概要
『イナズマイレブン アレスの天秤』とは、ゲーム会社レベルファイブ原作によるテレビアニメシリーズ『イナズマイレブン』の新作。
同シリーズでは『イナズマイレブン』3部作(FF編、脅威の侵略者編、FFI編)、『イナズマイレブンGO』3部作シリーズ(ホーリーロード編、クロノ・ストーン編、ギャラクシー編)に続く第7作目の作品となる。
2016年7月27日、『LEVEL 5 Vision 2016 -New Heroes-』にて主な情報が公開された。
ゲームの対応機種はニンテンドースイッチ、プレイステーション4、スマートフォン(iOS/Android)、発売・配信時期を2018年夏予定としていたが、延期に延期を重ねた結果アニメ終了時点でも発売の目処が立たず、後に「アレスの天秤」と「オリオンの刻印」をまとめて「英雄たちのグレートロード」へと改題されることが発表。更にその後「グレートロード」改め「ヴィクトリーロード」がオリジナルストーリーとなることが改めて発表されたため、ゲーム作品としての「アレスの天秤」は事実上消滅した。
延期等の詳細は「英雄たちのヴィクトリーロード」を参照。
サブタイトルの「アレスの天秤」とは、物語後半で主人公たちに影響を与えてくる"ある存在を表す名前"とのこと(2016年8月18日・25日合併号のファミ通内の日野社長のインタビューより)。
PV内では「人の運命を変える」「世界を変える力がある」と言われ、本編では「試合を予想通りにしている」「全てを見通す」とのことから人工知能の様な物であることが示唆されていたが、その正体は月光エレクトロニクスが開発したスーパーコンピュータ「AR2000」による新世代教育プログラムのことであった。
またアニメージュ2018年11月号のQ&Aによると『軍神アレスと人の力量を量る天秤をかけ合わせてみたといい、「コイツは何で戦えるのか?」と人の価値や能力を計って見極めようとするプログラムのイメージであった』と語っている。
メインの主人公である明日人のみ、この「アレスの天秤」とは特に因縁はない。
テレビアニメは2018年4月6日から9月28日まで放送。全26話。制作アニメスタジオはOLM。テレビ東京系列にて毎週金曜17時55分~18時25分(『妖怪ウォッチ』の前座枠)に放送されている。また、テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知では同日深夜に再放送を実施している。さらにはBSジャパンでも1週間遅れの木曜17時~17時30分に放送されているだけでなく、テレビ和歌山や奈良テレビ、さらにはTBS系列局および日本テレビ系列局各約1局ずつ、フジテレビ系列局およびテレビ朝日系列局各約2局ずつでも放送されている。なお、テレビ和歌山と奈良テレビ(いずれも木曜日に放送。なお、片や夕方5時台、片や夜7時台だそうな)以外のテレビ東京系列外局では、日曜早朝に放送。
- 再放送版に関しては、エンディングテーマも本放送で尺の都合でカットされる場合でも、流れるという違いが存在する。初回の1時間スペシャルに関しては、1話と2話を本来の尺で放送を行った。
- アニメが旧シリーズ1期と同じく2クールになってしまったのは放送開始の延期(当初は2017年夏予定→10月予定→2018年春)と、2018年FIFAワールドカップに追いつくために日常・修行シーンや相手チームの掘り下げの尺をカットして、続編の世界大会編へ早く移行しようとしたからである。
- 日野社長も各インタビューでしっかりとした修行シーンを描きたかったが、他にも描きたいドラマがあるので泣く泣く削っていたこと、一つ一つの試合をもう少ししっかり掘り下げたかったが、限られた尺の中でたくさんの選手たちを見せたいという気持ちがあり、そこがジレンマであったと語っていた。
なおアニメ放送開始前、それまでの間に本作と関連したオリジナルアニメが放映された。
- 本作に関連した完全新作ショートストーリー『イナズマイレブン アウターコード』を、レベルファイブ制作番組『イナズマウォーカー』内で放映中。
- 2018年1月21日開催の「イナズマイレブン大復活祭」にてアニメ『イナズマイレブン』第27話「宇宙人が来た!」(脅威の侵略者編第1話)を、本作に内容が繋がるように再構成したストーリーである『イナズマイレブンReloaded』アナザー27話「サッカーの変革」が上映される。同時に『アレスの天秤』1話+2話を劇場版カットした「旅立ちの特別編」として先行上映。
