日本郵船
にっぽんゆうせん
1893年設立。商法(当時)による株式会社として日本で初めて設立された会社で、かつ日本における現存最古の株式会社でもある。
明治初期、日本の海運業は九十九商会に端を発する郵便汽船三菱会社(岩崎弥太郎社主)が他社を淘汰して独占的な利益を得ていた。これを快く思わない渋沢栄一・井上馨・品川弥二郎・榎本武揚・三井財閥などが合同で共同運輸会社を設立。伊藤雋吉・海軍少将を社長に迎え、有事の軍事輸送を条件に政府出資を受けるなど半官半民の企業だった。
郵便汽船三菱会社と共同運輸会社は激しい値下げ競争を繰り広げ、共倒れを恐れた政府は協定を結ばせたが失敗。岩崎弥太郎の死後、両社を合併して日本郵船を設立する妥協が成立した。
存続会社は旧共同運輸であり、初代社長も旧共同運輸の森岡昌純が就任した。社旗は二社の大合同と、地球を横断する航跡をあらわす「二引の旗章」となった。
しかし結局、三菱系が徐々に経営の主導権を握り、現在でも三菱グループに属している(三井は新たに「商船三井」を設立した)。とはいえ、設立の経緯から、現在でも社名に「三菱」は冠しておらず、スリーダイヤも使用していない。
創業以来の客船事業からは1960年の氷川丸退役と同時に撤退しており、現在は日本と世界各地を結ぶ貨物船の運航を行っている。
磯野フネ:「サザエさん」の登場人物。かつてイメージキャラクターに起用されたことがある。
飛鷹/隼鷹:旧大日本帝国海軍の航空母艦。日本郵船が発注していた貨客船「出雲丸」・「橿原丸」を建造途中に改装した。
大鷹型:旧大日本帝国海軍の軽空母。日本郵船が保有していた貨客船「新田丸」「八幡丸」「春日丸」を徴用し改装した。
飛鳥Ⅱ:日本郵船の子会社である郵船クルーズが運航する豪華客船。
徳川家:宗家18代目当主徳川恒孝(出身は会津松平家)が欧州大洋州事業部長や副社長を歴任。また加賀前田家当主前田利祐も在籍しており、二人は一時期同じ部署にいた。その部署の上司は「徳川と前田の当主を使うのは太閤以来俺がはじめてだ」とご満悦だったらしい。
ドライカレー:日本郵船で発明されたカレー。
おがさわら丸:日本郵船が50パーセント株式を保有する小笠原海運が運行する貨客船。