それは、全ての自由を解き放つ奇跡━━━
概要
小学館とタカラトミーの共同プロジェクトで、魔法や魔獣が存在するファンタジー世界を舞台に巨大ロボットが活躍するロボット漫画。
2024年5月開催の静岡ホビーショーにて告知され、同年10月4日、小学館のweb漫画サイト「小学館スーパーヒーローコミックス」と『週刊コロコロコミック』とニコニコ漫画の「てれびくん SUPER HERO COMICS」にて連載開始された。
また、小学館が運営・配信するコミックアプリ『サンデーうぇぶり』でも、10月4日に第1話が配信された。
作画はトバロ氏、メカデザインはタカラトミーが担当している。
11月からは隔週連載となる。
2025年1月17日に『裏サンCOMICS』レーベルで単行本第1巻が発売され、巻末には書き下ろしのショートエピソードに加えて、サブキャラのプロフィールが掲載されている。
X(旧Twitter)の公式アカウントでは世界観や、キャラクターの設定に関する内容がポスト(ツイート)されている。
多くの人が勘違いしている事であるが
この漫画は「週刊コロコロコミック」の漫画ではなく「小学館スーパーヒーローコミックス」の漫画である
あらすじ
魔獣に囲まれたその世界は、機神アンブレイカーによって守られていた。
アンブレイカーパイロットである主君のセシウスに仕える主人公・ダスティは、皇帝の座を巡る戦いに巻き込まれていく!!
(週刊コロコロコミック掲載ページより引用)
登場人物
- ダスティ・ミラー
エンデバー家当主セシウス・エンデバーに仕える青年で、後述される立場などから「死神執事」の異名を持つ。
幼い頃に捨てられていたところを拾われ、セシウスや妹のアウラと兄弟同然に育った。
当主でなければ機神のパイロットにはなれないため、セシウスとアウラを守る執事として執事長に戦い方を伝授してもらって以降、機神を狙う不届き者達を排除している。
機神を狙うエンデバー分家が差し向けた刺客によって起こされた魔獣襲撃により、片腕と下半身を失う瀕死の重傷を負ってしまうが、彼の強い思いに応えたかのように機神が無人で動き、これを運命だと捉えたセシウスに「機神と正式契約し、皇帝となってアウラと結婚し、3人で本当の家族になる」提案をされ、ダスティはそれを呑み機神と正式契約を交わして一命を取り留める。
機神の正式パイロットとなったダスティは『アンブレイカー TYPE:影(シャドウ)』を駆り、魔獣や皇位の座を巡る他の機神との戦いに身を投じる。
機神の真実を知らされても「あの二人に騙されて死ぬなら本望」と断言する程に、高い忠誠心を見せる心の強さを持つ。
ぶっつけ本番に『アンブレイカー TYPE:影』の搭乗でありながらも、セシウス以上の潜在的センスを高さを開花させたのみならず、機神のリスクを軽減する特異性をも秘め持っている模様。
一方で良くも悪くも平民出身なためか、必殺技に憧れるなど子供っぽい面がある他「セシウスとアウラ以外の貴族に興味がない」故に、ヴィクターなどの他の貴族を知らなかったり、決闘の申し出である落とした手袋を拾う作法を足でやろうとする等々、侮辱と取られかねない行為をやらかしている。
尚、酒には極めて弱い一方、第8話では嗜めるぐらいに飲める素振りを見せている。
- セシウス・エンデバー
インテグラ州に籍を置くエンデバー家の現当主。飄々とした軽い性格だが当主としての強い責任感を持つ。パイロットとしての腕前も優秀。
新皇帝の花嫁候補に選ばれているアウラには「自由に生きてほしい」と思っており、新皇帝になってアウラを守ろうと思っている一方、ダスティとアウラが両片想いである実状を公認しており、本心では「いっそのこと二人で駆け落ちしてほしい」とも思っている。
分家の刺客による魔獣襲撃時、ダスティの思いによって機神が無人で動いた様を見てコレは運命だと捉えたセシウスは「機神の契約をダスティに譲り渡し、新皇帝となってアウラと結婚し、3人で本当の家族になる」計画 をダスティに提案する。
『歌姫(アイドル)のルリィ』の大ファンであり、自室に関連グッズを大量に置いている。
- アウラ・エンデバー
