古代イスラエル
こだいいすらえる
イスラエル民族史のはじまりは多くの場合「アブラハムの宗教」の祖であるアブラハムに求められる。
彼はまだアブラムと呼ばれていた頃(神により群衆・多数の者の父を意味するアブラハムの名を授けられ改名に至る)カルデアのウルで異母妹とされるサラと婚姻を交わし、家族と家人、家畜の群れを連れて新天地カナンへと移住した。
神がアブラハムの信仰を試すため、嫡子イサクを焼き尽くすささげものとして供えるよう勧め、
アブラハムの信仰の確かさを知った後これを止めた伝承は有名である。
アブラムが85歳、妻のサライは75歳になっていた頃
神は「ナイルからユーフラテスに至るまでの土地」を約束の地として与えたとされる。
イサクの子、ヤコブが兄エサウとの確執を解消しようと赴いた際、何者かがヤコブに襲い掛かり夜明けまで格闘し、その後神の勝者或いは神に勝つものを意味するイスラエルの名を授けられ、これが民族の名の由来となる。襲撃者は神の使い(天使)であった。
ヤコブの子のヨセフの時代にイスラエル人はエジプトに移住し、当初はファラオの庇護をうけたが、数が増えすぎた故に迫害を受け、奴隷身分に落とされる。
レビ族のアムラムの家に生まれたモーセは、酷使される同胞たちを見かねて役人の一人を殺害してしまい、アラビアへ逃亡を余儀なくされるが、ある日燃える柴の中から神の声を聴き
同胞であるイスラエル人を「乳と蜜の溢れる約束の地」カナンへ導く指名を受け取ったとされる。
エジプトへ戻った後、兄アロンと共にイスラエル人のエジプト退去をファラオに直訴するが
聞き入れられず、神は十の災いをエジプトに降り注がせた。
その際イスラエル人の子らには災いが降り注がぬよう印として戸口に羊の血を塗らせ、災いはモーセの
同胞に降り注がなかった(過ぎ越された)。これが過越の祭りの起源とされる。
エジプトからの脱出が叶った後も民族の苦難は続き、荒れ野での幾年もの放浪が続く。