学名Helicoprion
(「巻き髭のようなノコギリ」という意味)
概要
石炭紀後期からペルム紀に生息していた古代のサメ…とされることが多い軟骨魚類(これについては後述)。化石はロシアや日本、オーストラリア、アメリカなど世界中で発見され、当時はとても繁栄していたと思われる。
その最大の特徴は学名の由来にもなった電気丸ノコを思わせる特徴的な歯。直径23cmの渦を巻きながら100以上の歯が並んでおり、渦が4周ほど巻かれているその化石はアンモナイトを連想させる。その歯については、当時隆盛を誇っていた頭足類を捕食するのに役立ったらしい。
1世紀以上にわたる復元
ヘリコプリオンの化石自体が発見されたのは今から100年以上も前になる。しかし、軟骨魚類故に硬い歯を除く体の骨格が化石に残らず、その特徴的な歯しか分からなかった。その為研究者は分類や復元に試行錯誤を続け、早い段階で軟骨魚類と見なされたが、サメの仲間かギンザメの仲間か定まらず、その歯の付き方について沢山の復元がされて来た。(上顎についてた、下顎についてた、歯が二列になって下顎ごと渦を巻いていたものから、舌や尾鰭などもはや歯とさえされてないものもあった)。
だが2013年に化石を岩ごとCTスキャンで分析した結果、岩の中に上顎や下顎の痕跡が発見。その発見からヘリコプリオンの歯は下顎の真ん中にあった事、そして本種の顎の構造がギンザメの仲間の物と一致した事が発表され、分類の闘争に大きな一石を投じた。
余談
ヘリコプリオンは前述のようにギンザメの仲間と判明し、その容姿をギンザメに似ていただろう。ただし、近年の研究発表であるからか、未だにサメとして復元される事が多いので注意。
また、近縁種の「パラヘリコプリオン」も同じ時代、同じ渦状の歯を持っていたが、その歯の大きさがあのメガロドンより大きく、全長もそれを超えていたというとんでもない推測がされていたが、実際は近縁種ではなくウナギをベースに計算したものだったため、もっと小さかったと考えられている。