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発光妖精とモスラ

はっこうようせいともすら

「発光妖精とモスラ」とは、1961年公開の、東宝の怪獣映画「モスラ」の原作小説。中村真一郎・福永武彦・堀田善衛の、三人の共著である。
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概要編集

「発光妖精とモスラ」とは、1961年公開の東宝映画「モスラ」の原作小説である。

中村真一郎福永武彦堀田善衛の、三人の著名作家による連作であり、「別冊週刊朝日」昭和36年1月号に掲載された。

なお、近年では「幻想文学」39号(平成五年9月発行)、「怪獣文学大全」などに掲載。

三篇の短編小説を一つに合わせる事で、一つの物語を為すという作りになっている。

ストーリー自体はほぼ同じだが、細部が異なっており、後にそれらもまた設定に組み込まれた。


内容編集

草原に小美人の美しい歌声(中村真一郎)編集

玄洋丸の海難事故が派生。インファント島への調査団が設立される。

調査団は船でインファント島に向かい、上陸。そこで、小美人が彼らの前に現れる。


言語学者、中条真一が主人公で、本編の主人公である新聞記者の福田善一郎は、調査団には参加していない。また、中条はインファント島にて吸血植物に襲われるが、その際に「アイレナ(本作の小美人)」に助けられる(ただし、一人のみ)。


四人の小妖精見世物となる(福永武彦)編集

インファント島調査団は帰国したが、発表が無いため、新聞記者の福田は秘密を暴かんと、単身でインファント島へと乗り込む。

そこで島の原住民から、インファント島に伝わる天地創造の神話を聞かされる。


この世がまだ混沌として定まらなかったころ、永遠の夜を治める男神アジマの体から、昼を治める女神アジゴが誕生し、二柱の神は次々と神羅万象を創造していく、そして創造に疲れた二神が床を共にすると、やがて巨大な卵モスラが誕生する。しかし卵はいつまで経っても孵らなかった。

次に二神の体から男女2人の人間が生まれどんどん増えて島にあふれた。その後、二神から無数の小さな卵が生まれ、卵から幼虫になり、蛹になり、蛾になって飛び立った。男神アジマはこれを女神の失敗だと決めつけ怒り、自らの体を縦に4つに引き裂いた。4つの部分はそれぞれ暁の星、宵の星、北の星、南の星となって飛び散った。

女神アジゴは嘆き悲しみ、自らを永遠の卵モスラのいけにえとして捧げるため、わが身をアジマと同じく4つに引き裂いた。その4つからアジゴそっくりの人間の半分ほどもない4人の若い女が生まれた。彼女たちはアイレナと呼ばれ、永遠の卵モスラに仕える巫女として永遠の命を持っていた。彼女たちは、無数に生まれた小さな卵から孵った幼虫の繭から織物を織った。その糸は夜でも燐のような光を発した。

女神アジゴは死ぬ前に予言をした。

「アイレナはモスラに仕えモスラは必ず島を守る」……


そして、四人の巫女たるアイレナがその姿を現す。それは小さな妖精のような四人の少女たちだった(つまり本作では小美人が四人登場する)。


しかし、その四人は。ロシリカ国のクラーク・ネルソン一味に拉致されてしまった。

ネルソンは、アイレナを日本で見世物にする。


モスラついに東京湾に入る(堀田善衛)編集

インファント島では、モスラの卵からモスラが孵化。巨大な幼虫モスラは、アイレナを取り戻すために日本へと向かう。

鎌倉七里ガ浜に上陸し、その後鎌倉市内を蹂躙して、なぜか再び海へ。

その後、再上陸して都心へ向かい、国会議事堂で繭を張る。

その頃、ネルソン一味は国外に脱出。ロシリカ国へと戻っていた。


繭に熱戦放射器を放つが効果はなく、モスラは繭から羽化。成虫と化し、そのままロシリカ国首都のニュー・ワゴン・シティを強襲する。

ネルソンはこの混乱の中、何者かにより射殺。モスラはアイレナ四人を取り戻し、インファント島へと帰還した。


そして、そのまま宇宙空間へ飛び立ち、アンドロメダ星雲をかすめて別宇宙の反世界へ旅立っていくのだった。


解説編集

当時の東宝は「モスラ」を製作するにあたり、「今度はもっと身近で、しっかりした内容のものでいきたい」と考え、三人の純文学者に原作を依頼したとの事。

結果、映画のテーマは「従来の特撮ものの、一貫して強調してきた『原水爆の恐怖』と異なる点を」という事で、「弱小民族の問題にしぼろう」と決定した。

安保問題など、当時の政治・社会問題も念頭にあり、ロシリカ=ロシアとアメリカのような当時の大国と、それに翻弄されるものたち(日本やインファント島)という構図も、この時点で徐々に固められていった。


なお、方向性が固まる以前のモスラには、「巨大で恐ろしい怪獣」というイメージがあったらしい。スピードポスターには、仮称として「大怪獣モスラ」のタイトルが付けられ、恐ろし気な幼虫モスラの姿が描かれていた。


のちに映画「モスラ」の内容も決定し、関沢新一氏の脚本で現在に至っている。

また、映画のノベライズが、「中学時代一年生」昭和36年8月号の別冊付録「中一文庫」に掲載された。中村真一郎・福永武彦・堀田善衛の三名を原作、シナリオを関沢新一、文を吉田誠とクレジットされている。

ノベライズの内容は、ほぼ映画本編に準じている。しかしこちらもまた、映画本編と比較すると些末な個所が異なっている(ネルソンがラストシーンで、成虫モスラの羽ばたきを受けて、奈落の底に吹き飛ばされるシーンなど)。これは、ノベライズが映画脚本の初期稿を元にしたため。



関連タグ編集

モスラ(1961年の映画) 堀田善衛 福永武彦

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