愛好家などがドラム缶や一斗缶などで手作りすることも。
概要
(建築に詳しくない人から見て)似たような物に暖炉や竈があるが、これらは建物に造り付けである(つまり建物の一部である)のに対して、薪ストーブは炉の部分が工場や工房などで製造されるものである。そのため著しい故障や性能の過不足によって交換する必要があれば交換可能。
屋外で使用したり、程度の差こそあれ必要な工事を行えば既存の建物に設置することができる。
鋳物で作られたストーブが一般的だが値段はやや高めで、比較的低価格の鋼板製のものや石造りのものまである。
薪は小さいものほど火が付きやすい一方で火力が小さく燃焼時間が短く、大きければその逆となるが、現在はもちろん昔も「充分に乾燥したそれなりの大きさで、なおかつガンガン燃やしても惜しくない木を継続的に入手する」ためにはそれなりの労力やお金が必要である。
現在は、おが屑を押し固めたペレット燃料が現れており、これを使える機種も多い。
ペレットは性能が安定しており、薪に比べるとスペースを取らず、また袋入りであるため保存が楽である。
薪ストーブのメリット・デメリット
メリット
インテリアになる
レトロな雰囲気の物からモダンな物まで、部屋の雰囲気に合わせて色々なストーブが選べる。
何より家の中で火を焚き、それを眺めながらリラックスできるのが最大の魅力。
調理ができる
天板の上でお湯を沸かしたり、炉の中でピザを焼いたりといった調理も可能。
安全性
薪を大量に貯蔵しても、火種さえなければ灯油などの石油類よりは比較的安全に保管できる。
ただし一定量以上となると『指定可燃物』となるため消防署へ『少量危険物・指定可燃物貯蔵・取扱い届出書』の届け出が必要となる。量については自治体ごとに異なる。
デメリット
初期費用が高額
ストーブ本体もさることながら煙突にかかる費用が特に高額。ただし暖炉を設置するのに比べれば比較的低コスト。
新築でなければ工事費も計算に入れなければならない。
薪の入手、保管
山を持ってる、または伐採した木を供給してもらえる等、安定した入手ルートが確保できなければ木を手に入れるためにあちこち駆けずり回ることに。
そして、薪にできる木を手に入れたら薪割りという最大の労力が待っている。
さらに薪の保管場所。使い方にもよるが1シーズンで2トン前後消費する。
また、割ったばかりの薪は水分を多く含んでおり、そのまま燃やすと大量の煙が出るため、1~2年は野外で干しておく必要がある。つまり保管に必要な場所は1年で使う量の2倍以上となる。
これらを一手に解決するために「買う」という手段もあるが、薪は買うとかなり高額で、購入するにせよ自製にせよ光熱費削減を目論んで薪ストーブを導入すると本末転倒になる。
灰の処理
薪を燃やしたあとには灰が残る。灰が溜まり過ぎると使用できなくなるので掻き出さねばならず、慎重にしないと作業中に部屋に灰が舞ったり溢してしまって…
灰の中でも薪の破片などが燻っている可能性があるため、掻き出した灰は耐火性のある容器(アッシュバケツ)などに一時保管し、その後然るべき処分が必須となる。
燃やした薪のおよそ1%の重量の灰が出るといわれ、保管にしても処分にしても、薪ストーブを使う上では避けられない手間となる。
メンテナンス
煙突や本体に煤が溜まるため、定期的なメンテナンスが不可欠。
怠ると溜まった煤から出火したり、煙突が塞がって煙や炎が室内に逆流し火災やガス中毒のリスクがある。
また、煙には僅かだが腐食性の成分が含まれているため、長期間点検を怠ると知らない間に煙突や本体が損傷している可能性がある。
煙と有害物質
最大の問題がこれ。煙突から出る煙は近所迷惑や大気汚染の原因となる。また、構造上密閉されておらず、煙突以外からも僅かに排気される。
薪ストーブは欧米では流行っているとして広められているが、むしろ欧米では規制対象になっている状況である。むしろ日本人がエアコン・ヒートポンプ改良に貢献してきたことを誇りをもったほうが良いだろう。
そのため、たまにエコとして薪ストーブを奨励する動きが出るがそのたびに炎上している。