概要
ワルサー社がUmarex社(ドイツの空気銃などを製造しているメーカー)に買収されて以降、初めて発売した自動拳銃。
ストライカー方式のダブルアクションにポリマーフレームと、グロック17のような他社のポリマーフレーム拳銃に対抗するために開発された。
他社の同世代のポリマーフレーム拳銃と異なり、グリップ後部のバックストラップを3段階のサイズに変更可能。この機能は現在のポリマーフレーム拳銃では標準機能となりつつある。
USPのように独自規格のアンダーレールが備わっている。
装弾数は9㎜弾仕様が15発(初期型は16発)、40S&W弾仕様が11発(初期型は12発)。
第2世代モデルと派生型
2004年に改良の施された第2世代モデルが登場。スライドとグリップの形状の変更、スライドリリースが右側にも取り付け可能となり左利きにも対応、アンダーレールが独自規格のものから汎用性の高いウィーバーレールに変更などが改良点。
その後第2世代モデルを元に様々な派生型が登場した。
- P99DAO
ダブルアクションオンリー仕様
- P99AS
ASは「Anti Stress」の略。初弾装填時のみトリガープルがダブルアクションとなる。
- P99QA
QAは「Quick Action」の略。常にトリガープルが一定(シングルアクションとダブルアクションの中間)。
- P99C
コンパクトモデルで上記の3種類のバリエーションがフルサイズモデルと同様に存在する。
- PPS
2007年に登場したP99がベースの小型拳銃。P99Cと異なりシングルカラムマガジンでありさらに小型。
- SW99
アメリカのS&W社のライセンス生産モデル。本家とスライドやグリップの形状が異なり、45ACP弾仕様もラインナップされていた(アメリカ市場向けのため)。
第3世代以降
- Fabryka Broni Radom P99 RAD
ポーランドのFabryka Broni Radom社が自国軍及び警察向けに開発したP99のライセンス生産モデル。スライドとグリップの変更、左利き用の右側スライドリリースの標準化、アンダーレールがより汎用性の高いピカティニーレールに変更など、オリジナルの改良が施された。これらの改良点は後にワルサー本家も取り入れることになった。
- P99Q
Radom社がP99に施した改良点を本家ワルサー社が取り入れたモデル。ドイツ警察の拳銃採用基準に適合するように開発されたもので、民間市場には販売されていない公的機関向けモデルである。トリガーがドイツ警察の基準に適合した内部ストライカートリガーとなっている。
そして2011年には更なる発展型のワルサーPPQが登場した。
登場作品
007のジェームズ・ボンド(トゥモロー・ネバー・ダイからカジノ・ロワイヤルまで)や山上正月氏の書いた漫画「ルパン三世Y」でルパン三世が本銃を使用していた事などから一躍有名となった。(ちなみにルパン三世の子孫はメイン装備として使った事がある。)
エアガン
現在日本人が唯一手続き無しに合法で所持できる"本物の"拳銃である(ワルサー社のライセンスを受けてマルゼンが製造・販売しているエアソフトガンのこと。ワルサーP99の空気銃仕様の内、日本販売向けに威力調整されたモデル、といった扱い)。第1世代モデルの固定スライドガスガンとガスブローバックガン、P99Cのガスブローバックガンがラインナップされている。
また、東京マルイは10歳以上向け電動ブローバックモデルとしてP99DAOを販売しているが、こちらもワルサー社のライセンス承認がある(ワルサー刻印が実物と同様のものとなっている)。