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概要

あるところに、食うのもやっとな貧しい夫婦が住んでいた。二人は節分をする機会に恵まれるが、長いこと豆まきをしていないので掛け声を忘れ、

「鬼は内~福は外~!!」

と叫んでしまう。すると、追われてきたが「あんた達だけだよ」と泣いて感激…これが一神教文化だったら異端者であり、人外を呼ぶなど、普通ならば死亡フラグものである。

ひょんな事で夫婦の家を訪問した鬼は、もてなす物とてない二人が困っているのを見て援助を申し出てお米や食糧を手に入れさせる。その元手になったものは諸説あり、打ち出の小槌虎皮の着物、或いは金棒と言った鬼・妖怪ならではの宝が多い。

結果、楽しいひと時を過ごした鬼は夫婦に幸せを与えて去っていく。間違いとは言え夫婦は嫌われ者の鬼に同情して親切にし、鬼もまた幸せなひと時を過ごした謝礼として夫婦に富をもたらしたのだった。

派生作品

まんが日本昔ばなし

岩手県のお話で、息子と妻に先立たれた独居老人が主人公。彼は妻子の墓を詣でては「お母、せがれ、早くおらを迎えに来てくれよ」と愚痴る日々を過ごす。一人で暮らすお爺さんは寂しさと恨めしさの余り、「鬼は内!」と泣き叫ぶと赤鬼青鬼がたき火に当たらせてほしいと訪問。

お爺さんのもてなしに感謝した彼らは仲間の妖怪と共に甘酒やその他多くの品々を持ち寄って、お爺さんの家は大宴会の場となる。鬼達と来年も会う約束をしたお爺さんは「もう少し長生きすることにしたよ」と晴れ晴れした顔で妻子の墓前に誓った。

節分の福鬼

新潟県のお話。主人公は老夫婦で、古着を質入れして豆まきするほどに貧乏だが気立ては良く、「人間の家に招かれるとは嬉しい」と訪ねて来た赤鬼と青鬼を出迎える。老夫婦に同情した青鬼は文字通り一肌脱いでお爺さんに価千両の虎の皮を与え、彼らを一夜にして金持ちにしてしまう。

一枚の真っ裸と言う紳士的な格好で鬼達が踊っていると騒がしさに我慢できなくなった隣人が「正気か」と叫んだのを「鍾馗様」つまり鬼退治の神様だと勘違いした赤鬼と青鬼は仰天して退却。その際にお爺さんとお婆さんに残りの小判を礼金に与えていき(もしくは彼らが置いていった金棒が高値で売れたことで)、老夫婦は裕福な余生を過ごすこととなった。

備考

鬼の姿をした神仏、或いは神仏の使いとしての鬼を祀る神社や寺では「鬼も内」と掛け声をする場合も存在する。

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