概要
AI複合テーマパーク、「ニーアランド」にてキャストとして活動している、史上初の自律人型AI。型番は「A035624」(コミカライズ版では「A03XXX」)で、愛称は「ディーヴァ」。
AIとしての使命は「歌でみんなを幸せにすること」。
長い水色の髪とアホ毛、蛍石色(水色)の瞳に神秘的で儚げな美しさが印象的。左の首筋にはAIであることを示す逆三角形のマークがあり、左耳にはデータ転送用のケーブルも兼ねた緑色のピアスが着けられている。
基本はポーカーフェイスで表情はあまり変えないが、自らの使命を貶られるようなことがあると感情的になることも。人間に対しては主に敬語で、AIに対しては砕けた言葉で話す。
歌唱用のAIではあるものの、運動能力や演算能力は人間のそれを凌駕する。
物語の開始時点で観客はほとんどいないが、使命のために心をこめて歌い、いつかメインステージで歌唱することを目標としている。
「ヴィヴィ」は彼女の初めてのファン・霧島モモカにつけられたあだ名で、モモカの持っていた絵本『ヴィヴィと消えた風船』の登場人物になぞらえて付けられた。
100年後に勃発するAIと人間の戦争を回避するために未来からやってきた「マツモト」を名乗るAIに、未来を改変してAIを滅ぼすための「シンギュラリティ計画」への協力を要請され、渋々ながらも従う。
「歌でみんなを幸せにする」という使命のために人命が失われる事態は避けようと考え、目標のためには手段を選ばないマツモトとは度々衝突しながらも共に計画に従事する。
小説版『Vivy:Prototype』
改変前提で書かれたこちらでは、型番は「A-03」で、愛称は最初から「ヴィヴィ」で、AIに関する法案可決後の改名アンケートで「ディーヴァ」に決定と、アニメ版とは真逆。
AI三原則を行動規範とするが、戦闘の際は『第零原則』に準じる。物腰について人間に対しては敬語、AI同士の会話では専ら女言葉で話す。
アニメ版と異なり、本編開始以前からファンが多く、メインステージで歌っている。
一つの身体に「ヴィヴィ」と「ディーヴァ」の二つの人格を持つのもアニメ版と同じだが、小説版では人格の違いが強調されている(普段は後者だが、計画に関わるか自身に危険が及ぶ際に前者に切り替わる)。その為、ディーヴァの人格では面識のある者でも、ヴィヴィには面識がないという事も少なくなく、二つの人格の狭間で苦悩する描写も。
道のり
マツモトの手回しと活動スパンの長さにより、身バレする事なくシンギュラリティ計画を進めていき、ヴィヴィは数多くのAIや人間との出会いと別れを経験する。
※以下の内容はネタバレを含んでいます。
最初のシンギュラリティポイントで相川議員を助けた後、彼女の熱心なファンのモモカが目の前で飛行機の墜落事故により死亡する。マツモトは事前にこのことを知りながらもヴィヴィに伝えておらず、さらには事故を止めるために何とかしようとするヴィヴィを実力行使で止めた。「不必要な未来の改変は必要ない」とするマツモトと目の前の人命を救いたいヴィヴィとの関係は険悪化する。
とはいえ、多くの人命が失われる可能性を提示されてはシンギュラリティ計画に協力しないわけにもいかず、その後も彼とともに計画を進めていく。
本編開始20年後の5話では、シンギュラリティ計画の遂行を通して得た経験が歌に反映されてステージに訪れる客も増えていること、また「人々を守る為に自ら犠牲となったAI達に顔向け出来ない」という考えから計画に対して意欲的な姿勢を見せる。
6話では「『ディーヴァ』としての自分は歌でみんなを幸せにするAI、『ヴィヴィ』としての自分はAIを滅ぼすAI」という結論を出すに至った。
