北海道を管轄地域とする海上保安庁第一管区海上保安本部所属巡視船時代の「宗谷」の異名の一つ。
南極観測船を退いた後、宗谷は第一管区海上保安本部の旗艦として多岐にわたる任務に活躍した。そのうちの一つに、遭難した船舶の救難がある。当時の海上保安庁で砕氷機能をもつ巡視船は宗谷しかなかった。当時の海上保安庁にあって、外洋任務に耐える大型巡視船は宗谷の他にはこじまや、いず型巡視船 (初代)、のじま型巡視船、えりも型巡視船 (初代)などがあったが、宗谷は巡視船としては最も大型であり、手術も可能な医療設備やヘリコプター母船設備など他の巡視船にはない設備が充実していた。日本本土から遠く離れた遠洋で遭難し、あるいは流氷に閉じ込められた漁船にとって宗谷はまさしく「北の海の守り神」であり「福音の使者」だったのである。
宗谷は1962年に第一管区に配属されてから1978年に任務を後継の「そうや」に引き継いで引退するまでの巡視船時代だけで1000人以上の人々を救助している。海洋調査や哨戒任務(北海道の海はソ連国境警備隊と対峙する最前線であった)なども含め、北洋漁業及び北海道沿岸警備への貢献は計り知れない。