概要
元々は天平神護元年(765年)に定められた令外官の一つ、近衛府の「右近衛府」の略から取られた。対して左近(左近衛府)というものもある。
また、紫宸殿南階下の西方に植えられた橘のこと指す言葉でもある。
右近衛府の武官の列する側にあたることからいう。
対義語は左近の桜。
古風かつ趣がある名前であるので、人物の名前でも使われる。
創作キャラでは左近と対になるキャラクターとして作られることが多い。
一覧
1.右近(歌人)
生没年未詳。平安時代中期の歌人。藤原季縄の妹、または一説に娘。醍醐天皇の中宮・藤原穏子につかえる。主に村上朝歌壇で活躍。男に忘れられる身を嘆く歌を残す。天徳4年(960)の内裏歌合わせなどに参加。歌は「大和物語」「拾遺和歌集」などにみえる。「後撰和歌集」以下の勅撰集に九首入集。また百人一首にも歌が選ばれている。
代表歌・百人一首
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな
2.右近(能)
謡曲。脇能物。観世・宝生流。世阿弥作、観世小次郎信光加筆。鹿島の神職が、京都右近の馬場で桜葉明神と会い、共に花を賞する。
3.右近(人形草紙あやつり左近)
左近の相棒で、もう一人の主人公。明治初期に人形師・三代目小泉卯之助によって作られた傑作童人形。
弟の左近と肉体を共有した異形の忍。