概要
前半は天変地異の続く平安末期の混乱した世相を描き、後半では、それを避けて隠棲した日野山(京都市伏見区)の草庵での生活を描く。枕草子・徒然草と並んで日本三大随筆に数えられる。
随筆に分類されているが、文章は慶滋保胤の「池亭記(ちていのき)」などに倣って、事実を叙述することを主とした記(き)の文体である。
前半の世の無常から後半の方丈の庵での閑居の賞賛、末尾の自己否定という一編の構成を持つ。『徒然草』と並んで中世隠遁文学の代表的作品とされる。略本の『方丈記』は草稿本とする説もあるが、唱導のために後人により作られと推測される。