帝国最高の魔導士で「指輪の魔女」の異名を持つセシウスの妹。
六大名家の中で最も優れた魔力を持ち、それにより帝国の伝統である「新皇帝の花嫁」の最有力候補に選ばれている。
幼い頃にダスティと「機神のパイロットとなって結婚する」約束をしている。
一方で、自身の立場を理解しているのもあって、「私を花嫁って肩書きでしか見ない人」を嫌悪し、更に「私の大切なモノを壊す人」も加わった場合、周囲の被害を考えられない程の殺意を露にする。
彼女の異名である「指輪の魔女」の由来は、「魔女」が優れた魔力を持つ女性に対して与えられる称号で、「指輪」は任意の魔法を発動できる石「魔鉱石」の中でも高純度な物でできた指輪を両手に10個身に着け、それを同時に使用できる技量の高さから来ている。
- フジノハ
ダスティが機神と正式契約を結んだ際、ダスティに合うAIとしてマッチングされた長髪巨乳美女(メイン画像を参照。尚、コックピット内を自由に浮遊している様子から、ホログラムのようにも見えるもダスティに触れているため質量があるようだが……。詳細は後述される〈機神〉の項目を参照)。
平民であるダスティが契約者になって文句を垂れたりするなど、少々辛辣な物言いをしつつも自身の役割に従い、ダスティに『TYPE:影』の戦い方を教えサポートする。
魔獣との初戦後、セシウスやアウラ達貴族に対し険しい表情を浮かべ、ダスティに対し「汝、あの貴族に騙されているぞ?」と警告する。
その後、彼女は真意(=機神との契約に纏わるリスク)を語り契約破棄を持ち掛けるが、ダスティの揺るぎない信念とそれに呼応する機神の機動を見たため、ついに彼を受け入れる覚悟を決めると『ダス坊』のあだ名で呼ぶようになった。
尚、後述の事情から彼女も元は人間だったと推測され、初邂逅時に見せたダスティへの辛辣な態度は、本気で彼の身を案じた故の言動と思われる。
尚、その名前や容姿は、エテルナ帝国内でも珍しいらしい。
- ????
フジノハの回想で登場した『アンブレイカー TYPE:影』の先代契約者と思われる人物。
ダスティと同じかそれ以上の才覚(と、ダスティを壮年にしたような風貌)の持ち主で、フジノハは微かな間だけダスティに彼の面影を重ね見出だそうとしてしまった。
- エンデバー婦人
第11話で言及されたセシウス、アウラ兄妹の実母。
兄妹が幼い頃に首なし死体として死去してしまったらしく、前述の事情から現在は故人である。
- ドミニク・セバック
エンデバー家に仕える壮年で執事長の役職に就く。
年齢相応の落ち着きと貫禄を併せ持つ、絵に描いたようなナイスグレイ。
その一方、アウラとの結婚を夢見た幼い時分のダスティにツラい現実(=平民と貴族とで結婚はできない、〈機神〉に搭乗できるのは貴族だけetc……)を教える厳しさと、ダスティの「あの2人の役に立つ為に、俺に戦い方を教えてくれ!」の懇願に確かに応じる義侠心も備える。
- メリィ・スー
エンデバー家に仕えるパーラーメイドの1人。
幼い空気を醸す容姿に反して、かなり柄が悪い。
荒事の際には「やり過ぎない」ためにフライパンを握る。
- ドニエ・マック
エンデバー家に仕えるパーラーメイドの1人。
前髪で両目を隠しており、一見すると大人しい印象を与えるものの、荒事の際には自身の身の丈を超える大斧を振るう。
堅実な性格の持ち主であり、パーラーメイド達の中では最もダスティに優しい……のだが、裏ではダスティを題材に良くない妄想に耽る腐女子でもある。
- イパラ・エルダ
エンデバー家に仕えるパーラーメイドの1人。
黒ベタのストレートヘアが特徴であり、荒事には片手剣を振るう。
ダスティのサボりによって生じるしわ寄せを最も受けているため、パーラーメイドの中では最もダスティに辛辣な言動を見せる。
枯れ専であり、執事長を異性として好意を抱いている。
- ヴィクター・アイアンハート8世(エイト)
ヴィクター州を統治する名家の現当主である青年。
アウラを「婚約者」と呼ぶ程に恋慕の念(あるいは彼女の立ち位置=新皇帝の花嫁候補からの執着? )を抱いている一方、彼女が慕うダスティを「平民」と扱き下ろす(もっとも、ダスティが無知ゆえに煽ってしまってるのもあるが)、貴族が複数人そろう光景に周囲の人=平民が集まると、不快感を露にする等々の横暴な面も見せている。
