概要
レベルファイブが製作・販売しているゲームシリーズ二ノ国のアニメ映画化作品。
2019年に公開。制作時期の関係もあり、二ノ国シリーズで最も人気の高い「漆黒の魔導士」ではなく当時の最新作だった「二ノ国2レヴァナントキングダム」がベースの世界観となっている。さらに直接の舞台や登場人物などは全て映画オリジナルである。
ゲーム作品の段階でスタジオジブリと協力して製作しており、映像と音楽の両面でスタジオジブリからの影響が強い作品であった。その為、原作同様に全体的にジブリを彷彿とさせる作風である
興行収入は4.1億円。
あらすじ
登場する人物は全て完全オリジナルキャラクターであり、ゲーム登場キャラクターとは何のつながりもない。
また「漆黒の魔導士」が小学生などの低年齢層をメインターゲットしていたのとは異なり、より高い年齢層を狙ったなろう系ストーリーに近い内容の「二ノ国2」がベースとなっているので、キャラクターの年齢層は高校生程度と比較的高い。…もっとも二ノ国2のほうの主人公は現実世界では中年男性なのでそれよりはまだ若いが。(二ノ国の中では青年に変化しており本編中ではほぼ全編通してこの状態であった。)
子供の頃に「漆黒の魔導士」をプレイしていた大人になった世代もターゲット層に入れているのかもしれない。
ストーリーも母や祖国を助けるために少年が冒険するファンタジーに重点を置いていた漆黒の魔導士とも、中年の政治家が異世界転移して幼き王を支える宰相となって活躍する二ノ国2とも異なり、二ノ国を舞台に繰り広げられる三角関係が軸に置かれている。
主なキャスト
・ユウ
本作の主人公。幼少期に事故で下半身付随となる。養子で、車いす生活を送っている。
幼なじみであるコトナのことが好き。
・ハル
ユウの幼なじみ。コトナと付き合っている。
・コトナ
ユウの幼なじみ。ハルの彼女。
・アーシャ
二ノ国のエスタバニア王国の王女。コトナと魂を共有している。
評価
人気ゲーム作品を原作としているとは思えないほど、酷評された映画。
本作が公開された同年の同月には同ジャンルの映画作品として酷評を受けたドラゴンクエストユアストーリーという作品があるが、それに輪をかけて酷い評価を受けている。
それは興行収入と言う結果にも表れており、最終的に14.2億円の興行収入を記録したユアストーリーに対して、本作は10億円も低い4.1億円で終わっている。
スタジオジブリが全面的に協力していたゲーム作品とは違い監督がジブリを抜けたこともあってか作画に関してもところどころ欠点を指摘されているが、最大の問題はシナリオ。
とにかくシナリオに酷評の全てが集約されており、褒められている点が一つもない。
どこがどのように悪いかを言うとすれば映画の内容を一から十まで書き記すことになるので差し控えるが、一言で言えば、設定も話の流れも何もかもが破綻している。
往年のファンほど「この作品の出来に失望した」という声は多く、この作品によってレベルファイブの評価にすらも傷をつけたと言って良い。
以前から日野晃博氏の脚本製作能力に関してはレベルファイブ屈指の人気シリーズの近作が酷評されたこともあり疑念の声が多かったが、この作品によって脚本家としては致命的と言ってもよいくらいに信用を失う結果になった。
映画の影響なのかは不明だがしばらくしてレベルファイブは映画については触れなくなり、ゲームにおける失敗作として知られる「ローグギャラクシー」と同様、黒歴史として密かに影に葬られている。
二ノ国シリーズ自体も大作だった「二ノ国2」が微妙な結果に終わっていたところにこの映画が追い討ちをかける形となったため今後が危ぶまれていた。
…が、韓国限定で配信された新作ソシャゲがヒットしたらしく、首は繋がっている状態のようである。国内では音沙汰がないが。