概要
「単独親権」とは、離婚後の親権をどちらか一方の親にだけ認めることである。
2024年4月16日、これまで離婚後は父母どちらかの単独親権とする規定を見直し、共同親権を選べるようにする民法改正案が衆院本会議で自民・公明両党や立憲民主党、日本維新の会などの賛成により可決された。
質疑の中で、法案の中身が玉虫色・生煮え等の批判が出ていて、子どもに関わる医療・教育等の現場で混乱が予想される。
児童虐待やドメスティックバイオレンス(DV)の被害継続防止に懸念の声も上がっており、共同親権廃案を求める署名運動も行われている。
諸外国では共同親権を採用している国が多く、2020年に法務省が公表した調査では、日本以外の主要20か国(G20)を含む24か国のうち22か国で、「単独親権」だけでなく、「共同親権」も認められている。この調査の中で「単独親権」制度だけを採るのは、日本以外ではインドとトルコの2か国だった。
ただ、国ごとに離婚の制度や親権という概念なども異なっていて、単純な比較は難しいという指摘もある。
他にもモンゴル、北朝鮮、中近東、南アフリカを除いたアフリカ諸国、ボリビア、ギアナ三国が単独親権制であるとされる。
(海外では「親権」という言葉は使われなくなっており、「親の責任」「責務」等、親の義務を指す言葉に変わっている。)
(日本は単独親権であるが、現行法でもコミュニケーションのとれる父母は共同養育をしている。また、2012年頃から原則面会交流となり、DV虐待家庭でも面会交流が行われたが、その後ニュートラルフラットという子の利益を優先した方針に見直された。)
国際結婚した日本人女性が離婚する際、無断で子供を連れ去って誘拐事件となるケースが多発しており、FBIに指名手配される等、長らく国際問題となっていた。
近年では台湾人夫と結婚後離婚した日本人の元卓球選手が長期休暇後に子を帰さないことがニュースになった(現在は日本で共同親権の導入が決定された故か、両者の示談が済み、取り敢えず子を夫の元へ帰している)。
- このケースも「台湾人夫は結婚後本性を現す」「何で命をかけて産んだ子どもを夫に取られなくちゃならないの」と日本国内では日本人贔屓の批判が多く出ており、単純に日本が遅れているとも言いがたい問題である。
また、日本では長らく子育ては母親の務めという文化もあってか、例え母親に非があったとしても父親が親権を取り辛い事情が問題視されている(これは法律では両親のうち子供と一緒にいる時間が長い方が優先される為)。
現にとある著名な漫画家が妻の不倫を理由に離婚する際、娘の親権を獲得するのに苦労している。
父親側に非があるケースでは、元棋士が逆恨みの末に元妻を中傷するツイート投稿をしたことで二度の名誉毀損により逮捕された末に、2023年7月20日に元妻の自宅を襲撃して殺人未遂罪で逮捕された事例もある。
お国事情が違えば結婚・離婚の常識もDV対策も男女平等の意識も違うため、国内世論・国際世論の折り合いを告げた法整備が求められる。
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共同親権/単独親権