しかも、アウラの地雷を踏みまくって明確な殺意と攻性魔法を向けられても、それに気付かず平然と彼女の魔力を称賛する姿は良くて胆力が強い 、悪いと自分以外に興味がない とも取れる以上、特権階級意識に支配された俗物ぶりを晒している。
一方で得意の転移魔法(テレポート)でダスティが気づけないレベルの速度で近付くや否や、斬撃を放ち負傷させるなど腕は確かなようで、本人はセシウスとの対決を望んでいたが、あっさりダスティに継承させた決断に失望している。
ただし、ダスティと同じレベルで酒に弱い、煽られたら「安い挑発」と分かっていながらも乗っかり自滅する、ダスティがフジノハとアウラに挟まれると血涙を流しながら「両手に花か……!」 と痛く羨ましがる、ホットドッグを食べようとするアウラを「えっちではないか!」と卑猥な目で見そうになる、セシウスと戦う必要がなくなるや「義兄上」と呼び出す……等々とギャグキャラに片足を突っ込みかけている。
ただし、上記の平民を毛嫌いしている素振りを見せながらも「貴族は平民を守るのが義務」とする矜持を持ち、転移魔法で人質に取られた店員を傷つけず、賊の両腕を切り落とす芸当も披露しているなどと、(カッコつけなところはあるが)決めるところではしっかり決める。
第11話でダスティに敗北する直前、実は「自分が生家の代々の仕来たりに囚われた結果、最低限の親しい知己を作れていないボッチ(要約)」 だと自認しており、今までの言動は自分の至らなさをごまかすために、生家の仕来たりに依存し拗らせた結果と推測できるようになった(また、その際にヴィクター個人の1人称が『僕』であるとも判明した)。
同11話でダスティの心根と覚悟を知ってから自らの敗北を認め、更にダスティの敗者にトドメを差す代わりに手を差し伸べる 行為は『互いに死力を尽くした相手を認める行為』と拡大解釈したのもあり、ダスティを認めるに留まらず「我が友」と呼ぶようになった。
- ウィル
ヴィクターと契約した機神のナビAIで、自称「鉄壁のお喋りウィル」 。
その正体は100年前にアイアンハート家に支えていた騎士ウィルヘルム・ヴァッヘ当人で、上記の自称通り極めて多弁で軽快な男。
尚、契約者であるヴィクターに敬意を持ってはいるものの、彼の不甲斐ない言動には軽口混じりにディスるなど、諌めるべき場面ではしっかり忠言する誠意を持っている模様。
また、歴代のアイアンハート家の当主達が、一様に「能力の高さや家柄などから孤独の道を歩み続けた」歴史を見続けていたため、ダスティとの交戦後に起きたヴィクターの変化に対し、嬉し涙を流していた。
機神(アンブレイカー)
魔獣の脅威から帝国を守る「六大名家」がそれぞれ1機づつ保有している勇者の鎧(所謂スーパーロボットだが、後述の機能からコチラにも近い)。
魔獣退治だけでなく、将来的に次期皇帝を決めるバトルロワイヤルにも使われる。
機神のと契約により契約者(パイロット)に合わせた形態に形成され、契約者の傷の修復やナビAIのサポートが受けられる他、形態独自の特殊能力「固有(ユニーク)スキル」の使用が可能になる。正式契約前の仮契約でも運用が可能であり、その際は「ノーボディ」と呼ばれる形態となる。
機神との契約期日は初代皇帝によってプログラムされている。
動力源は契約者の命であり、その命が尽きると契約者の魂は機神に取り込まれてしまう。それ故に命惜しさに他者に継承させる貴族が多い模様(上述の「騙されている」発言の真意はこれが理由)。特に『終局(デッドエンド)スキル』と呼ばれる必殺技に至っては、1度使用すると契約者の寿命を10年消費する。それゆえナビAIの承認失くしては発動できない。
一方で、機神側からすると「動力源を喪いたくない」「自分以外の存在に契約者の命を奪われると困る」 等々の意図からか、契約者に対し半ば不死に等しい自己治癒能力を付与させる(劇中ではダスティは片腕と下半身を喪失する致命傷を負ったが、契約するや即座に喪失した部位が再生・修復された)。
