概要
2作目のイジメっ子グループのトップ。取り巻きに渡部みやびと小山田マミがいる。最初は柴村静子をイジメていたが、静子を庇った逢沢優亜をイジメるようになった。
かつてはピアニストである父親と暮らしていたが、母親のせいで父親が出ていってしまったという過去がある(離婚理由は父親の収入が低かったことだが皮肉なことに離婚後父は有名ピアニストになる)。父の影響とある目的(後述)のためピアノ演奏に打ち込んでおり担任教師の若菜加奈子に放課後個人レッスンを受けていた。
綾香が迎えた最期(ネタバレ注意!)
立て続けに取り巻き二人が死んだり行方不明になっても綾香は全く心配する素振りを見せなかった。それでも、優亜へのイジメは止めなかった。だが、この頃には体術でこそ勝っていたとはいえ、逆に優亜からの脅迫反撃を受けるようになっていた。また、優亜からは、いたぶる相手として知らぬ間に興奮されてしまっていた。
ある日ピアノの練習をしていた日にカンナによって行われた告白(加奈子が不倫していた事を綾香がバラしたという嘘と綾香が加奈子を踏み台としか思ってない事等。)により加奈子に襲われ(逃げ場を塞がれた状態で、グランドピアノの天板で両手の指を潰された後ベランダから落とされ両脚骨折)気絶した。その合間に、優亜にはしつこいくらいの言葉責めを受け、さらにスマホまで奪われてしまった。
目が覚めると病院にいたが、母親に突如怒られた(綾香がカンナと対立して西園寺グループの不興を買ったせいで継父の会社が倒産してしまう事と血を付けたピアノがカンナの祖父が寄付したものであったがそれを汚して更に西園寺家を怒らせた事を怒っている。)。
母親が病室を出た後、看護師に雑誌を見せられた。すると、そこには綾香の父親と彼の新しい娘が写っており、父親が新しい娘のピアノの才能に期待している旨が書かれていた。
父親が自分の事をとっくに忘れた事、二度とピアノが弾けなくなった事、この雑誌を持ってきたのが優亜だと知った瞬間、綾香は絶望した。飛び降りたくても飛び降りれない状態になってしまい、優亜の苛烈なる過剰報復を恨みつつ、この先生き地獄が待っている事を知りながらイジメ返しの成功を祝い、壊れていった。イジメ返し計画時の優亜の欲望が叶った形となり、優亜の過去の本性の犠牲になった。奪われたスマホとともに、優亜は綾香から里子いじめをする物的権利を簒奪し、実際に使われてしまったことからも分かるように、本性を表し始めた段階から優亜に遅れをとっていた模様。
自分の本性を思い出した後の優亜からすれば、優亜自身と同系統の人間の一人として、優亜にしてきたイジメの内容すら忘れられるくらいどうでもよい、大したことない存在だったことが窺えるシーンがある。小説を細かく読むと分かるが、優亜が綾香を恐れたのは、綾香に対する恐怖ではなく、過去の自分の非道と妹への償いの感情からであり、綾香を遥かに凌ぐ凶悪な自分の復活を恐れていたのかも知れない。描写をよく読むと、いじめられっ子ならともかく、元々綾香を遥かに凌ぐいじめっ子だった優亜の立場からは、綾香レベルのイジメはどちらかというとまだ余裕で耐えられるレベルだとも読み取れる。綾香の脚が細い、という描写は、見方によっては、優亜の方が脚の筋力、つまり蹴る力がある、と優亜自身が見ているとも読み取れる。他のイジメ返しのボスレベルと比べてもイジメの内容が弱いので、最初から本性剥き出しなら、優亜の実力なら、スクールカーストを奪える位置にあった可能性もある。
余談
この記事を読んで分かる通り、何かしらの哀しき事情がある事が多いイジメっ子が登場する当シリーズの中では珍しく哀しき事情が全くと言っていいほど無いイジメっ子であった(他にいるとすれば、加奈子とマミと次回作の砂羽と美波の両親くらいである)。一応幼少期の両親の離婚により愛していた父親と引き離され、母親が毒親且つ継父と上手くいっていなかったという事情はあるが(このシリーズでは家庭内不和のストレスが原因でいじめに走った者も多い)そのストレスは「ピアノで有名になればまた父が自分を見てくれるかもしれない」とピアノ演奏に打ち込むことで昇華させておりいじめとは無関係である(いじめの最中にピアノコンクール開催を知らされいじめを中止した事もある)。いじめはあくまで「自分より優れている(成績や芸術)者や気に食わない者が許せない」という歪んだ価値観から行っていた。
ただ、裏を返せば、他のいじめっ子のボスたちに比べると大したことをしてないことの裏返しでもある。加奈子と意思疎通ができるくらい共感していて、教師イジメや学校の支配などをしたり自殺者を何人も出したりする他のいじめっ子たちと比較すると、まだマシな方かもしれない。
関連タグ
似たようなキャラクター
石川愛海、安西美波:同じくイジメ返しにおけるイジメっ子のトップ達。だが、哀しき事情が無く最期まで反省しなかった綾香と違い、二人には哀しき事情があったうえ殺される直前に反省をした。その代わり、二人と比べると、いじめの威力も弱めであり、悪とはいえ凶悪とまでは言えず、結果分相応なイジメ返しとはなっている。むしろ、イジメ返しの内容の方が他の二人と異なり、過剰報復かつ精神的に追い詰める凶悪な方法となっている節すらある。
源田カスミ、中村ノエル:神宮寺エマが西園寺カンナを継いで人のイジメ返しをしたイジメのトップたち。