概要
「 幻想郷最強の人間の敵 」(『東方求聞史紀』)と評される「鬼」の一人である萃香を割るという行いであり、それは暑中に浜辺などで行われる、自身の心眼と他者の助言(または虚言)で以てウォーターメロンを破砕するという日本の伝統的な行事と似たものである。
鬼はその退治に際して何か謂れのある物品が必要であるとされる(『求聞史紀』)。それは剣や弓矢などの武器であることもあれば、各種宗教的教義・研究に基づく呪術の類であることもある。
日本文化における先のウォーターメロンの破砕方法が祖先から継承された一種の独特な儀礼的風習であるとするとき、ここには古くからの人々の様々な「想い」が込められているといえるだろう。
想いの込められた儀礼は、多くの人々がそれを繰り返すうちに様々な「謂れ」を生み出す。
「謂れ」には厄祓いや種々の安寧を祈る想いが込められるようになるのだ。
ウォーターメロンの割れ方で明日の吉凶を占えばそれは「卜」に通じる素朴な呪術的観測であり、あるいはそれを割ることで種々の神々に感謝し、天地万物の恵みに感謝するとともに未来の豊穣を祈るようなことがあれば、それは立派な祈りの儀式である。
必ずしも宗教的体系には依らない牧歌的な祈りの蓄積もまた、やがて不動の「謂れ」となって人々とその日々、未来を守護するのである。
鬼退治の手段は現在では廃れたとされる。
しかし古来よりある手法を再現し、そこに込められ得る意味が再発見されることで人間は鬼に対して再び立ち向かう手段を得る事が出来るのだ。
温故知新なるそれこそが、「萃香割り」でなのである。
かつて鬼は人間に失望し幻想へと去っていったが、人間が正々堂々自らと対峙する手段を蘇らせたとあれば、歓喜を以てこれを迎える事だろう。
そして「萃香割り」を通じて、今様の人と鬼との関係が新たに始まるのである。
真面目な記述
萃香割りは伊吹萃香に関連して「スイカ割り」の読みをかけたものである。
種々の方法で萃香が西瓜割りをモチーフにした状況に置かれていることに特徴がある他、西瓜割りを前提とせず、ストレートに「萃香割り」を想像させるような作品にも用いられている。
最新作が『弾幕アマノジャク』である現在時点において東方Projectの主舞台である幻想郷には海は無いものの、「萃香割り」を描く作品においてはその場面は海や砂浜として描かれることも多い。
また、「スイカ割り」で使われる西瓜を割るための棒について、鬼である萃香にならって金棒が描かれていることもある。
関連イラスト
- 西瓜割り × 萃香割り