『あの人の信じた私こそが真の″天才″だと証明する』
データ
概要
本編の主人公。小柄で幼顔の美少女。
登場当初こそは臆病で、何かあるたび親友に助けを呼ぶような内向的な性格だったが、一度ラケットを握れば天才的なセンスを秘めたバドミントン選手として描かれた。
実は母親によって英才教育を受けてきた才能豊かな経験者だったのだが、13歳の時に芹ヶ谷薫子に敗北してから教育方針上、選手として育てるつもりだった母親に甘えられる相手は不要だと判断され見捨てられてしまい、激しく感情を揺り動かされてしまう。その後はただひたすらに、バドミントンだけが母親と自分をつなぎとめるものだという意識のもと、バドミントンを続けていれば母親に会えるかも知れないという気持ちで続けるも、そのうち続けるだけ虚無感と淋しさが勝るようになり、ちょうど1年後に待ちくたびれ、ぱったりとやめてしまうようになる。
その後は父方の祖父母の元で、恙無い毎日を送りのんびりした穏やかな心を取り戻していたが、ひょんなことから北小町高校バドミントン部のコーチ、立花健太郎にスカウトされることに。
だが、当初は過去を引き摺っていたこともあってバドミントンは嫌いだと拒絶していた。しかし、無理やり合宿に連れて行かれた先で、母親のことを知るデンマーク人留学生、コニー・クリステンセンと出会い、彼女の「人とつながり合えばいい」という言葉を聞いてから再びラケットを握ることになる。
その後彼女はバドミントン部に入部するも、何かとちぐはぐな毎日が続くが、そんなある日、宿命の相手、去り際香る子こと芹ヶ谷薫子に出会い、彼女に惨敗を喫する。だが、それが徐々に彼女に潜むバドミントン選手の本能を呼び覚まし、とうとう県予選で薫子を圧倒する強さを披露する。
それを見ていたのが、彼女の天才的才能を見抜いていたヴィゴ・スピリッツ・キアケゴーであり、彼は綾乃が探している母親に再会できるというニンジンをぶらさげ、彼女を自前の強化施設に連れて行き、ある人物の差し金で変装した世界ナンバーワン選手と対戦させる。その時彼女は天才的なセンスと、それと同時に眠っていた、ただ競争本能として勝つことだけが正義の、冷酷な心を呼び覚ますことになる。だが、試合後、さっきの感情が何だったのか気持ちの整理がつかず、母親と再会することを躊躇うことに。
だが、その間に徐々に彼女の心は獣のような闘争本能だけに浸蝕していき、個人戦決勝までに完膚なき強さを披露し、かつて慕っていた荒垣なぎさに対しても上から見下ろす有様となっていた。
だが、荒垣なぎさとの予選決勝で数々の欠点を露呈し、そしてバドミントンの楽しさを見つけるものの、最後は力尽きて敗戦。しばらくして元に戻るも、団体戦でのいくつかの出来事により、人に対して敬意を払えない自分と、どんどんとレベルアップしていく周囲に対し、伸び悩む自分の実力に、色々と迷いが生じ、焦りと苛立ちが募っていく。
そんなとき現れたのが、自分をライバル視していた芹ヶ谷薫子だった。そして彼女から、「色んなことを周囲の環境や他人のせいにしているけど、元から決していい性格でもなかった」と聞かされ、はっと目が覚める。そして、涙をこらえながら“ライバルとして日本一の選手になれ”と檄を飛ばされ、迷いを断ち切り、今の自分の性格を真摯に受け止めつつも 『やさしい人になりたい』 と自分なりのリスペクトの仕方を見つけ、そして、日本一になることで、母親が自分に与えた試練は正しかったのか、それを証明するべくもっと強くなるため、部活仲間との別れを告げ、ヴィゴの元へ修行に行く決意をした。
なお冒頭のセリフはそのときヴィゴに、なぜここに来たのか? と聞かれその答えとして言った言葉である。
プレースタイル
