概要
コミックヴァルキリーでワス氏が連載している漫画作品でありテーマは『丸呑み×ダークファンタジー』。
両親を失った青年が復讐のため戦いに身を投じる内容で丸呑みが大きな意味を持っている。
あらすじ
竜を信仰対象とする宗教国家、ドラゴーネムンド。
その辺境の村に住む少年、マナトは、
義理の妹である足の不自由な少女、レンカとその両親とともに、
お互いを気遣いながら支えあって幸せに暮らしていた。
そんな村に教会の主教であるクリフと、
教会直属の戦士である「竜人兵団」が巡業にやってくる。
その日からマナトの人生の全てが変わってしまうとは知らずに……。
(コミックヴァルキリー公式HPから引用)
用語
・ドラゴーネムンド
作中の舞台となる国。かつて竜が眠りについた土地だと言われ、その幻想の世から舞い降りたような荘厳な姿に人々が引き寄せられたことがドラゴーネムンドの起こりだと言われている。サリュ・ドラゴーネ教会によって支配されている宗教国家。深い眠りについている竜は人々の祈りに応え目覚めつつあると言われている。
・サリュ・ドラゴーネ教会
ドラゴーネムンドの国教であるサリュ・ドラゴーネ教の集団でありドラゴーネムンドの最高機関。表向きは教会によって国家が守護され竜人兵団によって外の世界で起きている紛争を沈め周辺国からの侵略から国を守っている宗教集団及び統治機構だが、その実態は人間を竜人化させ竜人兵団による武力で世界を呑み込もうとしている邪教集団である。
・幻想楽園
サリュ・ドラゴーネ教が説く竜の故郷。竜に祈ればいずれその魂は幻想楽園に迎えられるというのが教会の教えである。
・ウェヴィリア
教会による支配に抵抗する闇のギルド。竜人兵団に対して武力で対抗したり教会について諜報を行うなどしている。また教団によるルトヴァ・サクアンスが行われる村で住民の救助を行うこともあるがあくまで戦闘による竜人兵団の討伐を優先しており人命救助は二の次である。主人公マナトは助けてくれたユリシアによってウェヴィリアに入団することになる。
・竜の心臓
ウェヴィリアのアジトで厳重に保管されている肉塊。詳細については分からないことが多い。竜の心臓に腕を呑ませることで腕を竜人兵団のように竜化させることが出来る。ただしそれによって竜の呪いを受けることとなり暴走してしまう可能性を孕んでいる。
・竜人兵団
竜人兵による教会直属の軍隊。竜の加護を受けた聖戦士だと言われているが、実態は他国への侵略やルトヴァ・サクアンスを始めとする人間の捕食を行う者達である。竜人兵は元は人間であり竜人化することによって強靭な肉体を手に入れることが出来、また人間を丸呑みにして消化することも可能になる。ある国はドラゴーネムンドの侵略に対し万を超える兵で迎え撃ったが、たった数十人の竜人兵に壊滅させられたという。
・黒角主教
竜人兵団の統率者であり他の竜人兵よりも強大な力を持っている竜人兵。他の竜人兵とは違い漆黒の角を持つことからそう呼ばれている。
・ドラディウム
ドラゴーネムンド各地から出土する球体の遺物。材質などほとんどのことが解明されておらず、「竜が幻想楽園から齎した神具」だと言い伝えられ教会が国中から収集保有している。だが竜化した肉体を持つ者のみドラディウムを武器へと変化させることが出来る。竜人兵と腕を竜化させたウェヴィリアのメンバーはドラディウムを使って戦う。
・ルトヴァ・サクアンス
教会による生贄実験。主教と護衛の竜人兵団による巡行と称して訪れた村の住民を残らず丸呑みにする。マナトが暮らしていた辺境の村トランエルタも標的となりマナトとレンカを残して村人全員が犠牲となった。
本作の『丸呑み』について
タイトルにも『呑』の字が入っているように本作では丸呑みが非常に大きなテーマとなっている。人間が捕食される作品は数多くあるが、本作の竜人兵による丸呑みは人体を喰い千切るような出血を伴うグロテスクな描写は無く(丸呑みとは別に首を斬り落とすなどの表現はある)人間を生きたまま丸呑みにする。呑み込まれる際の描写(特に女性キャラ)は本作最大の魅力とも言っていい。具体的なものを上げると、竜人兵に丸呑みされる様子、人間を丸呑みして膨らんだ竜人兵の腹、体内の肉壁とその中に囚われた人間などあり丸呑みフェチシズムの愛好家にはたまらない作品となっている。元々作者であるワス氏が丸呑みシチュのある成人向け漫画を描いたりpixivで丸呑みシチュのイラストを投稿するなどしていており丸呑み描写には定評がある。
