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概要

秋田書店web漫画サイト「Souffle」で連載されている漫画作品。ジャードゥーガルはペルシア語で「魔女」の意。

作者はトマトスープ

13世紀のモンゴル帝国を舞台にした、魔女と呼ばれ畏れられた女、ファーティマ・ハトゥン(“ハトゥン”はモンゴル帝国における貴人の妻の称。作中表記は“カトゥン”)の栄達と復讐の物語を描く。作者が構想に10年をかけ、満を持して世に出した作品とされる。

主人公ファーティマを始め、作中のキャラクターは実在した人物たちをモデルとしている。

単行本はボニータコミックスから発売されている。

2024年2月時点で既刊3巻。

同年8月16日に第4巻が発売された。

あらすじ

西暦1213年、イラン東部のトゥース市で、シタラという少女が学者一家の預かり奴隷となる。

彼女を買ったのはその家の学者の寡婦であったファーティマという女性。シタラを売った奴隷商は賢婦人のファーティマの元でシタラを学ばせ、賢い娘に仕立てればより高値で取引される奴隷になり得ると踏んだのである。

 親元に帰りたがっていたシタラは、自分の値を釣り上げるための勉強に反発していたが、『知恵や知識を持っていれば生きていく上で何をすれば良いか予め判断出来る』と諭したファーティマの息子ムハンマドの導きもあり、勉学に励み、8年後には聡明な女性に成長する。ファーティマ家の奴隷仲間たちとも親しくなり、ファーティマ家はシタラの新たな居場所となりつつあった。

しかしそれから間も無い1221年、市にモンゴル帝国の軍が侵攻。ファーティマとシタラは地下室に身を潜め、敵をやり過ごそうとしたものの、トゥース攻めの主将であるチンギス・ハンの第四皇子トルイに発見されてしまう。

彼の妃の所望する貴重な蔵書、家の財産であるエウクレイデスの『原論』をファーティマたちから奪おうとしたトルイに、シタラが刃向かい殺されそうになるが、ファーティマが凶刃からシタラを庇い命を落としてしまった。

シタラは捕虜として身柄を拘束され、残った仲間たちも過酷なモンゴルへの旅路で次々と死亡。遂にシタラは天涯孤独となってしまった。

シタラは自身から全てを奪ったモンゴルへの復讐を果たすため、名を嘗ての主人と同じファーティマと改め、志を同じくするオゴタイ・カアンの第六后・ドレゲネと手を組み、モンゴルの後宮に仕えることになる。

登場キャラクター

ペルシア人の奴隷の少女。元は母親と暮らしていたようだが何らかの事情により売られ、ファーティマ家に引き取られた。最初は勉強を嫌がっていたものの、ムハンマドの言葉で考えを改め勉学に勤しんだ結果、優れた知性を持つ女性に成長する。

モンゴルのペルシア侵攻に遭遇し、ファーティマたちをモンゴル軍に殺され、復讐を誓う。

トゥースの街の人々

  • ファーティマ

シタラを雇った家の未亡人。家の奴隷たちからは「奥様」と呼ばれ敬われている。聡明で心優しい女性。亡くなった夫は学者だった。

シタラを実の娘同然に愛し育て、彼女に様々な学問を教えた恩人。トゥースにモンゴル軍が攻め込んだ際、シタラを庇って殺されてしまった。

  • ムハンマド

ファーティマの息子。

シタラに勉強の重要性を盤を使う形で解り易く説き、彼女に生きる道を示した聡明な少年。

まだ若年の身ながら向学心に燃え、更なる知恵を求めてニーシャプールに旅立つ。旅立ってから届いた書簡によれば当地で研鑽に励んでいたようだが、ペルシア侵攻でトゥースに先立ちモンゴル軍の襲撃を受けたらしく、消息不明となっている。

