小野不由美の小説『十二国記』における「失道」の概要
天の摂理によって選ばれた王が、いつしか堕落して民に重い税を課したり、王に諫言をする麒麟や官吏を遠ざけ、佞臣の甘言を入れて悪政を施すことにより起きる現象。
これらの現象により、天変地異が起こり、妖魔が出没、最後には「王と一心同体」と称される麒麟が「失道の病」にかかり、国が傾いていく。小説ではどのような症状が出るか明らかにされてないが、アニメでは黒い斑点が現れ、やつれていった。
これらの現象を止めるには王が行いを悔い改めるか、みずから王位を降りて、麒麟が新たな王を選ぶか(禅譲)の二者択一しか残されていない。
しかし、王が行いを改めたからと言って国の傾きを止められるかと言えばそうでもなく、王が禅譲したからと言ってすぐに国の乱れが止まるわけでもない。
(王が国を建て直すことももちろんあるが)新たな王が国政の乱れを正すまで、国の傾きも止まらないのである。
語源
「失道寡助」という四字熟語からきている。
四字熟語 | 失道寡助(しつどうかじょ) |
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意味 | 道理にかなった正しい行いをしなければ、誰からの助けも受けることはないということ。 |
「道」は仁と義の道のこと。 | |
「道を失えば助け寡なし」とも読む。 | |
『孟子』「公孫丑・下」 |