そして竜人兵による丸呑みは単に人間を食料とする捕食行動ではなく教会の教えに基づいたものである。一般的には竜に祈りを捧げれば死後その魂は幻想楽園に迎えられると教えられているが、実際の教会の教えでは幻想楽園には階層がありただ祈りを捧げるだけでは最下層「ヴァプラシオン」にしか辿り着けず魂はいずれ再び現世へと戻ってしまう。しかし竜人に呑み込まれることで不浄な肉体は溶け消え聖なる竜の体内を通ることによりその魂は中層の「アネリフトゥルム」より上層へと迎えられるという。
登場人物
ウェヴィリア
・マナト・アスクレイ
本作の主人公。元は捨て子で辺境の村トランエルタで養父と養母、そして義妹のレンカと過ごしながらいつか竜人兵団に入りたいと夢見て身体を鍛えていた。だが巡行で村に訪れた主教クリフ率いる竜人兵団によって両親を含め村人全員が呑み込まれてしまう。レンカを連れて竜人兵から逃れようとしているところをウェヴィリアのユリシアに救われ復讐を胸にマナトもウェヴィリアに入団することになる。
妹のレンカを大事にしているが両親を奪った竜人兵団に強い恨みを抱いており敵に対しては非常に攻撃的。だが根は優しく正義感の強い性格の持ち主。
彼のドラディウムによる武器は特殊でドラディウムそのものを身体に取り込み腕そのものを竜のものに変化させることが出来る。物語の中で彼は戦いながらその身にドラディウムを取り込んでさらなる力を得ていくことになる。
・ユリシア・エアリード
本作のメインヒロイン。ウェヴィリアのメンバーであり竜人兵に襲われていたマナトを助けた恩人。ウェヴィリアの中では実力者であり任務ではマナトと共に行動しているが、それは単なる相棒ではなくマナトが竜化やドラディウムの取り込みで暴走した際に彼を処分するためでもある。
感情をあまり表に出さず敵に対して容赦はないが、本来は仲間想いの性格でありマナトやレンカのことを気に掛けることもある。
ドラディウムによる武器は「アリィク・アミナ」。剣と頭に生えた竜角による武器で刃が分離し竜角を生やすことによって自在に操ることが出来る。それによって近接戦だけでなく分離させた刃による遠距離攻撃も可能だ。
・レンカ・アスクレイ
主人公マナトの義理の妹であり本作におけるもう一人のヒロインとも言える存在。マナトの養父母の実子。事故に遭ったせいで歩けない身体となり普段は車椅子で生活している。竜人兵団による襲撃で両親が目の前で竜人兵に丸呑みされる様子を見て気を失いそのまま兄マナトが入団したウェヴィリアに保護されることになる。後に目を覚ますが心に深い傷を負ってしまっている。
心優しく大人しい性格だが復讐に駆られるマナトのことを心配している。
・リンゴウ・エンハスター
ウェヴィリアのメンバーでトップクラスの実力を持っている。シノンと組んで行動している。シビアな性格で新参者で不確定要素の多いマナトのことを快く思っていない。幼い頃に元軍人の父親から虐待を受けていた過去を持つ。
ドラディウムの武器は「ソリド・レイティカ」。銃の形状をしていてエネルギー体の弾丸を発射するだけでなくエネルギー体をムチ状や刃状にして戦うことも可能。
・シノン・ピリアーシュ
ウェヴィリアのメンバーでトップクラスの実力を持っている。リンゴウと組んで行動している。巨乳。常にマスクをつけており表情が読めないクールな性格。かつてはユリシアと組んでいて彼女の過去について色々知っている。
ドラディウムの武器は「オムニ・オグトゥーラ」。剣でありながら刃だけでなくハンマーや炸裂弾に変形させることが出来る。
なお、本作2巻にはシノンが竜人兵に丸呑みされる書きおろし漫画「シノンの悪夢」がある。
作者がX(旧Twitter)で行ったキャラクターの人気投票では1位となりpixivFANBOXにシノンが大蛇に丸呑みされる「シノンの悪夢2蛇夢」が公開されている。
・ランシェリ・アルスィト・ティーア
ウェヴィリア創立からのメンバーであり幼い頃のユリシアを助けた恩人。教会に最初に侵略された団長の国「トリアトゥスプローグ」の姫騎士だった過去を持つ。優しく朗らかな性格とは裏腹にその実力は確かである。幼い頃のユリシアを何かと気に掛けていた。殺伐としたウェヴィリアの中において彼女はギルドを正義の騎士団のように考えており非常に仲間想い。
ドラディウムの武器は「聖剣スヴィルディウス」。素早い剣さばきで敵を圧倒する。
・フェセレー・モースク・ヴァイス
ウェヴィリアの団長。
・シャリタ・トーチ・アールット
ウェヴィリアの看護団員。ギルドに保護されたレンカの世話をしており彼女の話し相手になりたいと思っている。
・オスガファ隊長、フォートゥス
ウェヴィリアのメンバー。辺境の村パスラウアウムで竜人兵団との戦闘に参加。
