概要
ラハム、ラカムなどとも表記される、旧約聖書の『ヨブ記』で言及される海の怪物。
その名は<嵐><傲慢><凶悪>を意味し、その姿はレヴァイアタンの様な海龍とも全身が水で構成された怪物ともされ、かつて神によって退治されたとされる。
アッカド神話では、ラハブはティアマトが生み出した11匹の怪物たちの1匹に数えられており、ラハブとその兄弟はティアマトの命を受けてマルドゥクと戦い敗れ去り、縄に縛られて洞窟へと封じられた上で、マルドゥクに退治されたとされる。
ユダヤに伝わる伝承では元々ラハブは天使で、天地創造の際に、世界中の水を飲み世界を置く陸を作るよう神に命じられるが、その命に背いた為、殺されて海へと放り込まれたといわれており、それ故にラハブを堕天使の仲間として考えられる事もあり、レヴァイアタンと同一視されることもあるとされる。
尚、海に住むラハブは神に命じられ行方不明となっていた『天使ラジエルの書』を海から探し出して返却したとも。
また一説によるとラハブは<混沌>を意味する怪物で、世界が創造される前から存在しており、神はラハブを二つに裂いて天の水と地の水を作り出し、ラハブは海を支配するようになったともいわれている。
そのほかにもラハブは<原初の海の支配者>と呼ばれエジプトの守護者となったともされるほか、聖書ではエジプトの象徴として語られることが多く、地中海そのものを指しているともいわれており、その詳しい姿は分からないという。