ファーティマはムハンマドにシタラを妻合わせようとしていたようだが、第一話の時点でシタラとは二度と逢えないことが示唆されている。

経歴を見るに彼は後に“人類の師”とも呼ばれた偉大な学者・ナスィールッディーン・トゥースィーの青年期であると考えられる。

  • 伯父様

ファーティマ夫人の兄。教師の免許を持っている。幼少期のシタラに手を焼いていたが、彼女が年月を経て教養ある女性に成長すると感心していた。

トゥース侵攻に伴いズムッルドたちと山へ逃れたものの、敵軍に捕らわれ彼女たちと引き離された末に殺害された。

  • ズムッルド

シタラの奴隷仲間の女性。西の国の出身。弟のミハイルがトゥースの民軍にいる。アニースや伯父たちと山に逃れた所を捕えられ、捕虜となった弟が目の前で射殺される様を見せられた。それ以降生きる気力を失くしたズムッルドは病に臥し、シタラとアニースに看取られ息を引き取った。名前は『千夜一夜物語』の女奴隷に由来し、『エメラルド』を意味する。

  • アニース

シタラの奴隷仲間の女性。「奴隷は所詮“個人”ではなく“所有物”であり、自分で物事は決められない。あまり期待しない方がいい」という考えの持ち主だが、トゥース侵攻でファーティマを死なせた事を悔やみ続けるシタラに、「自分で物事を決めない分責任を負う必要も無い」と諭し、ムハンマドの生存を信じるよう励ました。しかしニーシャプール陥落の報を聞いて絶望し、自ら兵士に襲いかかる形で斬られ、自害して果てた。名前の由来はズムッルドと同じく『千夜一夜物語』の女奴隷で、『優しき友』を意味する。

チンギス・カンとその兄弟・息子たち

モンゴル帝国の初代皇帝。作中では一貫して顔見せせず大物のイメージを醸し出している。1227年に崩御。

  • ジュチ

第一皇子。チンギスの子たちの中では一番早くに亡くなり、後継者争いから脱落する。

  • チャガタイ

第二皇子。真面目でやや不器用な男。オゴタイとは昔から仲が良い。

  • オゴタイ

第三皇子。穏やかで頭の良い、兄弟のバランサー。父チンギスの遺命に従い帝位を継ぐと、帝国内の物流を円滑化させ、遊牧民族としては初の試みとなる都市国家建設など画期的な施策を行う。

  • トルイ

第四皇子。末子相続の習慣があるので、“炉の主(オッチギン)”と呼ばれる実家の後継者の予定。

類稀な戦の才を持つ。シタラの故郷トゥースを攻め落とし、ファーティマ夫人を殺した張本人。

敵には容赦ないが家族思いで、兄オゴタイやソルコクタニとの仲も良かった。

オゴタイが服毒させられ生死を彷徨った際、巫者(カム)の指示に従って、オゴタイを苦しめているという「悪霊を封じた水」を飲み、程無くして息絶える。余りにタイミングが良過ぎる死に周囲では暗殺疑惑も浮上した。

  • ボルテ

チンギス・カンの正妃。四皇子の母親。

  • テムゲ

チンギス・カンの弟。史実では彼もまたトルイと同じ末弟であり“オッチギン”を冠する。

皇子やテムゲの家族

  • ドレゲネ

オゴタイの第六妃。庶長子グユクの生母。過去の不幸故かややメンタルが不安定で、周囲からは疎まれている。

元はアルタイ山脈の麓に暮らす遊牧民ナイマン族の出身で、対モンゴル同盟の証としてメルキト族に嫁いだ。モンゴル軍に夫らを殺され、仲の良かった義理の娘クランを奪われた過去をもつ。そのためモンゴルを怨んでおり、シタラの協力者となる。