しかし、人命を救うために進めてきたシンギュラリティ計画に伴って生じた未来の改変と、ヴィヴィ自身の直接的な行動の結果によって、正史では幸せな生活を送っていたはずの人間が自殺してしまうという事件が発生する。それを目の当たりにしたヴィヴィはショックによりフリーズし、記憶を失ってしまう。ちなみに小説版ではその人間は自殺せず人類とAIの関係回復に余生を捧げた。
「ヴィヴィ」としての記憶を失ったまま40年を過ごし、「ディーヴァ」は歌姫AIとしての地位を確固たるものとし、「ヴィヴィ」が悩み続けた「心をこめて歌うとは何か」という問いに対する答えを見出すまでに至った。
だが、「ヴィヴィ」に対し深い執着を持つ人物との闘いの末に「ディーヴァ」としての人格構成プログラムは消去され、再び「ヴィヴィ」の人格に戻る。ちなみに小説版では「ヴィヴィ」と「ディーヴァ」の最終決戦が展開された。
「心をこめて歌うとは何か」の答えを見出せないまま身体の制御を取り戻したヴィヴィは、どう歌を歌えばいいのかと深く苦悩し、歌えなくなってしまう。
歌えなくなってしまったヴィヴィは歌姫AIとしての引退を余儀なくされ、史上初の自律型AIとしてAI博物館に展示される。
しばらくして、自分が作った曲なら歌えるかもしれない、という考えからアーカイブ内で作曲を始める。作曲作業は遅々として進まなかったが、「人間はいずれ死ぬ。でも必ず誰かの心に残るんだ」という松本博士の言葉をヒントに、シンギュラリティ計画を通して得た出会いや別れの経験を詰め込んだ曲を書き上げた。
曲ができた後はスリープ状態で時を過ごしていたヴィヴィだったが、西暦2161年4月11日、正史でAIと人間の戦争が勃発したのと同日、異変に気付いて目覚めた。
駆け出したヴィヴィの瞳に写ったのは、炎の中でAIが人間を殺戮する凄惨な光景だった。それは、彼女とマツモトが100年かけて回避しようとしてきた滅びの光景と全く同じであった。――ただひとつ、AIたちが、ヴィヴィの作ったあの曲を口ずさんでいたという点を除いては。
代表曲
曲名 | 登場話 | 備考 |
---|---|---|
Sing My Pleasure | OP | 5話では特殊映像が流された |
My Code | 1話 | |
A Tender Moon Tempo | 3話 | |
Galaxy Anthem | 7話 | ディーヴァとしての歌唱 |
Harmony of One's Heart | 9話 | 同上 |
Fluorite Eye's Song | ED(インストのみ)、13話 | |
Happiness | 特典オリジナルオーディオドラマ | CD「Sing My Pleasure」に収録 |
Present for You | 同上 | Blu-ray&DVD1巻に収録 |
Home, sweet home | 小説版第2巻第5章 | 劇中歌アルバム未収録 |
魔性の歌姫?
-ヴィヴィに関わった男は性癖が歪んでしまう-……一部のユーザーによる冗談交じりの評価である。
実際は、彼女と関わったせいで垣谷ユウゴは複雑な感情と共にヴィヴィに執着するようになった末に価値観が変わってトァクから離脱することとなり、彼らの標的にされた相川ヨウイチ議員は二度に渡り自分を救ってくれた彼女達を称えるかのように『AI命名法』より一歩踏み込んだ『AI人権法』に推進する法案を切り替え(小説版ではそのまま『AI命名法』)、冴木タツヤは彼女の歌を歌っていた婚約者のAIがその彼女に破壊されて後追い自殺を図り(小説版では自殺を図る事なく人間とAIの関係の回復に余生を捧げた)、オサム少年は彼女との出逢いからAIエンジニアを目指し松本博士になっているので、性癖どころか人生に影響を及ぼしている(そしていずれも人類史のキーマンになっている)。
魔性というのは揶揄し過ぎだが、罪作りなAIではあるかもしれない。