概要
かつて強大な軍事力を誇っていたソ連地上軍のうち、ソ連崩壊に伴ってロシア地方の部隊を継承したものである。
他の例に漏れずエリツィン政権期の混乱に巻き込まれたものの、ウラジーミル・プーチンが大統領に就任してからは回復が図られたとされる。同時に国家間の正規戦から不正規戦をも視野に入れた改革が行われている。
代表的なのはアメリカの旅団戦闘団(BCT)のように師団よりも小さく小回りが利き、それでも単独で戦闘行動が可能(つまり兵站部隊がいる)な諸兵科連合部隊である大隊戦術グループ(BTG)の編成である。
さらに伝統的な徴兵制から完全志願制への移行を進めている…が、今のところ徴兵も継続されている。
大隊戦術グループ
アメリカが非対称戦に対応するため、従来の師団に代わりうる戦闘単位として考案した旅団
戦闘団に近い、大隊規模で構成された最小の戦術運用単位であり、BCTと同じく戦車・歩兵・砲兵・兵站といった陸戦に必要な能力を保有しており、単独で戦闘行動が可能な編制を取っている。
ただし、実際はアメリカのBCTと違って高練度の士官や兵、高度な兵器が不足して師団の充足率が悪かった際に細切れにして再編したのが発端である。(極論言えば、足らない師団を小型化して足りたようにしただけ)
とはいえ、旅団戦闘団と同じく戦略・戦術運用として小回りが利き、元が師団なので大隊としては高い砲戦能力を持ち、従来の連邦軍と違って志願制の兵士・士官を中心としているので練度も比較的高く、ジョージア戦争やチェチェン紛争ではそれなりの活躍を見せている。
しかし、大隊規模で諸兵科連合したゆえか構成する歩兵が部隊として全く足りておらず、斥候・周辺警戒など歩兵がすべき任務を現地協力者や民兵など自部隊以外に頼りがちで、おまけに肝心の補給部隊の能力が戦車部隊を擁するBTGにとって貧弱過ぎて、補給や部隊補充が1階級上の旅団どころか軍管区レベルの遥か後方からなされるという本末転倒?が起こっている。
(ただ米軍では上記の理由から「予算不足と再編成に伴う一時的な師団縮小」と見なす意見も多く、余裕ができれば大規模化して解決するつもりだったかもしれない)
また、ロシア連邦軍そのものの欠点として通信システムや将校の質といった指揮統制がアメリカと比べて悪く、細分化されて小規模となった火力や機動力を前線指揮官が効率よく運用できていないという指摘もある。
この人員の質の悪さはソ連時代からの問題点で、ソ連は前線指揮官の戦術機動を単純・方程式化して帯同する士官を減らすという、よく言えばシステマチック、悪く言えば硬直化した指揮統制で解決しようとした。
そのため、ウクライナ戦争ではBTGを大規模投入したものの、兵站システムの破綻や現地住民・ウクライナ軍の粘り強い抵抗で西側の予想を裏切る大損害を出している。