他にもアニメ放映開始と同時にネット限定のショートアニメ「ロッカールーム」の配信を予告していたが、中止となってしまった模様。
またアニメ放送・ゲーム発売に先駆けて月刊コロコロコミックにてタイアップが行われ、おおばあつしによるコミカライズ(稲森編)が2018年2月号から2019年10月号まで連載され、オリキャラとして京野球太が新登場した。
また2018年4月6日24時から12月22日までサンデーうぇぶりでやぶのてんやによる灰崎編『ペンギンを継ぐ者』、秋からマンガワンで「アウターコード」のアンソロジーが連載された(マンガワンは元々野坂編の連載を予定していたが、計画が頓挫したと思われる)。
2018年8月26日開催の「イナズマイレブンフェス2018」で続編にあたる世界大会編「イナズマイレブンオリオンの刻印」が2018年10月5日に放送決定、日本代表イナズマジャパンの発表会が行われた。
設定
本作ではキャラクターの頭身が一新され、旧シリーズ基準の3~5頭身が6~8頭身へと上がっている。
これは日野氏によると「幅広い層に見てほしい」「大人っぽくシリアスなドラマが展開され、特に野坂を本作での頭身じゃないと表現が難しい」といった判断によるものである。
また旧シリーズからのキャラクターのビジュアルもアレンジされている他、シリーズで初の出生日も設定された。
時間軸は『イナズマイレブン』(無印1作目)の後、すなわち円堂守たち雷門中サッカー部が『フットボールフロンティア』全国大会で優勝した1年後。
本来であればこの後『イナズマイレブン2 脅威の侵略者』(2作目)のストーリーが続き、雷門中にはエイリア学園の襲撃が待ち受けるはずだが、今作はパラレルワールド(平行世界)という設定であり、エイリア学園が作られず、雷門中含む日本全国への襲撃が無かった前提の話で進む。
またその本編以前に亡くなったキャラクターが生存している上、年齢設定に変更が加えられている他、声優が変更されたキャラクターも居る。
それにより2、3作目から登場したキャラクターもパラレルワールドの影響により、今までの設定から大きく変わると思われる。
更に正史の2作目に出てきた一部のキャラクターは時間や舞台、物語の設定が大きく変わってしまうことや雷門中出身の選手で無くなることが明らかとなるため、本編に登場しない(ただし一部のキャラを除き、個性は変わらずに登場するとのこと)。
『GO』からも複数キャラが登場するが、同作の主人公の松風天馬は設定変更の影響により、無事では済まない状態になるとの事(ここら辺は『GO2』でも似たシチュエーションが描かれているが、同作でのアルファの発言とは矛盾する所がある)。
本作が1作目から1年後と明言されたのは2018年3月25日・26日に開催された「AnimeJapan 2018」のスペシャルステージより。
そのため1作目から登場した中学3年生のキャラクターは卒業済みのため、選手として登場しない(ゲームでは卒業済みのキャラに関する掘り下げがある模様)。代わりに新キャラ(1年生)に差し替えられる。
一方で正史では本来3年生であるはずのとあるキャラが中学生として登場しているが、2作目以降の特定のキャラは学年が一つ下げられている模様(小説より)。
今作のフットボールフロンティアの予選はトーナメント制からグループリーグ制へと変わっている。厳密に言えば1つの予選ブロックに16校が割り振られ、同じブロックに属する他の15校のうちの6校とランダムに対戦し、その対戦成績の上位2校が本戦に進出するという形式なので、総当たり戦にはならない。
本戦は前作通りトーナメント制であり、総勢32校が出場。2つのトーナメントブロックに分かれ、AブロックとBブロックを勝ち抜いたチームが決勝戦で対戦する。
今大会では女性選手の出場が可能、また大会中に学校のチームランクが同レベルかつお互いの監督が本戦開始前に合意している場合、1名のみ別の学校への転入が認められるなどの大会規定が定められている。
舞台は孤島である『伊那国島』(いなくにじま)から始まり、これまでのシリーズでお馴染みの雷門中に加え、星章学園・王帝月ノ宮中の計3校が中心となった物語を展開する。
