2014年に開催されたソチオリンピックの女子シングル競技において、浅田真央が見せた会心のフリースケーティングの演技を称えるタグとして当時作られたもの。
この時に記録した142.71点は、彼女の競技生活におけるパーソナルベストスコアとなった。
伝説のソチフリー
前日のショートプログラムでは、代名詞のトリプルアクセルで転倒するなど、3つのジャンプ全てを失敗と大きく崩れ、55.51点という得点に沈み16位となる。
「集大成」として臨んだはずのソチ五輪での予想だにしなかった出遅れに、演技後のインタビューでは「何もわからない」と放心状態となるなど、この時点でメダルの望みは完全に絶たれることとなった。
しかし翌日のフリーでは、前日の失敗からふっきれた会心の演技を見せ、自己ベストを更新する142.71点を叩き出し3位に。総合6位入賞を果たした。
演技終了後に、こみあげる様々な感情をこらえきれずに涙を流し、最後に笑顔に変わる姿が、日本を感動の渦に巻き込み「記録より記憶に残る演技」として、国民に称えられることとなった。
この際にジャンプを跳ぶ時は「これは舞のぶん」と、親しい人を思い浮かべながら跳んだとのことである。
ジャンプで転倒をしていないため、フィギュアスケートに詳しくない人が一見すると完璧な演技にも見える。
…が、実際には挑戦した8トリプル(トリプルアクセルを含む6種類の3回転ジャンプを8回跳ぶこと)のうち、2つの3回転ジャンプで回転不足をとられており、基礎点が70%に減点。3回転ルッツはエッジエラー(e)でマイナスが付いてしまい、厳密には「4種類の3回転ジャンプを5回跳ぶこと」に成功した演技となる。(実際にこの8トリプルが史上初めて成功と公式に認定されたのは、2016年ジュニアグランプリシリーズにおける紀平梨花である。)
しかし、浅田も滑走順が遅ければもっと構成点は伸びていたと思われるため、今になって思い返すと、ショートの出遅れはやはり悔やまれる。
実際に表彰台に上がったのは、ショート・フリーともにほぼミスなくまとめた選手たちとなった。
オリンピックの大舞台でミス無く滑るのは、やはり至難ということである。
だか、彼女が示したアスリートとしての挑戦と志、スケーティングは格別であり、多くの人々に感動をもたらしたことには違いがない。