共同親権
きょうどうしんけん
共同親権(英:Joint custody、共同監護とも訳される)とは、両方の親に親権が与えられる親権形態である。
日本の子どもに対する父母の親権については共同親権が原則であるが、離婚などの事由が発生した場合、例外として単独親権となる場合もある。
2024年4月16日、これまで離婚後は父母どちらかの単独親権とする規定を見直し、共同親権を選べるようにする民法改正案が衆院本会議で自民・公明両党や立憲民主党、日本維新の会などの賛成により可決された。
しかし、児童虐待やドメスティックバイオレンス(DV)の被害継続防止に懸念の声も上がっており、共同親権廃案を求める声も大きく署名運動も行われている。
参議院で審議入りするも、家庭裁判所の人手不足なども問題視されており、健全な法律運用に必要な社会的コストが不足しているまま共同親権法案が導入されれば社会の混乱がおこり、子どもの人権侵害や虐待が見逃される事が危惧されている。
離婚後の「共同親権」の導入をめぐる民法改正案が、5月17日に参議院本会議で自民・公明の与党のほか、立憲・維新・国民や、教育無償化を実現する会などの賛成多数により可決・成立した。改正民法は2026年に施行の見通しで、以後は父母の協議により共同親権か単独親権かを決定。双方が合意できない場合は家庭裁判所が判断のうえで決めることになる。すでに離婚した人も適用対象である。
離婚時に「将来のDVの恐れ」がある場合には単独親権になると法務省は説明する。しかし「すでに離婚しているケースでDV被害の証拠が残っていない」場合や「加害者が反省を申し出ているケースではどうなるのか」、その場合に被害者が望まなければ共同親権を避けられる救済策などについては具体的に示されておらず、今後の課題となっている。
小泉龍司法務大臣の答弁
また、DV被害者からは「証拠が残っておらず時間も経っている場合、裁判所で被害者だと認めてもらえるのか」という懸念の声が上がっていることにどう答えるかを出席議員より問われた小泉龍司法務大臣は「真剣に身に起こったこと、過去のことをお話しされれば裁判所に通じると思う」などと曖昧に答弁した。
離婚後に共同親権となる場合、両親の同意がないと子どもが適切な医療を受けられなくなる恐れが生じるとの指摘もあった。3歳の娘の心臓手術をめぐり説明や同意の手続きがなかったとして、離婚前別居中の父親が滋賀医科大学を提訴のうえ22年に一部勝訴した件(大津事件・参照記事)は、これまでにも報道や国会審議でも取り上げられ、法務委の審議で具体的な事例として挙げられた。これについて見解を求められた小泉法務大臣は「ちょっと、今、初めて伺った」と述べるにとどまった。