必殺技の演出も異なっており、スピニングカットが真空刃を3発放つ技となっている他、爆熱ストームはトライアングルZとファイアトルネードとのオーバーライド技になっているなどの差異がある。これは事実上、必殺タクティクスやシュートチェインとは異なる4人以上での必殺技が解禁されたという事でもある。
ゲーム版PVにはクロスドライブなどの旧作の技が登場するため、旧作からいくつか必殺技が引き継がれる予定であった事がわかる。
あらすじ
フットボールフロンティアでの雷門中優勝により、少年サッカーは日本中で人気を集めるようになる。やがてサッカーチーム運営の要件として、大規模な資金を有するスポンサーが付かなくてはならなくなった(『スポンサード』と呼ばれる制度)。
故に、スポンサーの付かない学校は試合観戦における集客が見込めなくなり、資金不足によって廃部に追い込まれるようになっていった。
孤島・伊那国島にある伊那国中のサッカー部にもその影響は及ぶこととなる。ある日、伊那国中校長の判断により廃部が決定し、サッカーグラウンドが撤去されることとなった。
伊那国2年の稲森明日人は撤去を阻止しようとするが、簡単に解決できる話ではなかった。その代わりに校長が「本土にある雷門中へ転入し、フットボールフロンティアで1勝すればサッカーを続けられる」という話を持ちかける。
故郷の島を離れることに戸惑うサッカー部の面々だったが、自分たちのサッカーを取り戻そうと決心して本土へと渡り、雷門中に転入。「フットボールフロンティアで1勝し、スポンサー獲得」を目指す。
フットボールフロンティアに出場する雷門中は予選第1試合で星章学園と対戦。星章1年・灰崎凌兵は伊那国の秘めた実力に狂笑する。一方で客席から王帝月ノ宮中の2年・野坂悠馬は伊那国メンバーのプレーを眺めていた。
明日人、灰崎、野坂。それぞれがサッカーにかける想いとは……。
「てっぺん」を目指す少年たちの、熱き青春サッカードラマが幕を開ける!
登場人物
関連動画
【ゲーム&アニメーション パイロットフィルム『イナズマイレブン アレスの天秤』】
(株式会社レベルファイブ公式チャンネル「LEVEL5ch」より)
【イナズマイレブン アレスの天秤】超新作映像「フットボールフロンティア編」
(株式会社レベルファイブ公式チャンネル「LEVEL5ch」より)
スタッフ
TVアニメ版
- 総監督/原案・シリーズ構成:日野晃博
- 原作:レベルファイブ
- キャラクターデザイン原案:長野拓造
- アートコンセプト:荒川政子
- 必殺技絵コンテ:三村健人
- キャラクターデザイン:池田裕治、中野繭子、井ノ上ユウ子
- メインアニメーター:田中修司
- 美術監督:守安靖尚
- 美術設定:守安靖尚、深井亮太
- 色彩設計:坂本いづみ
- 撮影監督:柚木脇達己
- CGIディレクター:小出秀治
- 編集:渡辺直樹
- 音響監督:三好慶一郎、原口昇
- 音楽:光田康典
- チーフディレクター:かまくらゆみ
- スーパーバイザー:川崎由紀夫、梶原清文、縄田正樹、沢辺伸政、和田誠、古市直彦
- プロデューサー:紅谷佳和(テレビ東京)、武田陽佑
- プログラムマネージャー:丸茂礼(テレビ東京)、徳永睦(テレビ東京)
- アニメーションプロデューサー:河北学
- アニメーション制作:OLM
- 製作:テレビ東京、電通、OLM
パイロットフィルム版
- 総監督・原案・脚本:日野晃博
- 監督・絵コンテ:かまくらゆみ
- 演出:鳥井聖美
- キャラクターデザイン:長野拓造
- キャラクターデザイン・作画監督:日下部智津子
- アートコンセプト:荒川政子
- 撮影監督:柚木脇達己
- 編集:小野寺絵美
- 音楽:光田康典
- アニメーション制作:OLM
- アニメーションプロデューサー:小板橋司
- 製作・著作:レベルファイブ
主題歌
「てっぺんへダッシュ!」
作詞 | 作曲・編曲 | 歌 |
---|---|---|
高木真司 | 菊谷知樹 | pugcat's |
pugcat'sのメンバーであるトン・ニーノ氏はかつて『T-Pistonz』に所属しており、シリーズ第1作から音楽面で各メディアを支え続けてきた人物である。
「恋する乙女は雨模様」
作詞・作曲 | 編曲 | 歌 |
---|---|---|
つんく | 菊谷知樹 | alom |
立ち上がリーヨ(リローデッドVer.)