・ヴェイズ、ギャルザ、ガルエラ、メノス
かつてのウェヴィリアのメンバー達。ランシェリとは昔からの仲。
・タイニス・コフィ・インフェス
マナトとユリシアが竜化などで暴走した場合の処理をヴァイスから任されている。
サリュ・ドラゴーネ教団
・クリフ・サリュ・ドラゴーネ
教会の主教。マナト達が暮らすトランエルタに竜人兵団を引き連れた巡行に訪れる。信心深く穏やかな性格の青年だが、竜人兵団と共にトランエルタでルトヴァ・サクアンスを行ないマナトとレンカの両親と村人達の命を奪った張本人。
・スィーラ・アドラ
黒角主教の一人。自身の才能を誰も認めてくれないことから学問ではなく信仰を選び教会の主教となった過去を持つ。それゆえにかなりの狂信者となっている。貴族ドゥラウスの護衛任務にあたっていたところでマナトとユリシアと遭遇し戦闘になる。主教となってからは日が浅いが、黒角主教であることに変わりなく他の竜人兵とは比べ物にならないほどの力を持っている。ドラディウムで瓦礫を操り攻撃や防御を行う。
・ヴェヂマ・ヴェンティー
黒角主教の一人。愛し合っていない両親の元に産まれ心から愛し合える人を見つけるも考え方の違いから自身の元から去ってしまい、そんな時に教会の元で主教となった過去を持つ。それゆえに信仰を分かち合い友愛の輪で繋がることが本当の愛だと考えている。パスラウアウムに巡行し竜人兵団を率いてルトヴァ・サクアンスを行なっているところをマナト達ウェヴィリアと戦闘になる。竜人になると他の竜人兵とは違い蛇のような姿になり、彼女の配下の竜人兵団も同様に蛇の姿をしている。ドラディウムで風を操り宙に舞い上がり嵐を巻き起こすことが出来る。
・フリュックス・ニューゲン
黒角主教の一人。他の主教とは違い元来鬼畜な性格で女性の命と希望を摘み取ることに幸福を感じ教団にも気付かれない様凶行を繰り返している。ユリシアにとっては母の仇で因縁の相手。そしてフリュックスにとって成長したユリシアは待ちに待った獲物である。ドラディウムをスライム状にして攻撃する。スライムで取り込んだ相手を消化することも可能。
・ヘーゲディタース・ドラゴエンツァ
サリュ・ドラゴーネ教会現教皇。教会とドラゴーネムンドにおける絶対的な指導者でありウェヴィリアにとってはこの男の暗殺こそが最大目標である。
・プレリシア
フリュックスの元で主教を目指していた教会信者。フリュックスを先生と仰ぎ信頼していたが……。
・リーフロル
クリフと共に幼少期を教団で過ごしていた。クリフからはお姉ちゃんと慕われている。
その他
・ソリス・アスクレイ、ホリッサ・アスクレイ
マナトの養父母でありレンカの両親。父親のソリスはお調子者で料理も出来る主夫。母親のホリッサは気が強くて心配性。捨て子であったマナトを拾って育て実の娘のレンカ共々可愛がる両親だったが竜人兵に夫婦共々丸呑みされ犠牲となってしまう。
・ドゥラウス・リチェフーガ
ドラゴーネムンドの貴族で現教皇と繋がりがあると目されている。マナトは初任務としてユリシアと共に有益な情報を持っているとされるドゥラウスを捕える任務を任される。竜人兵団によって占領された国の民を劣等民族と蔑み自身は選民だと自負する傲慢な性格。礼拝堂の建設現場の視察では黒角主教スィーラと配下の竜人兵に護衛されているが……。
・ミーシェア・リチェフーガ
ドゥラウスの娘である貴族令嬢。父親同様自身を選民だと自負し礼拝堂の建設では強制労働させている占領地の人間を足蹴にするなど非常に傲慢。マナト達に襲撃され建設中の礼拝堂の中へと逃げ込むが……。
・ミルネ
辺境の村パスラウアウムの村娘。家で寝ているところを竜人兵に襲われ丸呑みされてしまう。
・イザント・エアリード
ユリシアの父。故人。宮廷医だったが本当に困っている人の力になりたいと家族と共に田舎に引っ越して病院を開設していた。
・センフュイア・エアリード
ユリシアの母。故人。夫が亡くなった後自暴自棄になっていたところをユリシアからフリュックスを紹介されてしまい……。
・ナディサ・フォルトゥ
幼い頃大病を患っていたところをユリシアの父が治療したことで病気を克服し大人に成長できた女性。しかしその出自のせいでフリュックスに目を付けられてしまう。
・ネルくん
シノンの想い人。教区で宗教画を描く画家。シノンのことはノンちゃんと呼んでいる。名前は作中では明かされていなかったが作者がpixivFANBOXで公開した描き下ろし漫画内でシノンが彼の名前を呼ぶシーンがある。
???
・竜
サリュ・ドラゴーネ教が崇める人間の神。
・英雄
神を討つ為に作り出された存在。