概要
七福神の一。道教における三人の神仙「福禄寿」のうち、寿星(カノープス星)の神の日本における名称が「寿老人」である。
中国においてはカノープス星は「老人星」と呼ばれ、その神は「南極老人」と呼ばれる。
七福神のメンバーが固定されるまでには長い時間がかかっており、その間においては南極老人が七福神メンバーとされることもあった。
寿星の神「寿仙」は健康長寿を司る神であり、寿老人はその神徳をそのまま引き継いでいる。
『東洋画題綜覧』によると寿老人の巻物には寿命が記されており、連れて居る鹿は玄鹿といって千五百年を生きているという。
長い頭、瓢箪や巻物を括りつけた杖を持つ老翁の姿で描かれるが、これと同じ描写は福禄寿の絵像でもなされる。鹿や鶴を連れて居るのも福禄寿と共通。
日本で一人の神と認識された福禄寿の図像表現自体が、中国の寿仙を元にしたものであるため致し方ない話である。
七福神として一セットで七柱ぶん像や絵がある場合や同じ絵で描写される場合は描き分けはされるが、他の単尊としての像や絵の場合、タイトルや解説なしでは福禄寿と区別できないことも多い。
日本の寿老人は中国の南極老人(南極仙翁)との同一とされることもあり、『風俗記』三巻の「老人星伝」にある、宋の元祐年間に都にこの星の化身である老人が現れた記事が寿老人のそれとして語られることもある。が、寿星(南極老人)の出現譚のエピソードが引用される、という事情は福禄寿も共通(こちらは江戸後期の『燕居雑話』で参照される、明代に陳晦伯がまとめた『天中記』のエピソードで時代は嘉祐年中)。
本当にキャラが被っている。なぜ七福神の候補に南極老人がいた(『日本七福神伝』)のにそちらにならなかったのか。それでいてなぜ最終的に福禄寿と統合される事もなく、他の人気のある印象的な神仏(『日本七福神伝』では空いた枠に吉祥天が入っている)を差し置いてメンバーとして固定されたのか。謎の多い神と言える。
寿老人をモチーフにしたキャラクター
- 寿老人(有頂天家族):有頂天家族の登場人物。作中における京都の政財学界有力者が集う秘密結社「金曜倶楽部」のリーダー。金曜倶楽部で最も恐ろしい人物だと噂される。メンバーは互いに七福神の名で呼び合う慣習があり、寿老人の名で呼ばれているのがこの人。