作詞・作曲 | 編曲 | 歌 |
---|---|---|
山崎徹 | 菊谷知樹 | pugcat's |
リローデッド版のOP。第23話で挿入歌として使用された。
地球をキック!
作詞 | 作曲 | 歌 |
---|---|---|
高木真司 | 菊谷知樹 | pugcat's |
ゲーム版のPVで使用された楽曲だが、のちに続編である『オリオンの刻印』のOPにも採用された。
舞台版
2010年9月の舞台版イナズマイレブンから約9年ぶりとなる本作の舞台化が決定。
タイトルは「イナズマイレブン アレスの天秤 THE STAGE~疾風迅雷~」。
選手役の出演者はオールオーディションの新人俳優を選出。
場所はMixalive TOKYO Theater Mixaで、当初2020年5月上演を予定していたが、新型コロナウイルスの影響により全公演を中止を発表。
Cast
スタッフ
原作 - レベルファイブ/「イナズマイレブン」シリーズ
脚本・演出 - 三浦香
製作 - 『イナズマイレブン』 THE STAGE 製作委員会
次章(オリオンの刻印)
前述の通り、地続きの続編であるイナズマイレブンオリオンの刻印 が(アニメのみではあるが)数ヶ月後に展開された。
しかし、本作をさらに上回るほどの色々な意味で賛否両論の激しい作品となっているため記事の閲覧は注意。
余談
- イナズマイレブンシリーズでは、鬼道や剣城のように「初期のライバルとして主人公を痛めつけるが後に主人公の影響で心境に変化が生じ、最終的に主人公と同じチームで戦うようになった」キャラクターと、「初期から味方で、高い実力を持つも最初はとある事情でサッカーに消極的だったが、主人公に影響されて立ち直る頼れる熱血漢」である豪炎寺や神童のようなキャラクターの登場がお馴染みとなっており、本作でも上記のようなキャラクターの登場が予想されたが、結果的に前者に該当するキャラクターの登場に留まった。
- 世界線の分岐点については公式側は「円堂編1期のFF編から分岐した」と発表しているが、過去に亡くなった人物の生存や年齢変更などの影響があるため、厳密には1期以前から既に分岐しているという見方が正しい。
- アニメ版のキャラクターの掘り下げに関しては全体的に過去キャラが所属するチームや王帝月ノ宮中や星章学園といったライバルチームに比重が置かれている。
- 伊那国雷門にも特訓シーンや掘り下げ場面がなかったわけではなかったわけではなかったが、必殺技習得の過程が唐突すぎる事が多かったり、試合シーンも技と技のぶつかり合いではなく、ノーマルシュートがあっさり入ったり、こぼれ球を剛陣が利用してゴールに入れるという駆け足な展開(出現地点予測/弾道補正)が多々あった。
- 一方で、漫画版は伊那国雷門を中心として描いている為か、彼らの掘り下げが強めな展開となっている。
関連イラスト
関連項目
表記ゆれ:アレスの天秤