概要
新田丸は、日本郵船が保有した欧州航路の貨客船。新田丸型貨客船の第1船。戦争に翻弄された悲劇の豪華客船として知られる。
1939年進水、1940年竣工。新田丸型は日本が戦前最後に建造した外航客船であり、遊泳プールやダンスホールもあった。熱帯航路を通ることを想定して、一等船室は世界で初めて冷房を完備していた。
新田丸は、太平洋戦争前夜に欧州航路の客船として贅を尽くして建造されたが、第二次世界大戦勃発のためサンフランシスコ航路に就航。それも対米戦勃発のためわずか1年ほどで日本海軍に徴傭され、陸軍兵や連合国軍捕虜の輸送任務を行う。その後船体上部を剥ぎ取られて空母「冲鷹」に改装され、南方への航空機の運搬を行った。1943年12月、米潜水艦セイルフィッシュに撃沈された。
妹船の八幡丸・春日丸も同様に空母に改装され、米潜水艦の魚雷により沈没している。
なお、新田丸型を上回る豪華客船となる予定だった橿原丸型貨客船は建造中に飛鷹型空母に変更されてしまい、結果として新田丸と八幡丸が戦前日本最後の外航客船となった。