃は抜く度に形状と間合いが変わるためまともに見切るのは困難とされ、これを利用した居合剣術“牙流転生”を駆使する。
それに加え、上述したように自身が殺した、あるいは以前に死んだ他の人間および魔人、魔物を己の体液を流し込みゾンビに変える能力を有し、蘇らせた人間、魔人を己の“戦友”として戦わせられる他、同じくゾンビ化させた魔物を用いての戦略的な戦い方も得意としている。
この能力が便利なためか、ヒスタリオは魔賓館で戦力を補充することが滅多にないらしい。
何よりこのヒスタリオ最大の特徴が文字通りの不死身の肉体で、体の防御力こそ低いものの、生首一つにさせられても平然と生きている、戦闘中も再生に力を入れれば攻撃しても難なく再生するという反則じみた性質を秘めている。
体を粉々にされようが、一片でも肉体が残っていれば大地の冥力を使って肉体を再生出来る”完全不死”の存在であり、本来魔人共通の弱点である角ですら例外ではない。誇りや命に等しい腕の星も、ヒスタリオに限っては当たり前のように再生できる。
故に彼を殺そうと思ったら、それこそ塵一つ残さぬよう完全消滅させるしかないのである。
尤も「肉体が破壊される」事が再生のトリガーであるらしく、体を破壊せずに凍結させるなどの拘束には対応できない弱点はあるものの、配下のゾンビにそのまま砕かせて脱出するなど決して無策ではない。
最後の手段として頭部に刃を突き刺し「自身の肉体に牙流転生を施す」事で全身を冥力で覆い無敵に近い防御力を得る事が出来る。ただしヒスタリオ自身はこの能力の使用を最後まで控えており、本人曰く「やったら星までダメになりそうだった」とのこと。
この状態になると全身が黒く変色、冥力による防御幕から上位天撃すら弾き、パワーに長けた才牙ですら殴った才牙の方が傷つく程の頑強さを誇る。当然不死身の性質は健在な為、無敵の生命力と防御力を兼ね備えた敵からすれば悪夢のような存在と化す。
結局ビィト戦士団の総力を結集しても終ぞ彼を「殺す」ことは出来ず、ボルティックアックスの魔技により異空間へ強引に押し込み、封印と言う手段で閉じ込め続ける決着となった。
後にこの出来事は魔人との最終決戦に向かう前哨戦と位置付けられ、『凶刃事件』と呼ばれる様になる。
保有する戦力
デストリューン号
「骸の幽霊船」の異名を持つヒスタリオの母艦。
帆船というやや原始的な印象を受ける外観に反して、水中潜航や飛行まで可能としている万能船。
魔物
ドクター・ギリリ
デストリューン号と共に購入した「船医」。
巨大なネジに手と顔が生えた拷問ネジという魔物で、白衣と三角帽を着用している。
魔人の秘書や片腕となるべく特別に知能を強化された「腹心魔物」であり、ヒスタリオが自身の肉体を強化改造させるために高い医療技術を持たせている。
腐肉の人
「腐肉の種子」という種を墓場に埋めると土中の遺体を取り込み誕生するゾンビの魔物。
不死と評されるほどのタフさと怪力、口から吐き出す毒液を武器とする。
ブロウガンナー
サソリに似た魔物。三本の尾の先端にある砲門から砲撃を行う。
その他
名称は不明だが骨でできた魔物、他の魔人から奪ったと思われるナイトスナイパーやハウンドソルジャーのゾンビなどを多数取り揃えている。
ゾンビ
魔物のみならず返り討ちにしたヴァンデルバスターや魔人のゾンビを従えている。
ゼノン戦士団のヴァンデルバスターでビィトの兄貴分。
ヒスタリオの細胞から作られた義眼を左目に埋め込むことで他のゾンビと違い自我や知性を残しているにもかかわらず、魔人であるヒスタリオを相棒と呼ぶなど精神を支配されている。
強化された腕力やゾンビ並みの耐久性など肉体的にも改造されており、才牙こそ使えなくなったが槍の腕前も健在。天力による炎も使用できる。
ビルディック
他の魔人や魔物と比して抜きんでた巨体を誇る六ツ星魔人。
ゾンビの中で最強の個体だが、一度動き出せば見境なく暴れ回るため船底に封印されている。
船長
デストリューン号の操縦を任じられたゾンビ魔人。
知能や判断力が低下しており、命令も聞かずひたすら砲撃を繰り返したためヒスタリオに斬り捨てられ死体に戻った。
新船長
前船長が死亡したためその場で新たな船長となった後釜。
就任を命じられた際にヒスタリオを抱えていた方の手で敬礼を返したせいで床に落とすなど、こちらも知能に難があり早くも不安視される。
魔賓館でグリニデに対し陰口を叩いていたモブ魔人の中に存命だった頃の彼の姿が見られる。
バスターのゾンビ
人間であるヴァンデルバスターをゾンビ化したもの。
ライオと同様の方法でゾンビ化しているため知性を残したままヒスタリオに従っている。また、天撃を使用することも可能。
3人のバスターがグランシスタ王国へヒスタリオとライオを潜入させた。