高い技術と的確なコントロール、そして俊敏性と臨機応変の反射神経、体躯のバランスを兼ね備えており、同じフォームからのストレートで拾いまくる防御型の選手。一方、攻撃手段として、切れ味の鋭い多彩なクロスファイアを持っている。また状況に応じ、咄嗟に右手も使用する器用さも兼ね備えている。中でも、最大の武器は、幼少時から母親とラリーをしていた時の経験など経験則に基づく予測力と判断力で、他の選手からも、普通じゃない、ほとんど超能力と言われる瞬時的な空間把握能力、瞬発力と評されている。ただしこれらをもってしても母親やヴィゴは天才とは思っていない。
欠点はフィニッシュなどに必要なフィジカルとメンタルの弱さ。特にメンタルの弱さは試合にかなり影響する。良い時は手がつけられないが悪い時は視野が狭く得意のネットプレーなどに固執し単調になる場面もあった。また、スタミナはあるが、小柄ゆえに攻撃力に欠けており、特に無理にフルショットを連発したがため、筋持久力の無さを露呈することになる。その他、ヴィゴからはスマッシュ時に首を上げる癖があることも指摘されている。
ちなみにリアルに、モデルになったと思われる選手がいる。それが山口茜と奥原希望であり、二人とも小柄ながら圧倒的実力で優勝を重ね、世界を制覇したこともある強豪である。山口は対戦相手が「壁と相手しているよう」と形容されるほど反射神経と読みに秀でた選手であり、奥原は抜群のボディバランスを持った攻撃型の選手。つまり羽咲は山口+奥原のような能力を持った選手である。
インターハイ
インハイでは最激戦区、いわば死のグループにエントリー。初戦突破し2、4回戦では苦戦を強いられるも、それぞれ全国レベルの強豪、豊橋アンリ、狼森あかねを破る。
そして、準々決勝で優勝候補筆頭、益子泪と対戦。当初は本気でなかった泪にきらめいた表情をみせ、神藤がそんな表情するなと激怒され自身の上をいくプレーを見せつけられる。それでも自身の弱さを認め諦めず信じたやり方を貫き、自分をなぜバドミントン選手にしようとしたのか、ではなく、自分にどうなってほしかったのか、と考え方が変わっていく。そんな中で一瞬の相手の弱点を見抜き、益子のメンタルのぐらつきもあって激闘の末勝利した(ただし試合後、泪がはじめから本気ならだめだったかもと思っており、益子もその後は綾乃の時以上の圧倒的な強さをダブルスで見せているが、益子自身は本気で戦ったつもりだった)。
その後、志波姫唯華との準決勝前に母の病気を知ってしまい、そのまま試合へ。その動揺と相性の悪さなどで苦戦を強いられるも、唯華の、綾乃への好奇心を求めてしまった詰めの甘さなどもあり試合中ついに度々みせていた、恰も未来予知のような瞬時の空間把握能力を発揮させる(だが、ヴィゴは一時的なトリップ状態であると、それを即座に否定し綾乃に注意を呼びかけている)。そして、一か八かで放ったハルダウン・クロスファイアという魔球のような大きく落ちる変化球で翻弄。志波姫にギリギリ攻略されるかされないかという紙一重のところで勝利を収め、いよいよコニーとの決勝に臨み、勝利を収めた。
その後は前人未踏の大会8連覇を達成し、9連覇を賭けて芹ヶ谷薫子(こっちは8戦連続準優勝というシルバーコレクターとなっていた)と激突することになる。また、母親とは本人が高校2年のときに死別することになるが、親子の関係は改善されていた。
関連イラスト
関連項目
はねバド! バドミントン 荒垣なぎさ 藤沢エレナ コニー・クリステンセン 立花健太郎 芹ヶ谷薫子 志波姫唯華 北小町高校
猪熊柔- YAWARA!の主人公兼ヒロイン。小柄ながら才能に恵まれた天才だが、メンタルが弱い、また、家庭環境が特殊で親に特別なコンプレックスを抱いている(こっちは父親)、登場当初は自分がやっていた競技を嫌っていた、強い相手を認めると燃える本能を秘めているなど共通点も多い(作者も影響を受けたと思われる描写がそこかしらに見られる)。