「あ、あの、環さん!
ほかにもなんでん、ワシにできることがあれば────」
CV:染谷将太
概要
岩戸鈴芽の地元にある漁業協同組合に勤めている男性で、彼女の叔母である岩戸環の同僚にあたる。
日に焼けた大柄な体と野太い声色が特徴的な髭面の男性で、裏表のない純粋で清々しい性格の持ち主でもある。
漁業協同組合の同じオフィスで働く環に対して好意を抱く稔は、彼女に対して何年も前から見え見えの片想いをしているものの、彼女がそれに気づかないためにことごとく空回りしている。それでもめげずに彼女へのアプローチを続ける稔は、その素直さや一生懸命な人柄を周りの人たちから買われ、ささやかな応援の気持ちを寄せられるようになっている。
人物
容姿
太めの黒縁眼鏡と口元に生えた無精髭が印象的な、素朴な雰囲気を漂わせる大柄な男性。彼の日に焼けた小麦色の肌やがっしりとした体格からは、港町で働く「海の男」というような暮らしぶりがにじみ出ている。(『すずめの戸締まり』映画公式パンフレット、26ページ)
漁港の仕事にあたる際にはキャップとTシャツ、長靴というシンプルな格好をしており、対照的にオフィスでの事務作業においては白シャツを上から羽織り、胸元にネームカードを下げている。
性格
表情豊かで裏表のない、純朴(じゅんぼく)さが持ち味の好人物。隠しごとができずに自身の想いがすぐ表に出てしまったり、誰かのためを思った行動が空回りするようなことがしばしばあるものの、それらが逆に彼の人柄の良さを際立たせている。(『すずめの戸締まり』映画公式パンフレット、11ページ)
作中においても、落ち込んでいる環を励ますためにその場を明るくしようと努めたり、環と鈴芽を危険な男から遠ざけるために帰りの高速バスの席を手配しようとするなど、誰かのために一生懸命になる姿がたびたび登場している。
生活環境
宮崎県の港町にある漁業協同組合で働いており、漁船からの荷揚げの手伝いや軽トラックの運転などを主に行なっている。(小説版、50ページ、278ページ)
また、組合のオフィスには自身のワークスペースもあり、組合のほかの男性職員たちから「稔ー、飲み会やぞお」といった気兼ねない声かけをされている。(小説版、93ページ)
主要キャラクターとの関係
岩戸環
地元の漁業協同組合で働いている同僚。
稔は環のことを「環さん」と呼んでおり、対する環は「稔くん」と呼んでいる。
稔は美人である環に対して見え見えの片想いを抱いており、何年も前から好意からくるアプローチを繰り返しているものの、環がそれに一向に気づかないためにことごとく空回りしている(小説版、50ページ、125〜127ページ)。時には環に向ける好意が行きすぎて彼女から強くとがめられることもあるものの、稔はそれらに気を落とすことなく、逆に「あんげな美人に睨まれるとゾクゾクするくらい怖いっちゃわ」と嬉しさを覚えている。(小説版、128ページ)
物語のなかにおいても、鈴芽を追って上京することを決めた環のために彼女の仕事(総務部長)を2〜3日のあいだ引き継いだり、鈴芽と合流した彼女から近況を聞いた際に自身にできる範囲での助力を申し出たりするなど、彼女への好意に基づいた力添えを積極的かつ継続的に行う姿を見せている。
岩戸鈴芽
環とともに暮らしている彼女の姪。
稔は鈴芽のことを「鈴芽ちゃん」と呼んでおり、対する鈴芽は「稔さん」と呼んでいる。
環の姪である鈴芽とは互いに面識のある間柄であり、仕事中に彼女の姿を見かけた際には大きく手を振りながら「どんげしたとーっ?」と声をかけている。(小説版、50〜51ページ、92ページ)
また、鈴芽がそのまま家を離れて旅をしていることを知った際には、彼女の行動を自身の若かりしころの境遇に重ねて「彼女はひょっとして町や親元を窮屈に感じているのではないか」と思い至り、その自論のもとに環のことを元気づけようとしている。(小説版、125ページ)
関連タグ
岩戸鈴芽 - 九州の静かな町に暮らしている女子高生。環の姪にあたる。
岩戸環 - 稔とともに働いている漁業協同組合の同僚。
外部リンク
参考文献
- 新海誠『小説 すずめの戸締まり』 角川文庫 2022年8月24日発行 ISBN 978-4-04-112679-0
- パンフレット 映画『すずめの戸締まり』 東宝 2022年11月11日発行