寺岡薫
てらおかかおる
パワプロクンポケット3
主人公たちネオプロペラ団の秘密基地近くの帝王大学(パワプロシリーズでもお馴染みの大学)で研究をする、実験大好き女子学生。幼い頃柱時計を爆弾に改造したり、高校生の時点で教師だった加藤理香が足元にも及ばなかった正真正銘の天才科学者である。ただあまりにも天才だったため子供の頃は周囲と馴染めなかったらしい。
「科学者の良心」として、自らが開発したものには自爆装置を必ず設置している。
青いボサボサの髪にメガネに研究服という出で立ちで、薫という名前から一部のプレイヤーには男性と勘違いされることもあった。
大学の出資者であるプロペラ団の研究を手伝っていたが、それを知った主人公はプロペラ団への協力をやめるように言う。その際薫が出した交換条件は、「サイボーグである主人公の体を調べさせてもらう」ことだった。これがきっかけで二人は友人関係となる。
ゲーム中において、主人公の体内に内蔵された部品の寿命が来てしまい後一年しか生きられないことを知った主人公は薫に助けを求め、部品の開発を要請する。薫は快諾し、何回もの失敗を重ねバッテリーの開発に成功するのだった。(何度も失敗しては研究資金を請求されるためマイナスイベントと勘違いする人もいるが、普通にプレイする場合よりかなり安く済む)
そんな中主人公に好意を抱くようになった薫は、主人公が遭遇した事故で自分の研究に新しい指針が立ったことをきっかけに勇気を振り絞って電話番号を聞き出し、やがて二人は惹かれあっていく。
彼女の好きな動物として蜘蛛がおり、これは、未開の土地に最初に流れ着き、結果的に自らを犠牲にして土になることで他の動物や植物の発展を手助けする蜘蛛に自らが憧れる科学者の姿を重ねているから。このエピソードは後の作品でも重要なキーワードとなる。
そんなある日、大学で爆発事故が起こる。この事故は薫が設置した自爆装置が作動したものであり、実験が失敗したためであった。バッドエンドでは薫は爆発に巻き込まれ死亡し、主人公は加藤から彼女が危険な実験を続けていた理由を知ることになる。
薫は中学生の時に放射線被曝し、脳腫瘍に体を蝕まれ、三年目の時点で残り半年の命だった。
そのため、自らの命を延ばすために超小型動力炉の研究を続けていたのである。
死の翌年、動力炉の論文は学会で大きく評価され、彼女を犠牲に科学は前進していくことになる。その最期は、正に彼女が望んだ「蜘蛛」そのものだった。
グッドエンドでは事故に遭うものの奇跡的に助かり、動力炉完成のためにカナダへ渡る。その後帰国した薫は、主人公と無事結ばれることになる。
パワプロクンポケット8
5作ぶりにまさかの再登場を果たし、多くのファンを驚かせた。この時は6で初登場した和桐製作所に勤務しており、ゴールデン銀座のジャンクショップで違法パーツを購入していたところを主人公に見つかり後で職務質問されたことがきっかけで知り合う(本人に違法の自覚はなく、注意だけで解放された)。
その後、寺岡の調査を主人公から引き継いだ白瀬は、寺岡と接触するうちに彼女に情が移ってしまい、やがて無二の親友となる。
その後のイベントで3の正史の一部が明らかになり、薫は「主人公と知り合い好意を持ったが彼には他の女性がいたため身を引いた」ということになっていることが判明(11の描写から「他の女性」は唐沢ヒナコである可能性が高い)。
実は薫の病魔はこの時点で既に回復不可能なほど進行しており、全身や脳の一部までサイボーグ化することでかろうじて生き延びていた。体をサイボーグ化してもその部分にやがて異常細胞が発生してしまうためそのために体を置き換えていたことになる。そのせいで薫は自らが人間であることにさえ疑いも持ってしまい、ただ盲目的に研究を続けていたが、芙喜子の言葉により一抹の救いを得る。
この後、3でも少し出てきた超小型動力炉を開発することに成功し、和桐の名を取ってWG電池(後の作品ではワギリバッテリーと呼ばれる)と名付ける。本当はつけたい名前があったのだが、脳の大半がコンピュータになってしまった彼女にその名前を思い出すことはできなかった。
本作を持って彼女の表サクセスの出番は終わるが、彼女自身の存在はこの時点で誰にも想像がつかないほど大きなものであり、後の作品でも多大な影響を与え続けることになる。
パワプロクンポケット10
後の作品のイベントから、この時代に薫は死亡していることが明らかになるが、その詳細な状況については未だ未解明な部分が多い。
薫が開発したワギリバッテリーは様々なものに転用され、やがて戦争の道具として利用されるようになる。これをめぐり世界の二大財閥であるオオガミとジャジメントは戦争状態になっており、世界は影で大きく混乱している。
また神条紫杏のルートにおいて、「浜野朱里が彼女を殺害したにもかかわらず、海外のインタビューに本人が回答していたことが確認された」という旨のイベントがある。ただし後の設定と多少の矛盾が生じるため、紫杏ルート独自の展開かもしれない。
パワプロクンポケット11
世界の戦争を影で操る黒幕「6人組」のリーダーである「ミスターK」と6で登場した時間犯罪者「サブ」ことサブロー博士は、未来を変えるために過去へとやってきた未来人であるが、彼らが目指した未来改変の鍵となった人物こそが寺岡薫であったことが明らかになる。
パワプロクンポケット1の開始以前、未来人たちは唐沢博士に科学の時間の針を少しでも進めエネルギー危機で滅亡(カタストロフ)寸前の未来を救うため彼にサイボーグ技術を渡す。これを用いて彼が主人公を蘇らせたことが結果的に彼を研究した薫にサイボーグ技術が渡ること、それによる彼女の延命を引き起こし、世界にワギリバッテリーが誕生する原因となった。
これにより未来は予想外の狂いを起こし、ワギリバッテリーは「未来に存在してはならないもの」とみなしたサブロー博士は、彼なりの方法で未来を救おうとする(パワポケ6参照)。
パワポケの「裏サクセス」はスターシステムを採用しており、表の世界とは全く異なる人物として登場するようになっている。その中で、彼女はパワポケ7、8、9で登場している。
寺岡子爵(7裏)
大正時代、帝都で暗躍する秘密組織「我威亜党」の幹部として登場。他の幹部にも共通するが爵位は智林公爵が勝手に名付けたもの。
まだ女性が大学にさえ入れない時代、優れた科学者だった薫は自らの実力を認めてくれた我威亜党に入り、鉄人の研究に明け暮れる。その過程で本来敵である主人公に協力を頼むこともある。
相変わらず自らの発明品(改良を施した多力王も含む)には自爆装置をつけているが、暴走した鉄人には設置を忘れていたことがわかるなど天然な一面もある。
後に地震発生装置(頑陀亜蕗菩ZZ)を皇帝亀田と協力して作り上げるが、その成果は悪用され帝都大震災(現実の歴史で言う関東大震災に該当する)を引き起こしてしまう。自責の念に駆られた寺岡は全てが終わった後世界中で平和のための様々な研究をし、後に彼女の弟子を名乗る人物が多数現れることになる。