  • グユク

オゴタイとドレゲネの息子。容姿は父オゴタイによく似ている。精神面は母ドレゲネに似てナイーブで、側近のカダクにしか気を許していない。

  • ソルコクタニ・ベキ

トルイの第一妃、正妃。未来の皇后として知識を得ることが務めだと考え、夫に書物の蒐集を頼んでいる。

しかし、それがファーティマが命を落とす原因の1つになったため、シタラからは怒りを向けられている。

ありふれた貴人らしく下々の機微に疎い。夫を愛しており、トルイが亡くなった後はすっかり意気消沈してしまう。

キリスト教ネストリウス派の教徒。

  • クビライ
  • フレグ

トルイとソルコクタニの息子たち。クビライは後の元寇日本に攻勢を掛けるクビライ・カアンその人である。

  • ボラクチン

オゴタイの第一妃。聡明な女性。長らく体調不良に悩まされている。

元々はチンギスの妻だったが、レヴィレート婚という制度によりオゴタイの妻となった。

高齢故かオゴタイとの間に息子はいない。

  • キルギスタニ

オゴタイの第三妃。子供並みに小柄。

  • コデン

キルギスタニの息子。子供っぽい母に難儀している様子。

  • モゲ

オゴタイの第四妃。ボラクチンと同じく元はチンギスの妃だったがレヴィレート婚によりオゴタイの妻となった。ボラクチンとは昔からの付き合いなので仲が良い。

周囲に比べるとやや頭が鈍い。

  • オタイ

テムゲの息子。父親にいつも名前を間違えられている。

モンゴル帝国の人々

  • シラ

サマルカンド人の少年。モンゴル軍の徴発兵。

軍に上手く取り入って通訳を務め、前線から逃れる。

トルイとソルコクタニに仕えている。

  • チンカイ

ウイグル人の男性。昔は行商をしていた。現在はモンゴル軍の書記官を務める。

  • カダク

グユクに仕える男。現在はドレゲネの側にいる。

メルキト族

  • ダイル・ウスン

メルキト族、ウハズ氏族長。ドレゲネの前の夫。彼女とは親子ほども歳が離れていたがドレゲネとの結婚が嬉しかったと語り、お守りのジェダ石を形見に残した。

モンゴル軍と戦い命を落とす。

  • クラン

ダイルの娘。ドレゲネの義娘。

ウハズ族の助命と引き換えに、チンギス・カンの妻となる。

  • クルトガン

ウドイト氏族長の末子。死を恐れる臆病な所があったが、ダイルに従い抗戦の道を選ぶ。後にモンゴルに敗れ殺された。

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  • 至福

    『天幕のジャードゥーガル』を読んで、勢いで書きました。オゴタイは寛大な君主として意識して振舞っている面もあるけど、ドレゲネのことが好きなのかな、と思いました。オゴタイ視点での、ドレゲネへの気持ちを妄想しました。三人称で書いていますがほぼ独白です。
  • ひといきに

     3巻第18幕と第19幕の間、オゴタイとドレゲネ(とボラクチン)がどういうやり取りをしていたのか想像しました。オゴタイは聡明なので、ドレゲネの行動やボラクチンの企みに全く気がつかなかったとも思えないです。  オゴタイが戦場で死にかけたというのは、元朝秘史に戦場で首を撃たれて怪我をしたという話があり、借用しました。天ジャでの設定はわかりませんが……。  性行為そのものの描写はないためRはつけませんが、暗示させる描写はあるため、苦手な方は気を付けてください。  1ページ目はオゴタイ視点、2ページ目はドレゲネ視点、3ページ目はオゴタイ視点です。
  • 「至福」https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=22446825 と対の作品ですが単体で読んで頂いても構いません。至福を書いている時に、同じ出来事でもオゴタイの視点から見た時とドレゲネの視点から見た時では全く違うだろう、と思い、こちらを書きました。ドレゲネ→オゴタイへの気持ちです。こちらも三人称で書いていますが、ほぼ独白です。 ※注意事項  ・ドレゲネ→オゴタイへの感情は、全体的に相当冷たいです。若干揺らいでる描写はあります。  ・途中まで暗いです。ドレゲネが自分の身体に起きたことを呪っている描写あり。

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