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飛鳥Ⅱ

あすかつー

日本郵船のグループ会社が運航するクルーズ客船。同じく日本郵船傘下の企業が運航していた「クリスタル・ハーモニー」を改装したものである。ここでは本船と入れ替わりで売却された「飛鳥」についても説明する。
目次 [非表示]

概要

日本郵船の客船オペレーション部門企業・郵船クルーズが所有し運航するクルーズ客船。日本で建造され海外のクルーズ会社で運航されていた「クリスタル・ハーモニー」を改装したもの。


総トン数50,142トン・全長241メートル・全幅26.7メートルは、日本の客船史上最大で、かの幻の客船・橿原丸出雲丸を上回る。乗客定員は872人。船籍港は郵船クルーズ本社のお膝元でもある横浜港横浜市)。


船歴

「クリスタル・ハーモニー」時代

アメリカ合衆国ロサンゼルスに本社を置くクルーズ会社「クリスタル・クルーズ」の第1船として、三菱重工業長崎造船所1989年9月30日進水。長崎造船所としては約50年ぶりの客船建造となったためほぼノウハウなしの状態からの悪戦苦闘の末誕生したという。就航から間もない1990年10月、カリブ海で燃料漏れが原因で火災を起こし、16時間にわたって航行不能となるトラブルを起こしている。


なお、クリスタル・クルーズは1988年の設立から2015年までは日本郵船の関連会社だった(現在はマレーシアのゲンティン社の関連企業)。1995年には「クリスタル・シンフォニー」をフィンランドで、2003年には「クリスタル・セレニティ」をフランスで建造し3隻運航体制としたが、キャパシティを持て余し気味になっていた。


飛鳥Ⅱ誕生

1991年に就航した「飛鳥」で事実上客船事業に復帰した日本郵船であったが、21世紀になってから供給が需要に追いつかない状態に陥っていた。第二船の導入を考えたが、「そこまで市場の広がりがない」理由であきらめ、飛鳥より大きな客船を建造しようとしたものの、今度は海運業界の好況により船の価格が高止まりしていたうえ、造船所の空きがなく、お客様を待たせる間に需要を取り逃がしてしまうという壁に当たってしまった。

その結果、集客が伸び悩んでいたクリスタル・クルーズ社の「クリスタル・ハーモニー」を購入することになった。


「クリスタル・ハーモニー」は日本人向けの客船に欠かせない大浴場を設置、一斉に食事に来るという日本人客の特性により、「ネプチューンプール」を廃止し「リドカフェ」と連なる形でリドガーデンを新設、子供のためのプレイルームであった「ファンタジア」を和室「游仙」にするなどの改装を実施した上で「飛鳥Ⅱ」として2006年3月17日より就航した。


なお、この飛鳥Ⅱ就航に伴い、2隻体制にするほどの需要がないとして「飛鳥」はドイツの船会社・フェニックス・ライゼンに売却、「アマデア」として運航している。


リニューアル・新造船計画

2020年1月からシンガポールのセブンコープ・マリンで「飛鳥Ⅱ」としての就航以来初の大規模リニューアルを行った。日本の客船がシンガポールでリニューアルを行う初のケースとなる。2020年の硫黄酸化物(SOx)排出規制に対応した脱硫装置を設置、(テニスコート「ウィンブルドンコート」をつぶした上で)露天風呂の設置、レストランやラウンジの改装、LEDディスプレイ設置、和室付きの部屋を2部屋設定、(有料ながら)全ての客室でのWi-Fiサービス開始などを施し、2030年まで運航する計画である。


リニューアル後の2020年6月、横浜港に入港中に資材倉庫で火災を起こすというトラブルもあったものの、折からのコロナ禍にあって、集団感染(クラスター)を起こしたダイヤモンド・プリンセスの教訓に学び徹底的な感染対策を講じ、2023年まで一度もクラスターを発生させなかった。2020年9月には、それまでの晴海ふ頭に代わる新たな東京の海の玄関口・東京国際クルーズターミナルに初入港した。


一方で郵船クルーズは2019年5月1日に新造船プロジェクトチームを設置。2021年中に新造船に関する提言をまとめ、取締役会に提出するなど、後継船に向けた動きも既に始まっている。

日本海事新聞 電子版


先代船・飛鳥(アマデア)

三菱重工業長崎造船所で建造され1991年10月28日に竣工。船名は飛鳥時代に由来し、当時のレジャークルーズは黎明期にあったことから、新しい洋上文化の創造を目指す意味が込められた。その狙い通り、バブル崩壊後の世相においても乗船客を伸ばし、日本人の間にクルーズ客船を一般化させた。


総トン数28,717トンと上記の橿原丸とほぼ同じ。「飛鳥Ⅱ」よりは大分小柄であるが、それでも当時、日本船籍で最大の客船であった。小型の船体は寄港地の選択地が増えるというメリットもあり、屋久島は「飛鳥」時代には人気の寄港地であったが、飛鳥Ⅱになってからは寄港できなくなってしまった。


余談

クルーズ客船といえば高齢者の乗船が多いイメージだが、夏休みには親子連れ向けに「ファミリークルーズ」として短期のクルーズを企画している。またファミリークルーズのみ子ども料金が設定されている。


外国の客船を日本の船会社が購入し、日本の客船として運航する例は、これまでにもあった。東洋汽船が、1916年にアメリカの船会社から「ペルシャ」、「コレア」、「サイベリア」を購入、それぞれ「波斯(これで「ペルシャ」と読む)丸」、「これあ丸」、「さいべりあ丸」として、「波斯丸」は1925年まで運行した。あとの2隻は、東洋汽船の客船部門が日本郵船に譲られた際にそこに移籍、1934年から1935年にかけて退役した。また、商船三井が、ブラジルの客船「ロサ・ダ・フォンセカ」を1975年に購入、一旦「セブン・シーズ」と名付けた後、「にっぽん丸」に改名、1990年まで運行している。


なお、商船三井は2023年3月にアメリカのクルーズ船「シーボーン・オデッセイ」を購入しており、一部改装を施し、「ミツイ・オーシャン・フジ」と改名した上で2024年12月以降就航させる予定。

た。

外部リンク

郵船クルーズ公式サイト

元の持ち主・クリスタルクルーズの日本公式サイト


関連タグ

日本郵船 豪華客船 クルーズ客船 三菱重工長崎造船所

ぱしふぃっくびいなす にっぽん丸 ...他の日本のクルーズ客船

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