概要
NASAがボイジャー計画の一環として運用している宇宙探査機。1977年に打ち上げられ、同型機のボイジャー2号ととともに星間探査機として今なお稼働中で、無線通信で定期的に現在地を把握することができる。地球から最も遠い位置にある人工物である。
惑星探査機として
2号から16日遅れの1977年9月5日に打ち上げられたが、2号より高速なので木星には少し早く到達し、先行するパイオニア10号、11号で観測されていなかったイオの火山活動の存在を明らかにした。1980年に土星を観測後、冥王星に接近する軌道に乗る計画もあったが、より興味深いと考えられた土星の衛星タイタンに接近するミッションを採用し、天王星・海王星に立ち寄る軌道をとった2号よりも先行して太陽系を離脱する軌道に乗った。
期待されていたタイタンの地表の観測は分厚い大気に阻まれてできなかったが、後のカッシーニの観測に先駆けて多くの貴重なデータをもたらした。本機が探査を諦めた冥王星への接近ミッションは、事実上の後継機であるニュー・ホライズンズに持ち越されることとなった。
星間探査機へ
電源の原子力電池の出力低下に伴い、節電のため観測装置の電源を段階的に落としている。1990年2月14日、カメラの電源を切る前に太陽からおよそ60億キロ離れた地点から"太陽系家族写真"を撮影("ペイル・ブルー・ドット"はこのうち地球を撮影した写真である)。2012年8月25日にヘリオポーズを通過し、太陽圏を脱出した。
現在は、秒速約17kmの速度で太陽から遠ざかっている。これはボイジャー2号やニュー・ホライズンズよりも高速であり、今後も長く「人類史上最も遠くに到達した機体」であり続けるだろう。
なお、本機は最速の宇宙探査機ではない。史上最速は秒速約177kmの太陽探査機パーカー・ソーラー・プローブである(ここでいう速度は太陽との相対速度)。
2023年11月以降、4ヶ月にわたり意味のない信号を送る状態に陥っていた。2024年3月にコンピュータのメモリー破損が原因とわかり、4月20日に正常な通信を回復。5月には通常の科学観測に復帰した。