概要
古の時代より、神族から特殊な力を与えられ、魔族と戦ってきた一族。
主人公の東城刃更やその父親である東城迅もまた、この一族に所属する勇者であった。
勇者である彼等の存在によって、人類は魔族を始めとする「魔」の力を持ってこの世に災いをもたらそうとする脅威から守り続けられており、表社会においてその存在は知られていないものの、現在の世界における影響力は強い。
その勢力は幅広く、日本やアフリカ、オセアニアでは『集落』という形態をとっているが、高度な情報社会であるアメリカやヨーロッパ等では、社会だけでなく政治等にも深く関わっている。
特にアメリカでは、政府直轄の情報機関(つまりはCIA)内に、表向き存在しない『部署』を設けており、そこに勇者の一族達が所属し、政治に深く入り込んでいる。
最大勢力かつ総本山となるのは、カトリック系のキリスト教派閥の総本山であるバチカンであり、長い歴史の中で、時代に合わせて社会に適応出来る在り方へと形態を変えた末、「宗教」という形で身を置いており、絶大な権力を持つ財閥や貴族も所属している事で、欧州の歴史を裏からコントロールしている。
元々ヨーロッパには、異界との次元境界を数多く抱えている事もあって、勇者の一族の統括を担うバチカンには数多くのSクラスの実力を持った勇者達が所属しており、更には高位魔族との戦いのみならず、他の勇者の一族の問題的な行動の調査や解決も担う「特務戦技部署(とくむせんぎぶしょ)」という部署も設けられている。
しかしその使命を背負ってきた故に、魔族や吸血鬼といった「魔」に関連する者達への憎悪差別主義に凝り固まっており、人に害をもたらそうとしない魔族やその血を引く者達に対しても一方的な暴力による迫害や抹殺を行う事に疑問を抱かない思考停止状態に陥っている者も多い。
更に現在の勇者の一族の上層部には、かつて「魔」の脅威から人類の脅威を守るという崇高な使命感は欠片も無く、むしろ本来の使命を利用する形で得られる絶大な権力の保持に躍起になっている有様となっており、その為ならば自分達の庇護下にある一部の勇者達に犠牲を強いる事も辞さず、刃更もまた「一族からの追放」という形で、犠牲を強いられた勇者である。
しかし、一方ではその権力を半永久的な物としたいが為に、魔族等との戦いも永続させようとしており、それ故に魔族等の「殲滅」までは望んでいない。
勇者の一族の上層部の中でも、過去に東城迅という優れた勇者を輩出させた日本の『勇者の里』と、その存在によって自分達の権限が半ば形骸化してしまったバチカンの間では、一族全体の主導権を巡って醜い権力闘争が繰り返されており、その癖、他の勇者の一族に知れ渡れば自分達の立場が失い兼ねない状態になると、互いに結託する形で情報操作等によって真実を隠蔽しようとする始末となっている。