また、上記のフジノハの項目にある通り、各機神には歴代契約者の魂を『ナビAI』として搭載・保存されている。
基本的にナビAIは機神から離れられないが、契約が成立したナビAIに限り契約者の近辺に出現できるようになる(ただし、顕現したナビAIを感知できるのは契約者を除くと、貴族の血統やアウラのように高い魔力の所持者に限られている)。
また、機神内部では契約者と物理的な接触が可能だが、機神の外では幽体ゆえに物理的な接触が行えない。
戦いで機体の四肢が欠損しても、棺の中に入れば自動的に修復されるため、整備や補給の必要がないが、それらも全て契約者の命によって賄われている都合上、おいそれと破損させて良いわけではないが。
- TYPE:影(シャドウ)
エンデバー家が保有する機神で、ダスティとの正式契約により形成された形態。
物語当初はセシウスが仮契約をし、ノーボディ形態で運用していたが、後にダスティが正式契約し、ツインアイとV字の角(両頬に下方向に伸びる短い角があり、額の角と合わってX字に見える)を持つ白・黒・黄色のカラーリングをしたヒロイックな姿となる。
固有スキルは自身と変形した左手で触れた相手の重力を操る「重力操作」。それ以外は格闘で戦う。
終局スキルは影の中から巨大な手を伸ばし、握りつぶす「極影」。
専用武装が幾つかあるらしいが、ダスティは説明書を読まないタイプなので現時点(無料公開話数の範囲内)ではまだ未使用のままとなっている。
本機の契約期日は帝国の建国記念日に設定されている。
- TYPE:騎士(ナイト)
アイアンハート家が保有する機神で、ヴィクターが正式契約している。
タイプ名が示す通り、騎士を思わせる姿をしており、武装も剣をメインとしている。
固有スキルはヴィクターが得意とする魔法と同じ「転送(テレポート)」で、機体を転送して回避や接近に用いる他、ポータルとなる魔方陣を介して離れた相手に対して剣撃を与える事ができる。
- ノーボディ
仮契約時の機神の形態。
正式契約前の状態である骸骨を模した胴体に無骨な手足とのっぺらぼうの様な頭部が取り付けられているのが特徴。
固有スキルが使用できない、ナビAIのサポートが受けられないなどのデメリットがあるが、一方で燃費が良く、防御力に優れている等々、継続戦闘能力に特化したメリットを持つ。
用語
- エテルナ帝国
首都エテルナが存在するエテルナ州を中心にアバダンテ州、インテグラ州、ヴィクター州、セレス諸島、ジュビラ州、ヒルデテリア州、ヴィタリア州、エグレジャ州の9つの州からなる国家。
国境周辺が魔獣の生息域となっており、千年間魔獣の脅威に晒され続けており、襲来して来た魔獣は六大名家が保有する機神によって退治されている。
ただし、アバダンテ州やセレス諸島のように魔獣の被害に遭っていない地域もあり、該当する地域には機神が不要のため後述の制度に対応する機神が存在しない。
かつては飲用水の長期保存が難しさから、それ代わりに果実酒を飲んでいた時代があったらしく、その名残で現代でも15歳での飲酒を認めている州がある模様。
尚、各州の名称は “その地域と所縁がある歴代皇帝の名前が由来” とされている。
- 次期皇帝選定戦
六大名家全ての機神パイロットが正式契約した際に行われる、新皇帝を決めるバトルロワイヤル。
- 魔獣
帝国周囲に生息する獰猛な生物。
コアとなる『魔獣核』を持っており、コレを摘出・破壊して撃退ができる。
尚、『魔獣核』を2つ備えた個体は〈上級魔獣〉と明確に区別されている。
- 魔鉱石
魔法を使用するための触媒となる鉱石。
術者の生命力を流し込んで任意の魔法を使用できるが、扱うには高い魔力適正が要求される。
コレを加工・調整して作られた「魔宝石」は1個につき1種類の魔法しか使用できない分、魔力適正が無い者でも扱える。
帝国内で魔鉱石の産出量が最も多い地域は、ヴィクター州とされている。
- アルヴ族
第11話終盤で言及された亜人種で、魔獣を操る技術を持っているらしい。
外見上の特徴として耳殻の長さが挙げられるため、種族名称も合わせて鑑みるにエルフが元ネタと思われる。