「誰もが行き着く先、それはワニも同じ。誰にも終わり(死)がある。分かっているのに意識しない日々。ワニが生きる”残り100日間”の当たり前の日々を見て、人々はなにを思うか-」
概要
イラストレーター・漫画家のきくちゆうきにより2019年12月12日からTwitter上で連載された。
擬人化されたワニの青年、ワニくんの何気ない日常を4コマにした……と言えばそれだけであるが、4コマ目の下に死まであと○○日という非常に不穏な文章が書かれる。
本作品は1日1話のペースで毎日連載され、2020年3月20日に完結した。
2024年8月21日には続編となる「100日後に死ぬ(×)ネズミ」の連載が開始した。
内容
擬人化した動物キャラクターたちによる日常生活が描かれる。物語は概ね主人公のワニくんの視点で進み、彼の何気ない日常を覗き見するような形で展開する。
休日に家でゴロゴロしたり、仕事に忙しく追われたり、友人達と集まって遊んだり、恋愛やキャリアに悩んだりと、青年期の慌しい日々がコミカルかつときに淡々と、ときにシュールに綴られる。
作風など
きくちの前作『SUPERどうぶつーズ』同様擬人化した動物キャラクターによる物語であるが、よりライトでポップな画風・演出となっている。
台詞などのテキストはデジタルフォントを使用せず直筆され、キャラクターは太めの描画線でくっきりと描かれている。また、枠線以外はほぼフリーハンドで、カラーはベタ塗り、陰影の表現は軽いストロークで仕上げられ、シンプルかつ親しみやすい絵となっている。
心の中の声やモノローグなどはなく、キャラクターの表情やセリフの間などで感情が描写される。
主な登場キャラクター
作中ではキャラクターの名前は設定されておらず、以下に紹介するのはいずれも読者による愛称である。
男性キャラクターは「○○くん」、女性キャラクターは「○○さん」(○○にはワニ、ネズミなど種族名が入る)と呼ばれている。
後述のグッズ展開ではキャラクター名が「ワニ」、「ネズミ」、「モグラ」と表記されている。
「気を付けないと死んじゃうよ‼︎」
主人公。喫茶店でアルバイトしており、穏やかで優しい性格。両親はみかん農家を経営しているが、現在は疎遠で一人暮らしをしている。実はバイト先のセンパイに惚れている。当初は自身の夢をもっていなかったがゲーム好きが高じて、プロゲーマーを目指すことを決める。
ネズミくん
(左のキャラ)
「人はそんな簡単に死なねーよ」
5日目から登場。ワニくんの友人でバイクの整備士として働いており、たまにワニくんをツーリングに連れ出したりしている。苦悩するワニくんを激励するでもなく、突き放すでもなく友人としてじっと見守る。
センパイ
「なんだい?」
12日目から登場。ワニくんと同じ種族であるが違いとして体の緑色がやや薄くまつ毛がある。喫茶店の従業員で優しい笑顔が特徴、恐らくワニくんより年上。ワニくんからのアプローチに困惑していたが……?
モグラくん
「やりたいこととかないしだったら就職した方がよくね?」
25日目から登場。ワニくんの知り合いで、リサイクルショップのバイトをしていた。かつてのワニくんと同じく特に夢を持っておらず、とりあえず身を固めるため会社員(営業)として就職している。バイト先で出会ったイヌさんと交際中。
イヌさん
(右端のキャラ)
「好きなら行った方がいいんじゃない?」
53日目から登場。リサイクルショップのバイト。明るい性格で、恋愛にも積極的である。バイト先で出会ったモグラくんと交際しており、恋の先輩としてワニくんを励ます。
作品に対する反応
シンプルで手描きの柔らかさを活かしたほのぼのとした絵柄から、100日後に主人公の死亡が確定しており、「死へのカウントダウン」が行われるというガロ系を彷彿とさせる設定が話題となり、連載開始直後からTwitter上でブームとなった。
ねとらぼなど大手のネットメディアに取り上げられたほか、完結が近づいたタイミングでテレビのニュース番組などで取り上げられるなど、Twitter以外でも大きく注目されたほか、有吉弘行、はじめしゃちょー、加藤一二三など主にTwitterを利用している著名人からも支持を集め、一時は社会現象とも呼べる勢いともなった。
書籍化への反応
ワニくんの「死の前日」となる2020年3月19日、書籍化が小学館より発表された。0日目や100日目以降の物語など、28ページ分の描き下ろしが収録されることも明かされた。
書籍化について、読者からは発表のタイミングの悪さを指摘する意見が出た一方、「無償で公開してくれているので、書籍化で稼ぐのは作者にとって当然の権利」という意見もあり、賛否両論であった。
そして翌20日、「ワニくん死なないで」「ワニくんがどんな死を迎えるのか見届けたい」「ワニくん早く死ね」という声が溢れる中、「100日目」が投稿され、完結した。
余談
実は『100日後に死ぬワニ』についてある奇説がある。
曰く「100日後に死ぬワニというが、1日目の100日後は101日目になるはずだから、100日後に死ぬワニが100日目に死ぬことはありえない。つまり『100日後に死ぬワニ』に100日後に死ぬワニは登場しない」というものだ。
ただしこれはあくまで“言葉のあや”というものでそこまで目くじらを立てるものでもないだろう。
(『100日目に死ぬワニ』であれば矛盾が生まれないという意見もある)
これを受けてかは不明だが、単行本化においては「0日目」が追加され、そこからカウントすればきっちり100日後になるように調整された。
関連イラスト
関連タグ
100日後に死ぬ(❌️)ネズミ:100ワニの続編。
メメント・モリ:ラテン語で「死を忘れることなかれ」という警句。「(いつ死ぬかは誰にもわからないのだから)今を楽しんで生きよう」という意味を持っており、冒頭などに挙げた本作のテーマに近い思想であるといえる。
いきものがかり、KANA-BOON:公式コラボを行ったアーティスト。